とはいっても「100歳まで健康に生きられる気がしない」「寝たきりになって100歳まで生きても」という声があるのも確かです。
折り返しの50代にとっての課題は男性と女性で少し違っていて、女性は長生き以前に更年期問題を解決する必要があり、逆にこの段階から自分の体と生活を作り替えていく意識を持つと、10年、20年先の老化に大きな差がつきます。
男性は、ビジネスマンとしての現役を終える「定年」「リタイア」が大きな節目になるようです。
男女ともに根本的な生活改善を行う重要な年齢が50~60代と言えるでしょう。
今回は、高齢に差し掛かった50~60代がいまとるべき10の行動をご紹介します。
★ 「100歳まで生きる時代」にするべき10のこと
1.食べ過ぎないことを心がける
2.鮭を食べる
3.友人・知人を大切にする
4.アルコールは週に8杯までにする
5.筋肉を「ほんのちょっとずつでも」使う
6.スマホ利用は21時までに終える
7.腸内細菌を大事にする
8.モチモチの食品を減らしていく
9.遺伝子検査を受けてみる
10.口腔の健康維持
★ まとめ
50代以降は原則として、3食きちんと食べなくてもいいのです。
50歳になったら「食べ過ぎない」ことが大切です。
そのために、食事はお腹がすいたときにとるように習慣を変えていきましょう。
たとえば、朝お腹がすいていないなら、食べなくてかまいません。
1日1食、2食でもいいのです。
1日3食というのは、健康上の話というより、社会規範の問題です。
力仕事をする人ならば朝食を食べないと力が出ないので話は別ですが、そうではない人は3食たっぷり食べていたら長生きどころか、カロリー超過で早く寿命を迎えてしまいます。
お腹が空いていないなら食べなくていいのです。
「食事は空腹を感じてからのタイミングで摂る」、50歳以降はこれを心がけてください。
2.鮭を食べる
日本人にいちばん足りないのはビタミンDと言われています。
ビタミンDは、いちばんの「アンチエイジングホルモン」ですが、積極的に摂取すべきにもかかわらず、日本人の7割はビタミンDが不足しているとされています。
その原因は生活習慣の変化にあります。
ビタミンDをもっとも効率的に摂取できる食品は鮭ですが、かつては1日1回食卓に登場していた魚なのに、最近では食べなくなってしまったのが影響しているのでしょう。
おにぎりを食べるときには具の中に鮭があるものを選ぶことから始めて、意識的に補給するようにしましょう。
鮭フレークなども使い勝手がいいかもしれません。
また、ビタミンDのサプリメントを摂るのもいいでしょう。
3.友人・知人を大切にする
率直に言って、友達がいない人は長生きしません。
食事は大勢で食べると楽しいし、消化にも良いのです。
意外かもしれませんが、親しい友人や、自分が歓迎されるコミュニティを持つことが、健康で長生きするためにはとても重要です。
女性の方は、友人やコミュニティが健康に大きく関与することは意識していないかもしれませんが、概ねすでにこうした関わりを持っている場合が多いです。
男性は会社や仕事関係以外のコミュニティを持たない傾向が強いため、定年が近づく50代に入ったら意識的に現状の人間関係以外の関わりを作っていく必要があります。
女性の方で、仕事の話しかしない配偶者をお持ちの方は要注意です。
そのような配偶者は、定年退職したとたんに気力がなくなり病気がちとなって、介助の負担が増える可能性があります。
現役の今のうちから夫婦で共通の趣味を持ったり、地元のコミュニティに参加したり、興味の持てる生涯学習を促したりと、仕事以外の人脈を広げる足掛かりを作っていきましょう。
ただ、友達は多ければいいものというわけでもなく、また心を打ち明けられる存在である必要もありません。
まずは一緒にいて楽しい人と月に1回くらい会って飲みに行ったりゴルフをしたりする関係性を築くことです。
月に1度会う人すらいないという状況にはならないようにしましょう。
これらはテストステロン、オキシトシンといったホルモンの分泌にも関係しています。
友達を作るのが難しいならば、ひとりで食事をせず、なるべく大勢で食事するようにしましょう。
4.アルコールは週に8杯までにする
こう言うと「日本酒もコップ8杯ですか?」と聞かれますが、ビールならコップ、ワインならグラスで8杯分と考えましょう。
ワインでもビールでも水割りでも、だいたい1杯分の純アルコール量は10g(12.5ml)前後です。
ヨーロッパ、中でもフランス人は今、ワインを飲まなくなっています。
日本人も若い人はアルコールを飲みませんが、50代はまだ飲んでいる人が多いので注意が必要です。
週に8杯なので、3日だけ飲むことにして3杯、2杯、3杯などの配分で飲むのも良いでしょう。
5.筋肉を「ほんのちょっとずつでも」使う
運動を始めようとすると、いきなりランニングを始めたり、ジムに入会したりと、何か大変なことをするような印象を持ちがちですが、そういうことではありません。
