しかし、どのように叱れば良いのか、その方法に悩むことも多いでしょう。
叱った後に「もっと優しくできたはず」「きつく叱りすぎたかも」と後悔することは、子育てに真剣に向き合う親であれば一度や二度はあるかもしれません。
叱るとは、愛情をもって正しい方向へ導くための行動ですが、怒ると叱るは違います。
怒りは単なる感情の爆発であり、子どもに不安や恐怖心を与えてしまいます。
ここでは、親が陥りやすい間違った叱り方を理解し、親子関係をより良くするための方法を見ていきましょう。
★ 子どもにやってはいけない叱り方14選
1.感情的に怒鳴る
2.一方的に叱る
3.他の子どもと比較する
4.人格を否定する言葉を使う
5.長時間にわたる説教
6.罰が目的化する
7.他人の前で叱る
8.八つ当たり
9.失敗を過剰に叱る
10.過去の失敗を持ち出して叱る
11.叱るタイミングが遅れる
12.条件付きの愛情を示す
13.期待の押し付け
14.子どもの性格や感情を無視する
★ 意識しておきたい3つのポイント
★ まとめ

叱り方には、正しい方法と間違った方法があります。
子どもに間違った叱り方をすると、悪影響を与えるだけでなく、親自身も後悔や罪悪感を感じることになります。
親がよく陥りやすい間違いを具体的にご紹介します。
1.感情的に怒鳴る
感情が高ぶるあまり、つい子どもに大声を上げてしまう場合もあるでしょう。
子どもにとって親から怒鳴られることは、拒絶や恐怖のサインと捉えられやすく、根本的な解決にはなりません。
そのため、親に対する信頼や愛情が揺らぎ、子どもが心を閉ざしてしまう原因となります。
また、感情的な怒鳴り声は、子どもが反抗的になる一因にもなります。
2.一方的に叱る
子どもが何か問題を起こした際、その背景には子どもなりの理由や思いが多く含まれています。
親が何も聞かずに一方的に叱ってしまうと、子どもは「自分の気持ちは理解されていない」と感じ、自己表現を諦めるようになるかもしれません。
また、「なぜそれが叱られる間違いなのか」を理解できないままにただ叱られることで、子どもの行動の改善はなされないままに終わり、結果として親子間の溝が深まることがあります。
3.他の子どもと比較する
子どもの周囲のにいる友人や他の子と比較して叱る方法は、自尊心を傷つけ、自己否定感を生み出す場合があります。
特に思春期前の成長時に性格が異なる他人と比較されると、子どもは自分を劣等視しがちになります。
また、比較対象の子に対して歪んだ嫉妬や敵意を感じることにもつながり、人間関係の発展に影を落とす可能性もあります。
4.人格を否定する言葉を使う
親側が激昂して、つい子どもの人格を否定する言葉を投げかけてしまうことがあるかもしれません。
言った親は忘れても、子どもにとっては心に深い傷を残し、自己肯定感を大きく損なう原因となることもあります。
子どもにとって親は「無条件で自分を受け入れてくれる存在」なので、その存在から否定されることは、親が思っている以上に子どもの心に深い不安を植え付けます。
5.長時間にわたる説教
親としての思いを伝えようと問題行動に対して長時間説教をすることもあるかもしれません。
しかし、説教の時間があまりに長すぎると、子どもは内容を聞き流すようになり、「また始まった」と思うだけで、内容を感受しにくくなります。
また、説教が続くと、子どもにとってその時間が苦痛となり、「何が悪かったのか」を学ぶ機会を失ってしまいます。
6.罰が目的化する
叱ること=単に罰を与えることになってしまうと、子どもは「悪いことをしたら怒られる」ということだけを恐れるようになり、間違った行動に対しての反省や改善の機会を失います。
その行動の理由や本質を考えなくなると、成長や改善は期待できません。
叱る際は、まず親が子どもがなぜその行動をしたのかを理解し、その行動が間違っていること、どう行動すれば改善に繋がるかの言葉掛けをすることが大切です。
7.他人の前で叱る
公の場や他人の前で叱ることは、子どもにとって屈辱的であり、自尊心が大きく傷つきます。
特に友人や親戚の前で叱られると、子どもは恥ずかしさや屈辱のあまり、以降自由な自己表現や行動が萎縮してしまうことがあります。
叱ることが必要だと感じた場合は、なるべく他人のいない場所で冷静に向き合うことが望ましいでしょう。
8.八つ当たり
仕事や育児、家事に追われる中で、疲れやストレスが溜まり、子どもに当たり散らことはありませんか。
そのような時、子どもには叱られた理由がわからず、親に対する恐怖心や不信感を抱いてしまうかもしれません。
親として、ストレスを子どもにぶつけてしまわないように気をつけたいものです。
9.失敗を過剰に叱る
小さな失敗を大きな問題のように捉えて過剰に叱ると、子どもは失敗を恐れるようになり、積極的にチャレンジしようとする気持ちが損なわれます。
「一度の失敗でこんなに叱られるなら、もうやらない」といった心理が働き、新しいことへの挑戦心を失う可能性があるのです。
失敗は成長の一環と捉え、次への改善点を示すように心がけましょう。
10.過去の失敗を持ち出して叱る
今叱っている問題とまったく関係ない過去の失敗を持ち出してきて叱ると、子どもはとまどい何をどう改善すればよいのかわからなくなるでしょう。
努力をしても無意味に思え、「何をしても変わらない」と自己否定に繋がり、次のステップへの意欲が削がれることもあります。
焦点はあくまで今起こっていることに当てて、現在の改善を促しましょう。
11.叱るタイミングが遅れる
叱るタイミングは、親が思う以上に重要であることを忘れてはいけません。
問題が発生したその時に叱ることが望ましいですが、時間が経ちタイミングを逃してしまうと、子どもは「なぜ今?」と叱られた理由がぼやけてしまうのです。
その結果、叱る目的が果たされず、子どもにストレスを与えるだけとなってしまうのです。
問題が発生したらすぐに対応し、子どもが理解できるように促すことが大切です。
12.条件付きの愛情を示す
子どもに「○○しないと愛されない」というメッセージを送る叱り方は、親子の信頼関係に大きなダメージを与えることがあります。
例えば、「いい子じゃないと愛されない」といった発言は、子どもに不安を与え、いつも親の顔色を見ながら、親の気に入る行動しかしない性格にさせることがあります。
「どんなあなたでも大好き」と無条件の愛情を示すことが、子どもが安心して成長するためには欠かせません。
13.期待の押し付け
「○○になってほしい」という親の期待が強すぎると、子どもにとってプレッシャーになります。
「勉強ができる子になってほしい」「他の子より優れてほしい」といった期待が過度になると、子どもは親の理想に応えようと無理をし、本来の自分らしさを見失う可能性があります。
その結果、自己肯定感の低下やストレスにつながりやすくなります。
14.子どもの性格や感情を無視する
親としての意見や考えを押し付け、子どもの感情や性格を無視してしまうと、子どもは「理解されていない」と感じます。
特に感受性が豊かな子どもは、自分の気持ちを受け入れてもらえないと、次第に心を閉ざすようになり、親に対する信頼を失っていくかもしれません。
叱る際には、子どもの性格や感情に寄り添い、共感する姿勢を示すことが大切です。

