猫はもともとオシッコが濃くて少ない傾向がありますが、そこに体質や食習慣などが影響して、腎臓から尿管、膀胱、尿道の中に結晶や結石ができてしまい膀胱や尿道を傷つけたり、尿道に詰まったりします。
結石は砂粒くらいの小さなものから、数cmの固まりまでさまざまです。
今回は、尿路結石症の発見から治療までの流れについてご紹介していきます。
そもそも尿路結石症とは、オシッコがつくられ、その通り道(尿路)となる腎臓、尿管、膀胱、尿道に結晶や結石ができる病気です。
食習慣や体質によるものと考えられ、猫がかかりやすい病気のひとつです。
飼い主さんが愛猫の尿路結石症に気付くきっかけとしては、
「トイレにいる時間が長い」
「排泄時に鳴く」
「陰部をなめる」
など、しぐさや行動に異変が見られることで発見することが多いようです。
尿自体に、「色が赤い(血尿)」「キラキラしている(結晶を含む)」といった異変が見られることもあります。
定期的な健康診断で見つかることも少なくありません。
尿検査、レントゲン検査、超音波検査で結晶や結石が見つかったら、その成分を分析します。
猫で多く見られる結石の成分は、シュウ酸カルシウムとストルバイトの2種類があります。
シュウ酸カルシウム
黄褐色で表面がギザギザしています。
尿が酸性に傾くとできやすく、とくに中高齢猫に多いといわれています。
シュウ酸カルシウム結石は溶けないため、手術で摘出する場合も多いです。
ストルバイト
尿がアルカリ性に傾くとできやすく、比較的若い猫に多いといわれています。
マグネシウム、アンモニア、リン酸から構成されるストルバイト結石は、巨大でなければ療法食で溶かすことが可能です。
性別に関係なくかかりますが、オスは尿道が細長くてカーブしているしているため、先端も細くなっています。
なので、メスよりも詰まりやすく、重症になりがちです。
肥満の猫もかかりやすくなります。
愛猫の行動で、次のようなことが見られるなら、尿路結石症を疑った方が良いかもしれません。
1.トイレに行く回数が増える
2.頻繁にトイレに行くのにオシッコが少ししか出ていない
3.トイレで長時間うずくまっている
4.オシッコをするときに痛がって鳴く
5.血尿が出る
6.トイレ以外の場所で粗相をする
7.落ち着きがなくなる
猫の尿路結石症は、しぐさや行動の異変によって気付くことが多いようです。
尿路結石症になると、オシッコと一緒に砂状の結晶や結石が出て、猫砂やシートの表面がキラキラ光って見えることもあります。
尿道に結石が詰まってしまうとオシッコが出なくなって尿道閉塞が起こります。
1日以上オシッコがまったく出ないと、命に関わる危険な尿毒症の状態を引き起こす可能性もあるので愛猫の様子をよく観察して、早く発見できるようにしてあげてください。
治療法は、結石の種類や部位によって異なります。
小さなストルバイト結石なら療法食で溶かし、尿とともに外へ排出します。
もともとの体質が原因の場合、結石を取り除いても再発する可能性が高いため、療法食による治療を続けることが多いです。
溶けないシュウ酸カルシウム結石の場合や、結石が大きい場合などは手術で摘出することもあります。
とくに完全に尿路を塞いでいる場合は緊急を要します。
結石が原因で尿路が炎症を起こしている場合は、投薬治療を行い、手術後も療法食による治療を続けます。
詰まっている結石が取れない場合や、オスで再発をくり返す場合には、ペニスを整形して尿道を短くする手術を行うこともあります。
尿路結石症は、再発しやすい病気なので予防が大切です。
結石ができる原因は、食事内容も大きく関わっているので、ミネラルバランスがよく、適切なオシッコのpHをコントロールする食事を与えるようにしましょう。
また、水をたくさん飲ませる工夫をすることも大切です。
適度な運動は肥満防止と水を飲む量を増やす効果があります。
そして、猫がオシッコを我慢することがないように、トイレはいつも清潔にしておくことも病気の予防のひとつになります。
まとめ
一緒に暮らしていると気づきにくいかもしれませんが、おしっこのときにいつもと違うような動作や行動をしていたり、変な鳴き声を出していたら、念のためにかかりつけの病院を受診することをおすすめします。