今回は猫に与えると危険な『生もの』を4つご紹介します。
飼い主さんが横で食べているのを見ると、愛猫が欲しがることもあると思いますが、愛猫の健康を守るためにも決してあげてはいけません。
もしも誤って食べてしまった場合に見られる症状も重ねてご紹介します。
生のエビ、カニ、ホタテなどには、ビタミンB1(チアミン)を分解する酵素が多く含まれています。
チアミンが分解されてしまうと、欠乏症を引き起こす可能性があるため、猫に与えるのは危険です。
食べてすぐに発症するわけではありませんが、食べ続けるとチアミン欠乏症となります。
チアミン欠乏症になると、首を下げて歩く、高いところに登れないなどの筋力低下、歩行障害、疲労、発作などの症状があらわれます。
一度に大量に食べてしまったときや、症状が現れたときはすぐに動物病院を受診しましょう。
欠乏したチアミンを投与することで改善しますが、治療を行わないと命を落としてしまう可能性があるため大変危険です。
エビ、カニ、ホタテなどを与えたい場合は、必ず加熱をしてから与えましょう。
加熱すればチアミンを壊す酵素が反応をしなくなるため、チアミン欠乏症は起こりません。
2.貝類の内臓
貝類の内蔵を猫に与えるのは厳禁です。
なぜなら貝の内臓に含まれる成分(ピロフェオホルバイドa、フェオホルビドaなど)が、光線過敏症を引き起こすおそれがあるためです。
光線過敏症とは、太陽に当たると皮膚のかゆみ、痛みとともに赤みや脱毛などの症状があらわれる病気です。
重症の場合は、皮膚が壊死することもあります。
特に毛の薄い耳や目、口のまわりなどに症状がでやすくなります。
東北地方では「春先のアワビのツノワタを猫に食べさせると耳が落ちる」という言い伝えがあるほどです。
光線過敏症を引き起こす成分は加熱しても毒性がなくならないため、絶対に猫に与えてはいけません。
3.古くなった赤身魚の刺身
鮮度が落ちた赤身魚の刺身も、猫に与えるのはやめましょう。
常温で放置され鮮度が落ちたマグロやブリ、カツオなどの赤身に発生した細菌による酵素からヒスタミンが作られます。
このヒスタミンを猫が摂取すると中毒症状を引き起こす可能性があります。
症状としては、嘔吐、下痢、食欲不振、さらには呼吸困難や発作が起きます。
ヒスタミン中毒は重症化することもあるため、与える場合には、赤身魚の鮮度には特に注意が必要です。
猫は人間よりも体が小さいため、少量のヒスタミンでも中毒症状が出やすい傾向にあります。
常温で長時間放置された魚を誤って与えないよう、魚を取り扱う際はしっかりと管理し、食べ残しを残したままにしないようにしましょう。
また、ヒスタミンは熱に強いため、赤身魚を加熱して与えてもヒスタミン中毒を起こしてしまう可能性があります。
もしも、猫が魚を食べて異変が見られた場合は、速やかに動物病院に連絡し、適切な対応をとることが大切です。 猫の健康を守るために、生食を与える際は食材の鮮度管理をしっかりと行いましょう。
4.青魚の刺身
アジ、サンマ、サバなどの青魚には不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。
猫がこれらの魚を長期間にわたって多量に摂取すると、「黄色脂肪症」を引き起こすリスクがあります。
これは体内の脂肪が過剰に酸化され、黄色のセロイドという物質が蓄積することで発生する病気です。
このセロイドが猫の体内で異物として認識され、炎症が引き起こされてしまうのです。
黄色脂肪症になると、食欲不振、全身の痛み、さらには発熱などの症状が見られます。
早期に気づいて治療することが重要ですが、日頃から青魚の刺身や生ものを猫に頻繁に与えないようにすることが、猫の健康を守るための基本です。
まとめ
人間が食べるものだからといって、猫にも安全とは限りません。
むしろ、猫の体には有害で健康を損なうことがある食材も多く存在します。
貝類や生魚、生肉、鮮度が落ちた赤身魚などは、猫にとって深刻な健康リスクを伴います。
特に青魚は、長期的な摂取によって黄色脂肪症を引き起こす恐れがあるため注意が必要です。
日頃から愛猫の健康のために、与える食材には十分気をつけて、できるだけ猫専用のフードを中心にしたバランスの取れた食事を与えるように心がけましょう。