それが当たり前のような風潮になりつつある今、親としてどのように関わらせるべきか迷っている人も多いのではないでしょうか。
今回は、デジタルツールの使用が子どもの脳の発達に及ぼす影響と、デジタルに頼りすぎないバランスのよい学習法について深掘りしたいと思います。
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子どもの脳は、神経可塑性(しんけいかそせい)と呼ばれる、経験によって神経回路がつくり変えられる機能が高いため、適切にデジタルツールを使うことで、脳の発達を促進できます。
2020年のフロリダ国際大学のシェイル・F・グリフィス博士らによる研究でも、質の高い学習アプリによって、子どもの数学力や読み書き能力、語彙力が伸びると報告されています。
一方で、デジタルによる過度な刺激にはリスクもあります。
2011年、バージニア大学のアンジェリン・S・リラード博士らによる60人の4歳児を対象とした研究では、9分間テンポの速い動画を見ると、子どもの注意力や問題解決能力といった実行機能が即座に低下することが示されました。
脳の自己抑制や計画性を司る領域である前頭前野は発達が遅いため、デジタル刺激にさらされすぎると、欲求を抑える力が育ちにくくなるようです。
そして、多くの親にとって気になるのが、スマホやタブレットの「視聴時間」ですね。
これも子どもの脳の発育に影響はあるのかが興味深いところですが、スクリーンタイムが長いことで、子どもは感情の調整力や共感性が低下してしまい、社会性の発達が阻害される可能性があることも明らかになっています。
子どものデジタルツールの活用は、数々の研究結果によって、一長一短があると考えられています。
上手にバランスよく活用することが、現状の対策として大切なのだ言えます。
1.デジタル機器から離れ、外遊びや運動の時間を確保する
デジタル機器好きの子どもは多いかと思いますが、外遊びと運動の時間をしっかり確保することが大切です。
2014年にハーバード大学が発表したアクティビティガイドによると、外遊びや運動は、ワーキングメモリや自己抑制力を高めることに役立つとされています。
2.紙と鉛筆を使った「アナログ学習」を大切に
小学校低学年の文字習得には手書きが有効です。
バスク大学とバレンシア大学による50人の4~5歳を対象とした研究では、キーボード入力よりも紙に手書きする子どものほうが、文字認識や語彙力テストでよい成績を収めたと報告しています。
紙と鉛筆を使う方が成績がよくなるという結果が出ているのは意外ですが、手で書く行為は脳の視覚野や運動野を広範囲に刺激し、記憶や理解を深めるそうです。
また、東京大学大学院総合文化研究科の酒井邦嘉教授らとNTTデータ経営研究所の共同研究によると、デジタルで記録するよりも紙の手帳で残す方が記憶の正確性が高くなり、言語処理や記憶処理、また視覚をつかさどる領域がより活性化することがわかっています。
子どもの学習にもデジタルとアナログとのバランスをとって、適宜適切な学習法を取り入れていくのが理想的なようです。
3.読書習慣を紙の本で確立する
さらに、紙の本を使った読書習慣をもつことが大切なようです。 ノルウェーのスタヴァンゲル大学のヒルデグン・ストーレ准教授らが行った研究で、10歳の子ども1139人を対象に、紙を使って文章を読み、解答する場合と、スクリーンを使って文章を読み、解答する場合の両方で読解力のテストを行ったところ、紙でテストを受けた場合の方が、スクリーンでテストを受けた場合よりも明らかに成績が優れていました。
紙の本を読むことで想像力や共感力を養うこともできます。
4.睡眠の質を保つルールを家庭で設定
子どもの脳はとくに睡眠の質が大切です。 大人にも言えることですが、就寝1時間前のスクリーン使用が睡眠の質を下げることは広く知られています。
夜のスクリーンオフタイムを家庭ルールに取り入れ、大人が率先して手本を示すことで、子ども自身がデジタルツールと上手につき合う力を育むようにしましょう。
まとめ
本日の記事を参考に、ぜひ子どもへのデジタルツールを与える方法を、上手く取り入れてくださいね。