親にとってその言葉はある意味本心であり、子どもに良かれと考えてそうするように促しているのですが、子ども自身にとって、それが果たしてためになっているのかは甚だ疑問です。
今回は、なぜ親の「あなたのため」が子どものためにならないのかを検証していきたいと思います。

親が子どもに「あなたのため」という言葉を言うのは、日常においてそれほど珍しいことではないようです。
しかし幼少期に私が親からその言葉を言われたときに芽生えた反発心は今でもしっかり覚えています。
小さい時は、理由はわからなかったのですが、本能的に腹立たしく思ったのです。
なので、自分の子どもには一度も「あなたのため」と言ったこととはありません。
「あなたのため」という言葉は一見、子どもを思う親思いやりのように見えますが実は問題点をはらんでいる気がするのです。

子どもは親に「あなたのため」と言われれば、内心はともかく受け入れざるを得なくなります。
数回だけならまだしも、言われ続けているとまるで自分はいつも間違っていて、親が全部正しいのだという思考にとらわれてしまいます。
たとえば塾を選ぶときや志望校を選ぶときなど、何かを選択して決断する必要があるときに「あなたのためには〇〇がいいよ」と言われると、子どもはどう感じるでしょうか?
日常生活など身近なところでは、洋服やレストランでのメニューを選ぶときに、いつも親が「こっちがいいよ」と勝手に決めていれば、子ども自身の意思で何かを選んだり決断するという思考が育まれるはずはありません。
こうした親からの押しつけが強い家庭では、何も言い返せずにただ親の言いなりになる子どももいますが、ほとんどの子どもは反発する気持ちが大きくなるように感じます。
外野から見ている限りでも、健全な親子関係には見えないケースがあります。
子どもは「あなたのため」と無理強いされ続けることで、やりたくないことを、「自分のため」じゃなく「親の期待に応えるため」にやり続けてなくてはいけないと感じてしまうのではないでしょうか。
その結果として、子どもは本当に「自分のため」に言ってくれているんじゃなくて「親がそうしたいから言っている」と思うようになってしまいます。

子どもが「あなたのため」と言われたことを実は「親のため」にやるという、とんでもない悪循環が生じます。
こういったサイクルにハマってしまうと、親も子もなかなかそこから出ることができなくなってしまいます。
子どもが感じている自分のやっていることが「親のため」という感覚は正しいのかもしれません。
つまり親は「あなたのため」と言いながら、「いい学校に行けば安心」「英語が話せれば将来の選択肢が広がる」というように、本当は親自身が安心したいだけということもあるでしょう。
一見すると子どものためのように見えるのですが、実は「親が安心したい」という気持ちが多分に含まれていることも少なくないのです。

まとめ
思い当たる方もおられたのではないでしょうか。
これがあなた(子ども)のため、と一方的に決めつけずに、親子で一緒に考えて決めていこうという手段にシフトしていくのが理想だと思います。