いい時があれば悪い時もあり、誰しもつらい時はあるものです。
しかし、そんな辛い時期でも自分の考え方ならいつでも変えることができます。
そして、それこそが成功の第一歩になることもあります。
今回は、ダリウス・フォルー氏著書『まっすぐ考える 考えた瞬間、最良の答えだけに向かう頭づくり』より、人が正しいベクトルで考えるようになる「思考術」をご紹介します。
★ 認知バイアス
・注意バイアス
・確証バイアス
★ インフォームド・ディシジョン
★ まとめ
いままでに、後から考えると我ながらバカな選択をしてしまったと思ったことはないでしょうか。
人間は非合理的な生き物で、どんな人にも、自分勝手な思い込みを持っているものです。
人間は自分が考える「世界」は完全に主観的であり、その中にある「認知バイアス」の影響を色濃く受けています。
1972年、心理学者のエイモス・トベルスキーとダニエル・カーネマンが「認知バイアス」という概念を提唱しました。
認知バイアスとは、合理的な判断の妨げになるような過去の経験、直感、思い込みなどを指します。
・注意バイアス
認知バイアスにはいくつかの種類がありますが、いちばん気になるバイアスは「注意バイアス」です。
注意バイアスとは、過去の経験や個人的な関心によってある特定の刺激に注意が向きやすくなっている状態で、「思考が現実をつくる」という考え方の科学的な根拠にもなっています。
注意バイアスによると、人間の知覚は思考の影響を受け、そして当然ながら、人は知覚によってどんな行動を取るか、どんな判断を下すかを決め、その行動や判断が人生を決めます。
注意バイアスの基本的な考え方では、もしもネガティブなことを考えているなら、人生の見方もネガティブになるということです。
人間の思考の仕組みは複雑でわかりにくいと思うかもしれないが、実際はこのようにごくシンプルなのです。
・確証バイアス
いちばん有名な認知バイアスの1つ「確証バイアス」についても考えてみましょう。
私たち人間には「自分の信じたいことを信じる」という傾向がありますが、その傾向を説明するのが確証バイアスです。
何か信じていることがあるなら、それを裏づける情報ばかりを集め、それに反する情報は無視するようになります。
言い換えると、自分が間違っていない証拠を必死になって集めるということ。
確証バイアスの状態にある人は、事実ではなく、自分の信念だけを見ているのです。
この「事実を無視して自分の思い込みだけを信じる」というのは、すべての認知バイアスに共通する姿勢です。
これを書いている時点で、意思決定に関わる認知バイアスは106種類も存在することがわかっています。
認知バイアスについての本や研究論文で、106種類について調べてみると、「自分の頭は信用できない」ということがわかってきます。
とはいえこの結論も認知バイアスの影響を受けているかもしれませんが…。
いずれにせよ、いちばん大切なのは
『何かを決断するときは、思い込み、自明の論理、さらには科学さえも信用してはいけない』
ということです。
科学者もまた人間である限りそれはつまり、科学者にもそれぞれの認知バイアスがあるという意味になります。
自分が唱える説を裏づける証拠ばかりを集めることに関しては、科学者は特にプロフェッショナルですから。
意思決定を向上させたいのであれば、大切なのは知識をただ増やすことではありません。役に立つのはやはりプラグマティズム(実用主義)です。
プラグマティズムは、自分の持つ知識が真理かどうかは、生活上の実践に利益があるかないかで決定されるとする思想のことです。
実用的で、中立的なものの見方が、よりよい「インフォームド・ディシジョン」、すなわち十分な情報を得たうえでの意思決定につながります。
残念ながら、「最高の意思決定」というものは存在しません。
もしそれが存在するなら、誰もがつねに合理的で実用的な意思決定をする完璧な世界が実現しているはずだからです。
私たちは往々にして、何冊かの本や研究論文を読んだだけで、すべてをわかったような気になってしまいます。
問題は、本や研究論文から得た知識をどんなにため込んだところで、やはり自分の頭は信用できないということなのです。
この事実を理解していれば、それだけでよりよいインフォームド・ディシジョンに近づくことができます。
思考が行きづまっていることに気づいたら、インターネットで「認知バイアス」と検索し、認知バイアスのリストを見直しましょう。
この簡単な方法はお金もかからず、ただインターネットで検索すればいいだけなのです。
たとえば、ウィキペディアの「認知バイアス」のページに載っているリストを見てみると、どれも当たり前のことを言っているだけだと思うかもしれませんが、この「言われてみれば当たり前」というのが認知バイアスの特徴です。
人間は非合理的な生き物であり、認知バイアスはその非合理性を説明してくれています。
まとめ
物事をネガティブに考える人は、人生の見方もネガティブになり、人生そのものもネガティブに築かれていくということです。
自分がどのような認知バイアスに影響を受けやすいのかを知り、客観的な情報を得てそのうえでその情報が自分の生活上の実践に具体的にポジティブな利益があるかないかで選択し、よりよい決定に近づくようにしましょう。