子ども本人はもちろんのこと、見守る親のメンタルも佳境の時期に入ります。
今回は、小児科医でもある成田奈緒子氏著書『誤解だらけの子育て』より、受験を控えた子どもとの接し方で気をつけるべきことをご紹介します。
大前提として、どんなことがあっても、自分の子どもを「かわいそう」などと思ったり、まして本人に向かって口にしたりしてはいけません。
「お友達の輪に入れないなんて」「運動会のかけっこでビリになるなんて」など、やたらと「かわいそう」と言って、あれこれ先回りして子どもを守ろうとする親御さんもいますが、じつは子どもの脳育ての観点からはマイナスになります。
親から「かわいそう、かわいそう」と見られて育った子どもは「自分はかわいそうな子なんだ」と自己認識し、不安を強めてしまいます。
そして自信をなくし、自己肯定感も下がるため、なかなか自立できなくなってしまうのです。
中学受験は子どもが強く希望する場合にだけ、その要望を聞いてするのもアリですが、間違っても本人が「受験したい」と言ってきたのに、「落ちたらかわいそうだから」などという理由で事件させないのやめましょう。
親のポジティブ思考で子どもの脳をよく育てることを目標にするなら、ぜひその代わりに「そもそも、中学受験ができる環境にあるなんて、あなたは恵まれているね!」と笑顔で伝えましょう。
そして、必ず受験の前に「受験は合格と不合格があるので、確率としては不合格になる可能性もある」と伝えておきます。
さらに「中学は義務教育だから、不合格であっても必ず進学先は確保されているところがラッキーだね。これが高校だったら浪人だよ」と、努めて明るく構えていることが大切です。
受験をきっかけに、行きづまってしまうご家庭はたくさんあります。
第一志望に不合格だったときなどは、子どももそうですが親御さんがさらにネガティブに捉えているケースが多く見受けられます。
志望していた大学に一度の受験では合格せず、浪人する場合もあります。
その際には、どうか子どもをかわいそうだと思ったりせず、むしろ親のほうが「これはチャンス」なのだと提案しましょう。
浪人生活になると、現役の高校時代より時間ができて、逆にラッキーだととらえることもできます。
いくら浪人とはいえ、1日ずっと勉強し続けることも不可能かと思うので、その時間を使って、自分で食事を用意することもできるでしょう。
週末には親子でスーパーに行って食材を買ってきて、ごはん係をつくることができ、それが勉強のリフレッシュになるかもしれません。
親として内心の葛藤もあるとは思います。
家事をやることで、来年も試験に合格できなかったら、どうしようと不安がよぎるかもしれません。
しかし、親がこの心配をストレートに表に出し、子どもに対して「来年も合格できなかったら大変だから、勉強以外は一切せずに受験に集中しなさい」などと言ってしまったならば、どうなるでしょうか。
子育てとは「心配」を「信頼」に変える旅です。
親から「心配な子」「かわいそうな子」だと決めつけられた子どもは、自己効力感を持てず、がんばることができなくなります。
本人が選んで決めた道に対しては、結果がどう転ぼうと、親は子どもを信頼し応援することが、なによりも大切なのです。
まとめ
そんな閉塞した利己的な育児環境に置かれた子どもは、もっとつらいはずです。
逃げ場のない家庭環境で苦しんだ挙げ句、心身にさまざまな症状が表れてくることもあります。
よかれと思っていても、決して先回りしないことです。
ご自分の感性に従い、社会につながる姿をできるだけ子どもに見せることを目標に、毎日の生活をつなげていけば、自然と子どもはその後姿を見て何かを感じているのですから。
親は子どもの力を信じましょう。