聞きなれない言葉かもしれませんが、「反省ポーズ」などとも呼ばれ、SNSなどでは見かけることもあります。
このヘッドプレッシングは、よく知らなければ何かを反省しているように見えるため、あまり深く考えずに放置してしまいやすい行動です。
しかし、ヘッドプレッシングの行動は脳の病気による危険なサインの可能性があります。
今回は、猫がヘッドプレッシングをする理由や考えられる疾患、対処法などをご紹介します。

猫が顔を下向きにして壁・柱・家電などに頭を押し付けて動かない状態のことを「ヘッドプレッシング」と言います。
猫のみならず、犬・馬・牛・ヤギなどの他の動物にも見られる行動ですが、ヘッドプレッシングは実は重大な脳の疾患のサインである可能性があります。
知らないで放置してしまうと命にも関わる危険性があるため、犬や猫のヘッドプレッシングには要注意が必要です。
飼い猫にヘッドプレッシングが見られる際には何らかの脳神経疾患が疑われます。
その原因として、
・脳卒中
・前脳疾患
・頭部外傷
・脳炎
・毒性中毒(アルコール、殺虫剤など)
・門脈体循環シャント
・肝性脳症
・神経系の感染症(狂犬病・寄生虫・細菌・ウイルス・真菌感染症)
・代謝障害(門脈体循環シャント、高/低ナトリウム血症/低血糖症)
などが挙げられます。
感染症や脳腫瘍、中毒などによって神経に異常が発生したことや、これらの病気によって強い頭痛に見舞われて痛みを紛らわすために「物に頭を押し付ける」という行動が起こっている疑いがあるのです。

ヘッドプレッシングと、顔を下向きにして眠る「ごめん寝」や、飼い主さんの足に頭をこすりつけるそぶりとは何が違うのでしょうか?
ヘッドプレッシングなのかそうでないのかは、
・壁や冷蔵庫、柱など、硬いものに対して頭を押し付けている
・頭を押し付けたまましばらくじっと動かない
・座ったまま頭を押し付けていて、寝ているわけではなさそう
といった行動をしていないかを確認しましょう。
また、ここ最近で頭の打撲や危険物の誤飲をしたことがある場合も脳に異常が起きている可能性があるので、心当たりがある場合は、ヘッドプレッシングをしないかどうかをよく観察しましょう。
なお、全身麻酔による昏睡状態から目覚めた時にもヘッドプレッシングをすることがありますが、これは一時的なものであり、長引かなければあまり心配する必要はありません。
脳や神経に関わる疾患は、特に早期発見・早期治療をする必要があります。
ヘッドプレッシングや、次に紹介するその他の異常行動が見られた場合は、いち早く動物病院を受診しましょう。
ヘッドプレッシング以外の異常行動や症状としては、
・同じ場所を行き来する
・円を描くように歩く
・床に顔を擦り付ける
・壁をずっと見つめる
・じっとしたまま動かない
・反射神経の鈍り
・視覚障害
・発作
などがあります。
このような異常行動が見られた際には、愛猫に何らかのトラブルが起こっている疑いがあると考えてください。
動物は体調不良を言葉で伝えることができないため、このような異常行動によって現すことが多くあります。
愛猫の行動が少しでも「いつもと違う」と感じたら、すぐに病院を受診して病気の早期発見を心がけましょう。
愛猫が土下座をして謝っているかのような格好で眠ることは「ごめん寝」と呼ばれています。
ヘッドプレッシングは、土下座をして謝っているかのような格好で眠る「ごめん寝」と似ていますが、特徴として長時間壁などの硬いものに頭を押し付けているというのがあります。
ごめん寝だと思っていたら実はヘッドプレッシングだった、ということもありますので、愛猫の異変を見過ごさないことが大切です。

まとめ
神経の異常や強い頭痛を紛らわすために行なっていると考えられ、猫だけでなく他の動物にも見られる行動です。
猫の場合は「ごめん寝」と見間違いやすいので、ヘッドプレッシング以外にも愛猫の様子に異変はないか、日ごろから注意してあげてくださいね。
ヘッドプレッシングなどのペットの異常行動は、素人では判断するのが難しい場合があります。
おかしな行動をしていると感じたら、その様子を事前に動画撮影しておき、獣医師さんに見てもらうとよいでしょう。