もらい始めたばかりだと、健康保険や住民税にいくら引かれるのかと同じように「特別徴収」という名目で天引きされるものがあります。
今回は、年金から自動徴収される「特別徴収」について深掘りしていきます。
年金を受け取れる年齢は、老齢基礎年金は、10年以上の受給資格期間がある方が65歳から、老齢厚生年金は、老齢基礎年金の受給資格期間があり、かつ、厚生年金保険の被保険者期間がある方が65歳から受給できますが、年金は受け取る権利(受給権)ができたときに自動的に始まるものではなく、自ら年金を受け取るための請求手続きが必要です。
仮に自分がいつから年金を受け取ることができるのかを忘れていたとしても、受給開始年齢に到達する3カ月前に、年金を受け取るために必要な年金請求書が送られてきます。
その年金請求書を窓口や郵送で年金事務所へ提出するか、または電子申請により提出すると手続きが完了します。
さて、年金を受け取り始めて築くのは、実際の受給額よりも少ない額が振り込まれていることです。
なぜならそれは、健康保険や住民税などが天引きされているからです。
しかし、健康保険や住民税以外にも、「特別徴収」と呼ばれるものが引かれていることがあります。
天引きのほかにも何かが徴収されているのではないか、と不安に思う人もいるようですが、この特別徴収とは何なのでしょうか。
どのような人が徴収されるのかについて以下で詳しく説明します。
年金や給与などから、各種保険料や税金が天引きされることを「特別徴収」といいます。
つまり健康保険料や住民税といったものが、特別徴収として年金から天引きされているので、新たな税負担があるわけではありません。
年金以外の所得があっても、年金から特別徴収されるのは公的年金等の所得にかかる税額のみです。
公的年金以外の所得については、給与から特別徴収されるか、普通徴収(天引きではなく自分で納付すること)によって納めるからです。
年金から特別徴収をされるのは、各種保険料と税金です。
年齢や年金受給額によって、特別徴収の内容は変わります。
対象となる条件等も異なり、特別徴収の対象や引かれる金額についても人それぞれ違います。
では、どのような条件になれば「特別徴収」となるのでしょうか。
<保険料>
保険料として特別徴収されるものは、「介護保険料」「国民健康保険料」「後期高齢者医療保険料」です。
保険料が徴収される年金の種類はいずれの保険料も、老齢もしくは退職・障害・死亡を理由とした年金で、年間の受給額が18万円以上の場合です。
・介護保険料
介護保険料が特別徴収されるのは、65歳以上の人です。
介護保険料額は、市町村がそれぞれ基準額を設定します。
(公社)生命保険文化センターによると、65歳以上の人の令和3~5年の時点での保険料平均は月6014円です。
・国民健康保険料
65歳以上75歳未満の人が対象です。
65歳以上75歳未満であっても、後期高齢者医療制度の該当者は除きます。
国民健康保険料と介護保険料の合計額が、特別徴収の年金額の2分の1を超える場合は、国民健康保険料は特別徴収対象外です。
・後期高齢者医療保険料
75歳以上もしくは後期高齢者医療制度に該当する65歳以上75歳未満の場合は、後期高齢者医療保険料を特別徴収されます。
国民健康保険料と同様に、介護保険料との合計額が特別徴収の年金額の2分の1を超える数場合は、特別徴収されません。
<税金>
税金として老齢年金から特別徴収されるのは、所得税と住民税です。
なお、障害年金や遺族年金は非課税であるため、特別徴収はされません。
・所得税
所得税が特別徴収されるのは、受給年額が65歳以上で158万円以上、65歳未満であれば108万円以上の年金受給者です。
社会保険料や各種控除を差し引いた額が、課税対象です。
・住民税
住民税は、65歳以上で年間受給額が18万円以上の人が特別徴収の対象です。
転出等の理由で特別徴収が中止になった場合は、普通徴収しなくてはなりません。
まとめ
しかし特別徴収で新たに税金の負担が増えるわけではありません。
年金から引かれるものは保険料や税金で、年齢や年間の年金受給額によって対象となるものが違います。
自身の年金受給額から、どのような保険料や税金がいくら天引きされているのかを確認しておきましょう。