リクルートと全国高等学校PTA連合会が発表した、高校生と保護者の進路に関する意識調査の結果がとても興味深いので、今回ご紹介します。
いったい高校生の子を持つ親は、子どもの将来の進路についてどんな風に伝えているのでしょうか?
また、現役高校生が考える「将来必要なこと」とは何なのでしょうか?

調査は、高校生の保護者とその子とのコミュニケーションの実態や、「進路観」の現状を把握することを目的として実施され、高校2年生の子を持つ保護者と子ども、9都道府県の公立高校27校を対象に2023年に行われ、高校生1752人、保護者1457人の有効回答数を得ることができました。
調査結果から、保護者が子どもと進路の話をするときに使う言葉(複数回答)のトップ5は以下の通りになっています。
5位 技術を身につけたほうがいい
4位 資格取得を目指しなさい
3位 自分で決めなさい
2位 自分でよく考えなさい
1位 自分の好きなことをしなさい、やりたいことをやりなさい
保護者からの声掛けで最も多かったのは「自分の好きなことをしなさい、やりたいことをやりなさい」で65.9%。2019年の調査時と比べると5ポイント以上増加しており、リクルートは、保護者が高校生の自主性を重んじる傾向が強くなっていると分析しています。
一方、「勉強しなさい」(20.6%)、「頑張れ、あきらめるな、やればできるよ」(19.8%)といった言葉は2019年と比べて減少傾向になっています。

調査では、現役の高校生に対し、「将来社会で働くにあたり、特に必要とされると思う能力」と「現在持っていると思う能力」についても聞き、それぞれの上位5位は次の結果となりました(3つまで複数回答可)。
「将来社会で働くにあたり、特に必要とされる能力」
5位 課題発見力(現状を分析し、目的や課題を明らかにする力)
4位 発信力(自分の意見をわかりやすく伝える力)
3位 創造力(新しい価値を生み出す力)
2位 実行力(目的を設定し確実に行動する力)
1位 主体性(物事に進んで取り組む力)
「主体性」は51.5%で、2位の「実行力」(37.2%)を15ポイント近く上回る結果となりました。
「現在持っていると思う能力」
5位 主体性(物事に進んで取り組む力)
4位 状況把握力(自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力)
3位 柔軟性(意見や立場の違いを理解する力)
2位 規律性(社会のルールや人との約束を守る力)
1位 傾聴力(相手の意見を丁寧に聞く力)
これらの回答結果からは、将来必要な能力として「主体性」や「実行力」といった自分から動く力を挙げる生徒が多い一方で、今自身が持っている能力としては「傾聴力」「規律性」「柔軟性」のように周りに合わせる力を挙げる傾向あると分かります。

今どきの親はたいてい四六時中忙しくバタバタしていますが、進路についての会話は、高校生では83.0%、保護者では89.4%が、お互いに対して「話す」と回答しています。
内容は、「高校卒業後の具体的な進路について」(64.4%)が最多で、「将来どんな職業に就きたいか」「将来の自分の夢」などが50%以上で続き、直近の進路に加え、就職や将来など長期的な展望について会話をしています。
高校生に進路選択に関する保護者の態度を尋ねたところ、「私の考えを尊重する」「あたたかく見守られている」「相談にのってくれる」が70%程度で上位を占め、保護者が掛ける言葉としても「自分の好きなことをしなさい、やりたいことをやりなさい」(65.9%)が突出して高く、高校生の自主性を重んじる傾向が強くでています。
将来の職業に対してAIなどの技術革新の普及・発達が与える影響については、高校生の61.2%、保護者の53.2%が期待していると回答。
期待する理由としては、技術革新により人間のできることの可能性が広がること・効率アップによる生産性向上が望めることなどを挙げています。
高校生に比べて期待する割合が低い保護者では、技術革新による進化のスピードに、自分の子どもが適応できるかどうかを不安に思う意見もみられます。
高校の教育改革への取り組みが行われていると実感している高校生は38.9%を占め、具体的な取り組み内容のトップは「生徒が自らテーマを設定し、調べたり解決に取り組む探究学習が重視される」(61.5%) です。
ICT教育については、高校生の84.2%が高校が組織的な活用をしていると回答しており、活用の利点は、「探究活動など、自身の興味ある学びを深めることができた」「共同作業やディスカッションがしやすくなった」も大幅に上昇しています。
高校におけるICTの活用の広がりが、『探究学習』を支えている様子が見て取れます。

まとめ
今後、一人ひとりの最適な学びに向けてICTの活用方法がますます深まっていくことが期待できますが、一方で高校生からは「やりたいことの見つけ方がわからない」という声もよく耳にします。
自分が社会の一員としてどうありたいか、どう生きていきたいかを考えながら、課題を発見し解決していく学びが、今後さらに大切になってくるようです。
『高校生と保護者に関する調査』は、リクルート進学総研と一般社団法人 全国高等学校PTA連合会が2003年より隔年で実施しており、今まで11回実施されてきました。
報告書は、下記よりご覧いただけます。
https://souken.shingakunet.com/research/cat-2/