日常生活の中で、エスカレーターやエレベーターを使わずに階段を使って歩いてあがる、電車の中でも座らず、あえて立って、しかもかかとを上げて筋肉を使う、在宅勤務中なら、トイレに立つたびにスクワットを5回だけしてみる、または、駅までの道を大股で早歩きするなど、筋肉を少しだけ多く使うことを心がけてみましょう。 こうした運動の積み重ねで、今の運動量から5%アップを心がけてほしいのです。
先進国ではいずれも、女性の筋肉不足が最大の課題です。
日本人の場合は35~45歳の女性がとりわけ体力が低く、いまから40年後、80代以降に筋力低下で介護が必要となる「フレイル」の状態に陥ることが危惧されています。
現状すでに自分には筋肉がないと自覚している人、たとえば二の腕の下にたるんだ振袖肉がついているという人は、今から少しずつ努力をしておく必要があります。
筋肉のためにプロテインを摂っているから大丈夫という方もおられるかもしれませんが、プロテインは摂取時に筋肉に負荷をかけてこそ活躍してくれるものです。
ただ摂取しているだけでは、むしろ腸内細菌層に悪影響を及ぼすケースもあるため、まずは日常生活で筋肉を使うことを意識するようにしましょう。
6.スマホ利用は21時までに終える
年齢とともに眠る環境はこだわりを持つようにしましょう。
スマホ画面を見ると交感神経が緊張するため、睡眠の質が下がります。
睡眠の質が下がると、結果的に体がさびてしまうのです。
遅くとも23時には眠りにつきたいものですが、よい眠りを手に入れたいと思ったら、スマホの利用は21時までにしましょう。
また、寝具の寝心地にはこだわってください。
自分にとってよい眠りがある枕、マットレス、パジャマなどを探すためのお金と手間は、十分にかける価値があります。
眠りが浅いと感じているなら遮光カーテンを検討してもいいでしょう。
ダイレクトに寿命に関連してくる「睡眠の質」の向上は、眠る環境と寝具からです。
7.腸内細菌を大事にする
腸活はすでに「していることが基本」です。
ビフィズス菌、乳酸菌など有用菌の摂取だけでなく、菌の餌になるオリゴ糖、イヌリンなど食物繊維も積極的に摂取しましょう。
足りないと感じるならサプリを摂るのもいいでしょう。
腸を健康に保つことは、体の健康の基本であると同時に、がんの予防にもなります。
腸活によいと言われる発酵食品、食物繊維、ポリフェノール、カカオ、果物などは1日何かしらを摂ったほうがよいでしょう。
腸活というと朝食のイメージがあるかもしれませんが、特に朝にこだわる必要はありません。朝夜どちらでもいいのです。
8.モチモチの食品を減らしていく
パンブームもあってパン好きの人が増えている昨今ですが、外がカリカリで中がしっとりもっちりのパンは、グルテンが多く含まれる小麦を使っています。
グルテンは腸の粘膜を荒らすことが多く、これが大腸がんの原因になるケースもあるため、パン好きの人は大腸がんになりやすい傾向があり、ヨーロッパではすでにパスタを食べずお米を食べるシフトが始まっています。
グルテンが腸で炎症を起こすため負担になることは確かなため、そういった意味ではお米は優れた食品だと言えるでしょう。
大腸がんを経験した身内がいる場合は特に意識してください。
余談ながら、お砂糖の入ったお茶を飲まないことも同時に心がけたいことです。
コーヒーや紅茶には糖分を入れないこと、また、缶コーヒー、清涼飲料水はなるべく飲まないことを心掛けましょう。
9.遺伝子検査を受けてみる
まだまだ玉石混交ではあるけれど、最近は遺伝子検査の内容がよくなってきています。
自分自身の健康リスクを解析できるタイプの検査はいちど受けてみる価値はあります。
自分の遺伝子の傾向がわかっていると、リスクを持つ分野に対しての注意を払うことができるようになります。
注意を払うとは言っても、何かをすれば完璧というわけではなく、自分がどのようなリスクを持つのか把握して事前に危機を回避するという意味合いでプラスになるということです。
そのリスクに応じて個別の対策を立て、それをコツコツ守っていくことが、100歳まで健康に生きる第一歩になるでしょう。
10.口腔の健康維持
口腔ケアが全身の健康に影響を及ぼすことはよく知られるようになりました。
しかし、汚れを落とそうとして研磨剤の入った歯みがき粉を使うと、歯のエナメル質を削ってしまう恐れがあります。
また、歯みがき粉に含まれるメントールのすっきり感で満足してしまい、みがき方そのものが甘くなることもあります。
歯みがきの目的は汚れを落として口腔内を除菌することですので、確実に除菌ができる口腔ケア剤を選んで使うようにしましょう。
まとめ
人間はほおっておくとどうしても楽なほうに流れてしまいます。
ストイックにつき詰めて考えるとしんどくなりますが、生活の中で少しずつ見直していくことで、それがあなたの健康につながるならやってみようという前向きな気持ちになればと思います。