いわゆる「フレイル」と呼ばれるものです。
注目されがちなのは、メンタル面や足腰の弱りですが、食べたり話したりする口のフレイルにも要注意が必要です。
ほおっておくと認知症など要介護状態につながる危険性もあります。
実際に歯周病や虫歯を抱えていると認知症になりやすいという統計が出ています。
でも過度に恐れたり不安がる必要はありません。
ほんの少し、日常生活の中で気をつけていくだけでフレイルは予防できるのです。
今回は、フレイルの予防についてご紹介します。
★ フレイルから高まるリスクを予防する3本柱
1.日常生活にプラスして運動!
2.口腔機能を維持して栄養を摂る!
3.地域とのつながりを持つ!
★ 地域全体としての取り組み例
★ まとめ

筋肉量は30代から年々減少していきます。
フレイル予防について考える場合、年をとったからと柔らかいものばかり好んで食べていると、かむ機能が低下してむせやすくなってしまい、口腔機能が低下することによって心身の機能低下にもつながります。
そして、運動器の衰えによって「立つ」「歩く」といった移動機能の低下が進むと、外出することがおっくうになり、閉じ込もりやちょっと動いただけで転倒するリスクが高まるのです。
フレイルは認知症や誤嚥(ごえん)性肺炎、要介護状態などにつながる可能性が大きいため、軽く考えてはいけません。
しかし、フレイル予防のためにすることは非常にシンプルなのです。
大切なのは、
1.「日常生活にプラスして運動」
2.「口腔機能を維持して栄養を摂る」
3.「地域とのつながりを持つ」
この〝3本柱〟です。
1本目の「日常生活にプラスして運動」では、例えば動くときに、普通に歩くのではなく、しっかり手を振って足を上げて歩き、1~2分でも早歩きを取り入れてみましょう。
無理は禁物ですが、坂道の上り下りなど、少し負荷をかけると効果的です。
できる範囲で続けることが大切です。
2本目の「口腔機能を維持して栄養を摂る」は、口腔機能の維持をするための練習です。
「パ」「タ」「カ」「ラ」の音を「パパパパ…」「タタタタ…」と早く唱えることで舌や口周りの筋肉を鍛える『パタカラ体操』がおすすめ。
また、高齢者こそタンパク質を多く摂る必要があり、脂分の少ない鶏肉のささみや胸肉、卵を積極的食べるようにしましょう。
また、ひとりで食事をする〝孤食〟ではなく、家族や友人、仲間と食べる機会を増やすようにしましょう。
3本目の「地域とのつながり」は、外出やボランティア、趣味での地域交流をはかることです。
地域や社会との関わりが薄くなると、生活範囲が狭まって心も弱っていき、ドミノ式にフレイルは進んでしまいます。
自分にとって、やりがいのある活動、つながりを見つけて社会とのかかわりをキープしていきましょう。

フレイル予防は個人だけではなく、地域社会も一体となってすすめていく課題です。
厚生労働省が「フレイル健診」の質問票を策定するなど、国も各自治体へ予防・対策を要請しています。
その中で、最も進んでいるとされているのが千葉県柏市です。
市をあげて地域住民主体のフレイルチェック活動を推進するとともに、「かしわフレイル予防ポイント制度」を創設。
市民がウオーキングやラジオ体操などの健康事業やボランティア活動に参加するとポイントが付与され、年度内30000ポイントを上限に【10ポイント=1円】でWAONやPayPayに交換できるのです。
これまでに2万人以上が利用し、楽しくお得に健康づくりに努めています。
柏市ほどの取り組みは珍しいかもしれませんが、各自治体で市民講座を開催するなど、フレイル対策は進んでいます。
お住いの地域でもフレイル予防に関する講座などが開催されているかもしれません。積極的に参加して社会との関わりを持っていただきたいと思います。

まとめ
平均寿命から健康寿命を引いた差の年数は、つまり、日常生活に支障が出ていたり、何らかの病気のある状態にあるということです。
それが、男性なら8年半、女性は11年半もあるという計算になるのです。
ただ、「長く生きる」のではなく、「元気で長生き」するための3本柱にしっかりと取り組んでください。
できることから始めて、少しずつ努力を続けてみましょう。
何歳からでも、元気な身体を取り戻すことはできるはずです。