夏は、海水浴や旅行、お祭り、花火など、楽しめるイベントがたくさんある一方、昨今の酷暑の影響で「食欲が減退する」「体がだるい」「疲れがとれない」「眠れない」などの夏バテ症状に悩まされる方も少なくありません。
そこで、今回は一年で一番抵抗力とスタミナが弱る夏に起こるさまざまな症状なかでも「夏バテ」に焦点を当てて、インドやスリランカに伝わるアーユルヴェーダの知恵をお借りして、おすすめの夏の過ごし方をご紹介していきます。

アーユルヴェーダでは、心と体の基本的な性質から、「ヴァータ(風)」「ピッタ(火)」「カパ(水)」の3つの体質(ドーシャ)に分け、自然産生物、食事療法、運動、生活習慣を組み合わせて体質の改善を図ります。
ピッタとは、3つの体質(ドーシャ)のうちの1つですが、本格的な夏に移行し始めるころ、ドーシャの中で徐々にピッタが増大してきます。
ピッタがもつ火のエネルギーが、気温の上昇と共に過剰となり乱れやすくなってしまうのです。
暑くなると、人間は無意識に体温を下げようと冷たいものを摂取しやすくなり、内臓が冷えがちになります。
夏は、日差しが強くなる自然界と同じように、体内で「ピッタ(火)」が増えるので、3つのドーシャのバランスが崩れ、体の不調が出てくるのです。
しかし、食べ物や日常生活のなかで体内の「ピッタ(火)」を調整するように気を付けることで、バランスを戻して体の不調も治すことができます。

体内にこもった熱はカラダの水分を排出し、乾燥肌としてカラダに現れます。
さらに、内臓の機能が低下し、食欲がなくなり体重が減る傾向になります。
体重が減ることで体力が落ち、カラダのだるさ、心の潤いがなくなり気持ちも不安定になります。
また、アイスや冷たいドリンクなどの冷えたものを多く摂ることで内臓が冷え、機能が低下します。
機能が低下するとアグニ(消化力)も低下していきます。
アグニが低下するとアーマ(未消化物)が身体の中にどんどん蓄積され、身体の不調を内側から起こしやすくなります。
冷たいものを摂取して冷えた胃は、温めようとしてエネルギーを浪費するため、そのせいで体力が奪われてだるさや疲労感につながります。
こういった複数の要因が重なることで、夏バテや熱中症など、夏の不調につながっていくのです。

夏の冷えた体には、消化に良い夏野菜を入れた温かいスープがオススメです。
スープから適度な水分が補充でき、消化力もアップされカラダを滋養してくれるでしょう。
また、汗と共に体が乾燥しやすくなるので、オイルを少し足すのと効果的です。
夏場はココナッツオイルを使うとより、火のエネルギーを鎮静させる効果が期待できます。
2.冷たいものの変わりに夏野菜や果物を活用
体を冷やそうとアイスや冷たいドリンクを摂取するなら、替わりに水分の多い夏の野菜や果物を摂るようにしましょう。
ビタミンやミネラルなどの栄養素も同時に補給できるので夏バテ防止・体力強化にもつながります。
夏の食材としては、果物では、スイカ、パイナップル、メロン、ぶどう、イチゴ、キウイ、さくらんぼ、ナシ、もも、ライム、マンゴー、洋ナシ、プルーン、柑橘類、アボカドなど、野菜なら、スパラガス、ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、セロリ、キュウリ、さやいんげん、レタス、オクラ、ケール、ズッキーニなどが旬にあたりオススメです。
3.食べ過ぎに注意
普段、お腹がいっぱいになるまで食べていないでしょうか?
自分の適量以上の食べ物を摂取すると、アグニがうまく働かず、消化しきれない場合があります。
食事は、腹7~8分目程度を意識してこころがけましょう。
また、食事をする前に、まずは自分のお腹に空腹かどうかを聞いてみましょう。
もしあまりお腹が空いていなかったら、無理に食べる必要はありません。
思い切って一食スキップしても良いでしょう。
今年は夏本番が早々に到来した感があるので、夏バテを防ぎ、長い夏を元気で過ごすためにも、食事の環境を整えましょう。
ながら食べではなく、五感を楽しませながら、よく噛んで、季節の食材を美味しくいただいてください。

まとめ
できる範囲でぜひ取り入れていただいて、今年の夏を元気に乗り切るようにしましょう。