おとなしく最後まで聞いてくれなかったり、途中でどこかに行ってしまったりすることも珍しくありません。
また、大人の読み手側にしてみたら「こんな読み方であっているのか」「絵本選びは間違っていないか」など、自分流の読み聞かせで大丈夫なのかと疑問を持つこともあるのではないでしょうか。
今回は仲宗根敦子氏著書『子どもの脳と心がぐんぐん育つ 絵本の読み方 選び方』から、絵本の読み聞かせについてポイントをご紹介します。
おおむね6才までの子どもは、感覚やイメージなどの機能が集まる右脳が優位なので、それを踏まえた上での読み方がおすすめです。
その上でおさえるべきポイントは「3つ」です。
【ポイント1】ゆっくり読まない
子どもが内容をしっかり理解できるように……という思いから、大人はあえてゆっくりと読み聞かせをしがちですが、そうではなく自然な会話のスピードで読むのがおすすめです。
6才までの子どもは言語を十分に理解することがまだ難しい時期なので、内容を完全に理解させることよりも、絵本を読み切って物語を一緒に共有できたという経験のほうが大切なのです。
絵本を読んでいて途中で子どもが退屈したり飽きてしまったりすることもあるので、自然なスピードで読み聞かせるほうが、そんな悩みを解決してくれる手段にもなります。
【ポイント2】声色を変えない
絵本を読む時はついつい登場人物の違いを出すためや展開の緩急や感情によって声色や声の大きさを変えたり力を入れて演技をしてしまいがちですが、このやり方はおすすめしません。
読み手が絵本に感情移入をして世界に入り込むのは自然なことですし、意識して棒読みにする必要はありませんが、聞いている子どもと読んでいる大人の感動するポイントが同じとは限りません。
子どもの心を育てるという観点で、そのポイントを押し付けるのではなく、子どもが物語のどこに感動して面白がるのか考える余地を与えてあげることが大切です。
【ポイント3】読んだ後に子どもをほめる
「最後までよく聞いていたね」など、子どもがお話の終わりまで耳を傾けられたことについて褒めるのもポイントです。
子どもに「また読んで欲しい」という気持ちを抱かせたり自己肯定感を高めたりすることで、絵本を好きになってもらうことができます。
読み聞かせのための絵本選びのポイントとしては、話が長すぎたり難しすぎるものはおすすめできません。
子どもの実年齢より対象年齢の高い絵本を選びがちな大人が意外と多いのですが、大切なのは子どもが絵本をしっかりと楽しみながら最後まで聞けるかどうかです。
読んでいる途中で子どもが飽きてしまうようなら、その絵本はその子には合っていないということです。
初めての絵本の読み聞かせで、どんな絵本を読めばいいのか悩んでいる方は、まずは、こちらのおすすめ5冊を手に取ってみてはいかがでしょうか。
1.『ありがとうのえほん』フランソワーズ・セニョーボ:作(なかがわちひろ:訳)偕成社
『ありがとうのえほん』
にわとり、めんどり、おひさま、おうち……。私の世界を支えてくれるたくさんのものを、感謝の気持ちをこめて、温かく描き出す。
2.『おかあさんのパンツ』山岡ひかる:作 絵本館
『おかあさんのパンツ』
「わたしのパンツをおかあさんがはいたら、どうなるかな?」
という、ちいさな女の子の微笑ましい想像で展開していく絵本です。
3巻まであります。
3.『おばけ電車』内田麟太郎:作 童心社
『おばけ電車』
おばけ電車はおばけを乗せて走ります。妖怪駅を出発! 火の玉とびかう暗闇駅、雪女のいる寒々駅。今度はどんなおばけに出会えるでしょう。
1場面目から画面に釘付け! わくわくどきどき、ページをめくる楽しさいっぱい!
4.『おはようおやすみぼくのせかい』マーガレット。ワイズ・ブラウン:作 ローレン・ロング:絵 やまねもとよ:訳 評論社
『おはようおやすみぼくのせかい』
お日さまがのぼって1日がはじまりました。
こうさぎはみんなに「おはよう」とごあいさつ。
日がしずみはじめると、こんどは「おやすみなさい」をいう時間。
おやすみ、こねこちゃん。おやすみ、こぐまちゃん。……『おやすみなさい おつきさま』でおなじみのマーガレット・ワイズ・ブラウンの未発表の文章に、ローレン・ロングが愛らしいイラストをつけた絵本。
5.『おへそのあな』長谷川 義史:作
『おへそのあな』
赤ちゃんは、お母さんのおなかのなか。おへその穴から見えるのは、お兄ちゃん、お姉ちゃん、お父さん。
みんな、赤ちゃんが生まれてくるのを待っています!命の誕生を楽しく描いた絵本です。
まとめ
物語の世界に一緒に浸りながら豊かな時間を過ごすのは、一緒に遊園地に行って楽しむぐらいの価値があります。
子どもと時間を過ごすツールとして、ぜひ絵本を楽しんで欲しいと思います。