飼い主さんは、飼い始める前に最後まで責任を持って飼えるのかをしっかりと考え、愛情と責任をもって飼うことが肝要です。
人と猫が快適に暮らせるようにすることや、社会や近隣住民に迷惑をかけないようにする責任と努力があります。
猫が人間社会の一員となるためには、飼い主のマナーが大切なのです。
今回は、飼い主さんが猫を飼う上でのモラルと責任についてご紹介したいと思います。

猫の放し飼いを禁止する法律はありませんが、猫を自宅と外を自由に出入りさせることは、近所の人には迷惑な行為になるかもしれません。
隣の花壇や近所の家庭菜園に糞尿をしてしまったり、車の上に乗ったり。排泄物やニオイ、傷や損傷など、愛猫がよその人に迷惑をかけてしまいます。
自宅にいれば、トイレのニオイや粗相、爪とぎの跡など、飼い主さんにとっては自分のことです。
しかし家族以外の人を困らせたり不快な思いをさせたりするのは迷惑をかけること。
猫にとっても、事故やケガ、ノミの付着や病気の感染などデメリットが多いので、完全室内飼いにするのが望ましいと思われます。
2.抜け毛を外ではたく
猫を飼っている人が意外と気づかないのが、その抜け毛の処理です。
大量に抜け毛のついた衣類や布団、カーテンなどを、連日のように外で「バンバン」はたいていたら、猫の抜け毛は風にのって隣の家の洗濯物についたり、ベランダに落ちたりします。
もし自宅が隣の住宅と密接している場合は注意が必要です。
特に猫の飼っていない家や猫アレルギーのある住民ですと、トラブルにつながることもあります。
少し外ではたく分には問題視されないかもしれませんが、たくさんの量を毎日のように外ではたいていたらトラブルのもとになる可能性もあるので、猫の抜け毛は自宅の中で処理をするのが賢明です。
3.無意味な散歩
猫アレルギーの人は思っている以上に多く、日本人では成人の約10~20%を占めると言われています。
猫を街中で散歩させるということは、猫アレルギーの人の健康を害してしまうことになり、むやみに猫を散歩させることは避けるべきです。
また犬と違って、猫は散歩の必要がないといわれています。
散歩は、猫にとっても見知らぬ場所に連れていかれる恐怖心から、かえってストレスをかけてしまうこともあります。
しかも外の世界はノミの付着や病気などのリスクも高まるので、猫にとってメリットはほとんどありません。
猫は完全室内飼いをしている限り縄張りは自宅の中だけですが、散歩を経験し外世界に慣れた猫は縄張りが広がってしまい、ひとりで外に出たいと感じるようになります。
外の世界を知ってしまった猫は「出して!」と鳴くようになることも多く、脱走にもつながりますので、意味のない散歩は迷惑になると認識しておきましょう。
4.キャパオーバーの多頭飼い
「多頭飼育崩壊」と聞くと、驚くほどの頭数やまるでゴミ屋敷のように荒れた自宅を想像する人も多いかもしれませんが、注意する必要があるのはニュースになるような状態だけではありません。
人にはそれぞれ「キャパシティー」というものがあります。
ライフサイクルや経済力、住環境など、あらゆる条件から見て、飼える頭数にはそれぞれの限度があります。
そのキャパシティーを超えた頭数の猫を飼うということは、猫のお世話が満足に行き届かないということです。
猫を飼うときは責任をもってお世話できる環境を整えてからにしましょう。
またきちんと計画的に避妊・去勢手術を受けさせるのも推奨されています。

【その1】動物の習性などを正しく理解し、最期まで責任を持って飼うこと
【その2】悪臭や鳴き声などの迷惑や、噛み付きなどの危害の発生を防止すること
【その3】災害に備えること
【その4】むやみに数を増やしたり、繁殖させないこと
【その5】動物による感染症の知識を持つこと
【その6】動物が逃げたり、迷子にならないようにすること
【その7】所有者を明らかにすること
この中で【その3】にある「災害に備えること」というのは、具体的に言うと飼い主さん自身が災害に逢った時の対応として、自分の家族と同じように、愛猫の餌や水を備蓄すしたり、愛猫と一緒に避難訓練に参加することをやっておくということです。
また、いざ避難するときのために、ケージやキャリーバッグに入ることを嫌がらないようにしつけておくといった準備も、日頃からしておくことです。
実際に災害が起きた際は、安全を確保した上でペットと一緒に避難する同行避難がおすすめですし、飼い主の方の命を守るためにも、一緒に避難してもらいたいと思います。
そのためには事前にペットと一緒に避難できる場所があるかどうか、ペット受け入れ可能な避難先を飼い主さんが確認しておくことが大切です。
令和元年に法律が改正され、ブリーダーやペットショップなどで販売される犬や猫については、マイクロチップを装着することが義務化されました。
所有者である飼い主さんの情報を、環境省のデータベースに登録することが義務になっています。
譲渡会や地域猫の保護などから飼い主さんになった場合は、、迷子や盗難、災害時の行方不明などに備えて、迷子札などを装着するのが推奨されます。
マイクロチップや迷子札で【その7】のように誰の猫かを明らかにしておくことは、離れ離れになってしまった場合、見付けやすくなるメリットがあります。

まとめ
私もそも一人ですが、確かに猫好きさんにとっては、不思議なくらいに猫はカワイイものです。
しかし、猫を嫌いな人も猫好きさんと同じ割合で存在しているそうです。
一度自分を客観視してみて、「猫が嫌い」という目線から、マナー違反がないか確認してみてもよいかもしれません。