昨今、介護用のオムツの種類も増えてきました。
親の介護を考えていたり、現在進行形で介護をしている方にとっては、疑問のひとつとして必須の事だろうと思います。
今回は、排泄を専門とする看護師として働き、自身の母親の介護も行った、排泄ケアの第一人者である西村かおる氏著書『「排泄介護」のお悩み解消ブック トイレ介助、オムツの使い方、下痢・便秘時のお世話のコツ』から、オムツの長所や短所、他の選択肢も考えてみたいと思います。
介護で排泄の問題が出たときに、オムツをつけた方がいいかどうかと悩む人は多いと思います。
オムツをつければ、失禁への心配が減り、夜もしっかり眠れて、介護も楽になることでしょう。
しかし、本人がオムツを受け入れられないと、自尊心を傷つけてしまうこともあります。
また、オムツをつけるとニオイ・廃棄の問題や、かぶれなどの皮膚トラブルや金銭面ではオムツ代がかかります。
このように、オムツには長所も短所もあるので、まずはオムツをつける前に他にやれることがないか考えてみましょう。
まずは排泄行為の流れの中でどこに問題があるのかをチェックします。
もし頻尿や尿が出にくいなどの症状があるなら、病院を受診することをおすすめします。
介護がグッと楽になるので、治せるものは治してしまいましょう。
一方で、認知機能の低下や動作の不自由など、すぐに治すことが難しい問題については、本人ではなく環境を変えていきましょう。
例えば、歩行機能が低下していてトイレに辿り着くのが難しいのであれば、トイレへの動線に手すりを付ける、居室をトイレの近くの部屋にする、しびんやポータブルトイレを利用するといった方法があります。
※※オムツを使った排泄介護のメリット・デメリット ※※
【メリット】
・漏れるかもしれないという心配が少なくなる
・衣類から外に漏れることが減る
・夜間に安心して眠れる
・介護が楽になる
【デメリット】
・本人が受け入れにくい(自尊心が傷つく)場合がある
・オムツ代がかかる
・ニオイや廃棄の問題がある
・かぶれなどの皮膚トラブルが起こることがある
オムツに頼らない排泄介護は本人の自立を促し、お互いの関係性を良好に保つことにもつながります。
かといって、オムツに頼ることが決して悪いというわけではありません。
例えば、夜間頻尿で何回も起こされてつらいなら、夜だけオムツをつけることで本人も家族も安心して眠ることができます。
オムツを使った方がいいかどうかはケースバイケースです。
どちらがいいのか迷ったら、今の状況を看護師やケアマネジャーに相談してみてください。
トイレに誘導するときは、本人の羞恥心に配慮した声かけを心がけましょう。
トイレを強制したり、せかしたりしてはいけません。
そもそも高齢者は尿意や便意を感じにくくなっていることがあります。
そのため、本人と介護者の間で認識に食い違いが生じることがあることを知っておいてください。
特に高齢女性の場合は「トイレに行くことは恥ずかしいこと」と思っていることがあるため、周囲の人に声かけを聞かれないよう配慮することも大切です。
本人がトイレに行きたがらない場合は、時間を置いてから再度声かけをしたり、前回からどのくらい時間が経ったかを伝えてみたりしてください。
それでもうまくいかない場合は、トイレに行きたがらない理由を考えてみましょう。
例えば、面倒だから、トイレは寒いからなどの理由があるなら、暖房を付けて暖かくする、時間を少し置いてから「一緒に体を動かそう」と誘う、「トイレに行った後にお茶とおやつの時間にしましょう」と提案するなどすると、トイレに行く気になるかもしれません。
トイレの介助は、本人ができないことだけを手助けするのが基本です。
自分でできることは自分でやってもらうことが、本人の能力維持につながります。
良かれと思って介護者がすべてやってしまうと、本人の自尊心を傷つけることになりかねません。
排泄行為の流れのうち、本人ができること・できないことを確認したうえで、できないことだけお手伝いしましょう。
もちろん、トイレ内でも本人の羞恥心に配慮することが必要です。
周囲の人に見られないように、タイミングを見計らって声かけをするなど工夫しましょう。
まとめ
介護する側が楽になれるからと言う理由だけで、オムツの装着を強制すると、自尊心が傷つき信頼関係が崩れてしまう可能性があります。
状況をよく言観察して、介護をスムーズに行いながら本人がどういった考えをしているのかを認知してすり合わせていく必要があります。