学校で習ったことは「頑張ること」「努力すること」が大切だということばかりで、決して「がんばらなくてもいい」とは教えてくれませんでした。
弱音を吐かずにがんばり続ける人が、「我満強い」「がんばり屋さん」「忍耐力がある」と称賛されるのが当たり前の世界なので、すでに自分は限界を迎えていても、無意識に押さえこみまだ頑張り続けようとした結果、ある日突然、メンタルを病んでしまうこともあります。
今回は精神科医の和田秀樹氏の著書『逃げる勇気』から、逃げることこそが無駄な勝負を避けるポジティブな戦略であり「つらいなら今すぐ逃げなさい」というメッセージを送ります。




逃げるとは、生き延びること



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私たちは、普段誰かを応援するときに、あたりまえのように「がんばれ」と口にしています。




「がんばってね」

「負けないで」

「最後まであきらめちゃいけないよ」

「途中で投げ出しちゃダメ」




挫折しそうになったとき、誰でも周りからこんなふうに励まされてきたと思います。




その中にひとりでも「逃げてもいいよ」と、言ってくれた人はいましたか。




やはり一般的には人を励ますためや応援したい気持ちを伝えるときには、つい「がんばってね」と言いたくなります。

そう応援されたら、言われた側も「はい、がんばります」と答えてしまいます。

でも、これからはその言葉を口にするのは、控えるようにしてください。

その理由を「がんばる」の漢字からひも解いていきましょう。




「がんばる」は漢字では「頑張る」と書きます。
広辞苑には、その意味が主に3つが記されています。


1.我意を張り通す

2.どこまでも忍耐して努力する

3.ある場所を占めて動かない



あらためて考えてみると、この3つの意味の「頑張る」は、どれもあまり良い意味ではありません。

ではなぜ良い意味ではない「がんばる」を他者を励ます言葉として使うのでしょう。







「逃げ」と「遊び」は、生きていくうえで重要な戦術



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「頑張る」の反対用語に見える「逃げる」と言う言葉について見てみると、建築用語では、「逃げ」 は「遊び」とも言われ、部材に狂いが出たときに、その誤差を受けとめる「余裕」を表します。

隙間を作って余裕を持たせておくことで、木材などの部材が温度差や湿度などによって狂いが出ても、その細かなズレを吸収することができるのです。

結果、「逃げ」という隙間をあえて用意することによって、建物の完成度が格段に高まります。

つまり建築の世界では、逃げがゼロの仕事は完璧とはいえないのです。




また、車のハンドルとブレーキにも「遊び」があります。

遊びがないと、道路のちょっとした凹凸でタイヤが動いてハンドルに常時伝わります。

これでは車を安定して真っすぐに走らせることができないし、非常に危険です。




ちょっとしたハンドル操作とブレーキ操作で、車が方向を変えたり急停止したりしない「遊び」を持つことで、車の安全性を高めています。
路面に凸凹があっても遊びがあるためにハンドルを取られにくいのです。




同じ車でも、F1のようなレーシングカーになると、遊びがまったくありません。

定められたコースを最速で走ってゴールするには、遊びがあると勝てないからです。

ただし、速いけれども、ハンドルを握っているドライバーは、一瞬も気を抜けない緊張の連続を強いられます。

少しでも気をゆるめたら、即、事故につながる命に直結する過酷なレースです。




ずっと頑張り続けている私たちの人生もまったく同じだと言えるでしょう。

いつも一瞬も気を抜けない緊張の連続を強いられている状態で生きているのです。




そのような生き方では、いつか命に係わる人生の事故を招く恐れがあるのではないでしょうか。

実は「逃げ」と「遊び」は、実は生きていくうえでなくてはならない重要な戦術なのです。








体と心が壊れる前に



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現代社会においては、いったん組織に入ったらなかなか逃げられない状況になると言えるかもしれません。

人事評価制度に不公平があったり、慣れない業務を任せられてもだれにも相談できずにいたり。




よくあるのはアメリカの精神科医グレゴリー・ベイトソン氏によって提唱された「ダブルバインド」という理論です。

「ダブルバインド」とは、ふたつの矛盾した要求や情報のどちらの選択肢を選んでも、罪悪感や不安感を覚える心理的ストレスのある状態のことをいいます。




たとえば上司に「わからないことは何でも聞いて」と言われたので質問したら、「それくらい自分で考えるように」と突き放されたり、「自分で考えて行動しなさい」と放置しておきながら、自分で考えて行動すると「相談もなく勝手に行動した」と怒るような場合です。

このような上司・会社で、あなたの身は健全にたもたれるでしょうか。

会社や上司と戦ったところでスムーズに解決するとは限らないので、やはり体と心が壊れる前にさっさと逃げるが勝ちなのです。




令和3年3月卒業のデータによると、新規大学就職者の約3人にひとり(34.9%)が3年で離職するとでています。

離職率は、仕事内容、待遇、人間関係の3つによって左右されるといわれます。

転職エージェントサービスが充実してきた現代においては、頑張って我慢して働き続けるよりも「逃げやすい環境」が整ってきているのではないでしょうか。








まとめ

「逃げたい」気持ちを悪いと思うことはないし、むしろ自分を守るためには必要なものでしょう。
結果として「頑張る」「逃げる」どちらを選択することになったにせよ、自分の心と相談しながら常に「頑張る」「逃げる」という両方の気持ちを図っていくことが大切なようです。
もしかすると逃げた先に希望の光が見えるかもしれません。

筆者プロフィール

こらっと

大阪生まれ。団体職員兼ライターです。
平日は年季の入った社会人としてまじめに勤務してます。
早いもので人生を四季に例えたら秋にかかる頃になり、経験値は高めと自負しています。
このブログがいきいき生きる処方へのきっかけになれば幸いです。

お問合せはこちらで受け付けています。
info.koratwish@gmail.com


海外からの人材受け入れ団体職員として働いてます。
遡ると学生時代のアルバイトでアパレルショップの売り子から始まり、社会人となってから広告プロダクションでコピーライターとして働きました。
結婚・出産を経て、印刷会社のグラフィック作業員として入社。
社内異動により⇒画像・写真加工部⇒営業部(営業事務)⇒社内システム管理者と、いろんな部署を渡り歩きましたが、実母の介護のためフルタイムでは身動きが取れなくなり、パート雇用として人材受け入れ団体に時短勤務転職しました。

2019年実母が亡くなり、パートを続ける理由がなくなったため物足りなさを感じる毎日でしたが、年齢の壁など一顧だにせず(笑)再びフルタイムで働きたい!と就活し続けた結果、別の人材受け入れ団体に転職しました。
責任も増えましたが、やりがいも増えました。

デスクワーク経験が長く、Office関係の小ワザや裏ワザ、社会人としての経験を共有できれば幸いです。

家族構成は夫がひとり、子どもがひとり
キジ猫のオス、サバ猫のメスの5人家族です。

趣味は、読書、語学学習、ホームページ制作などなど
好奇心が芽生えたら、とにかく行動、なんでもやってみます。

猫のフォルムがとにかく大好きで、
神が創造した生物の中で一番の傑作だと思ってます。
ちなみに「こらっと(korat)」は
タイ王国のコラット地方を起源とする
幸福と繁栄をもたらす猫の総称です。




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