子どもを叱る際には、冷静さを保ちながら、伝えたいメッセージをしっかりと理解してもらうことが大切です。
子どもにとって叱られることは少なからず負担を感じる体験ですが、同時に自分を振り返り、成長につなげるチャンスでもあります。
親が心がけるべきポイントとして、
1.具体的な行動を指摘し、その理由を説明する
ただ「ダメ」と叱るのではなく、具体的に「何がいけなかったのか」を伝えましょう。
例えば、「部屋を片付けなかったから叱られた」というだけでなく、「物が散らかっていると危険で、紛失しやすい」と具体的に理由を添えて説明すると、子どもがその行動を理解しやすくなります。
子どもは単に「叱られた」と感じるだけでなく、「なぜそれが悪いのか」を理解できるようになることで、次回からの判断がしやすくなります。
2.子どもの話を一度受け止め、共感を示してから注意する
子どもの行動には、必ず何らかの理由や背景があるものです。
親が一方的に叱るのではなく、まずは「なぜその行動をしたのか?」と問いかけ、その時の状況や子どもの気持ちを聞く姿勢を持つことが大切です。
親が子どもに共感を示す過程が、「自分の気持ちが尊重されている」という安心感を与え、心を開いて親の話を聞く態勢になります。
また、共感を示すと「次回もきちんと話をしよう」という前向きな姿勢が育まれ、親子間のコミュニケーションがより円滑になります。
3.改善できた点を具体的に褒めて、成功体験を増やす
叱った後に改善が見られたら、それを積極的に褒めることで、子どもに自信を持たせ、ポジティブな行動への動機づけとなります。
昨日はできていなかったことが、今日はしっかりできていたよ、と伝えることで、子どもは自分の成長を実感しやすくなります。
また、褒められることで、子どもは「自分はできる」という自己肯定感を得て、さらなる改善に向けた意欲が高まります。
子どもは成功体験を重ねることで、自然と良い行動を取る習慣を身につけていきます。
それがどんなに小さな改善であっても、親がそれに気づいてくれ、声掛けすることで、子どもは安心感と信頼感を持つことができるのです。

まとめ
ご紹介したポイントを押えておくと、親も冷静に対応できるだけでなく、子どもにとっても受け入れやすく、前向きな経験に変えることができます。
「叱る」ことは、単なる指摘ではなく、子どもの成長を促し、親子の絆を強めるチャンスです。
親としての心の余裕を保ちながら、愛情を持って冷静に向き合いましょう。