飼い主さんの中には、一日中でも愛猫の肉球を触っていられるという方もおられることでしょう。
猫の足の裏は、明らかに人の足の裏の構造とは異なる作りをしています。
なんとも可愛らしいデザインと、夢中にさせる感触。
なぜ猫の足の裏に肉球が存在しているのでしょうか?
今回は猫の肉球の秘密をいくつかご紹介したいと思います。
猫の足の裏にある小さなぷにぷにを「肉球」といいますが、実は次のような正式名称があります。
【まえ足】
中央の大きな肉球が「掌球(しょうきゅう)」、付随する4つの小さな肉球が「指球(しきゅう)」です。
人間でいう手首のあたりにあるのを「手根球(しゅこんきゅう)」といいます。
人の手でいえば、手のひら指の付け根くらいの位置が掌珠、指先が指球、掌の下半分が手根球にあたります。
猫はつま先立ちをしているような姿勢なので手根球は通常床とは接地しません。
【うしろ足】
4つの小さな「趾球(しきゅう)」と大きな「足底球(そくていきゅう)」から成り立っています。
人の足の裏で考えると、指先が趾球、背伸びして地面についている指の根元あたりが足底球になります。
人間はかかとをつけますが、猫はかかとを地面につけません。
また、手根球にあたるものは、後ろあしにはありません。
●肉球=クッション
肉球は触ると最高に気持ちよくぷにぷにとしていますよね。
猫は高い所から着地する際に、この肉球と体全体をバネのように使ってうまく衝撃を逃していると考えられています。
また、歩行の際には柔らかな肉球のおかげで足音を立てずに歩くことができ、ハンターとして獲物を捉える際に、足音を立てずに忍者のように接近できるといわれています。
●肉球=センサー
肉球は毛に覆われていないために、地面に触れる最初の感覚器となります。
道を歩く上で危険性がないのか、尖ったものはないのか、熱くないのか、冷たくないのかをいち早く探ることができます。
また、手でちょいちょいと触れて、その物体がどのようなものかを探る働きにも肉球のセンサーを使用していると考えられています。
●肉球=体温調整器官
肉球は猫の体表で数少ない汗をかく場所です。
体表には皮脂を分泌する器官が多くありますが、肉球だけは汗腺が発達していて体温調節を助けています。
つまり、猫の体温調節は足裏の狭い範囲と呼吸によって行われているのです。
これは、猫は極端な体温調整が苦手で、暑すぎる環境が得意でない理由にもなります。
●肉球のその他の機能
汗をかいて肉球を湿らせることにより、地面と適度な摩擦を生じさせる滑り止めの役割も担っています。
グルーミングをするときはさらに唾液などをつけて、全身を撫でるようにして汚れを落とします。
毛色を決める遺伝子との関連により、毛色と肉球の色とには次のような関係があるといわれています。
黒や茶の猫の肉球は黒い肉球が多い
灰色っぽい猫は小豆色っぽい肉球をしている
しかし、これらの色が混ざり合う場合もあり、肉球の魅力は無限に存在するといっても過言ではありません。
うちの鯖トラの女の子は、ひとつの肉球の半分が茶色、半分がピンクのを持っています。
肉球の色が性格にも関係しているという説もあるため、興味があれば調べてみるとよいでしょう。
飼い主さんは、愛猫の肉球周りの毛が伸びすぎていないか定期的にチェックしましょう。
肉球は猫が日常生活を行う上できちんとした役割をもっています。
例えば、肉球の間の毛が過剰に伸びていると、
・滑り止めがうまくいかずに転倒してしまう
・滑って落下事故を起こす
・センサーとしてうまく働かずケガをする
・日常生活に支障をきたす
・といった危険につながる可能性があります。
ときどきチェックして過剰な毛をカットし、必要なケアをしてあげることが大切です。
毛が伸びすぎているのか判断が難しい場合は、ペットショップや動物病院に相談しましょう。
また、定期的に肉球を触ってみて、ガサついていないかをチェックしましょう。
肉球が、極端にガサガサしている場合は、病気の可能性もあります。
肉球クリームなどもありますので、ケアをすればすぐに回復するなら問題ないかもしれません。
しかし、肉球の異常をみつけたら、一度、獣医師の診察を受けることをおすすめします。
肉球の変化が肝臓の病気のサインであったり、思いもよらない病気が隠れていたりすることもあるため注意しましょう。
チェックの際には、肉球の色に変化がないかも確認しましょう。
普段はピンク色の肉球が真っ白だったり、紫色になっていたりすると、貧血や止血異常のサインかもしれません。
黒や小豆色の肉球では変化を感じにくいですが、日常的なケアや観察により、普段との違いや変化を把握し、病気の早期発見につなげましょう。
まとめ
また、日常的なケアを通して、肉球の働きを最大限に助けたり、病気の早期発見に繋がったりすることもあります。
これを機に、定期的に愛猫のあしの裏を見てみてくださいね。
ただ、猫は基本的に、手先を触られることを得意としない場合が多いです。
しつこく揉みつづけてひっかかれたりしないよう、注意してください。