どう返答したらよいのかわからずに口ごもってしまったり、単に『はい』『いいえ』だけで終わらせてしまいがちになりますが、そういった単純なYAS・NOだけの返事はできるだけ避けるほうがいいです。
面接担当者が、あなたの何を知りたくてその質問をしているのかという意図を考えることで、自己アピールにつながる答え方をすることができます。
今回は、ありがちな「答えにくい質問」を8つあげて、面接担当者がどんな意図で尋ねているのか、また、どう答えれば納得してもらえて、好印象を与えられるのかをご紹介します。
★ 質問に対する具体回答例8つ
1.仕事上で経験した大きなミスについて教えてください
2.上司が年下でもいいですか?
3.その年次で管理職経験がないんですか?
4.うちって変わった人が多いけど大丈夫?
5.なぜ派遣社員(フリーター)になったのですか?
6.残業はできますか?
7.ストレスを感じたとき、どう対処していますか?
8.このポストには少し経験不足なのでは?
★ まとめ
採用面接では、しばしば応募者が答えにくい質問を投げかけられることがあります。
そして、質問に対して正直に答えてしまっていいものかどうか、また、『はい』と『いいえ』だけで終えてしまっていいのかどうか戸惑うこともあると思います。
以下に8つの具体的な質問例とその回答を記していますので、参考にしてください。
1.仕事上で経験した大きなミスについて教えてください
本来面接は自己アピールの場であるはずですが、あえてミスや失敗の経験を聞かれることがあります。
それは決して意地悪な意図からではありません。
ミスや失敗は誰もがするものです。
それに対して「どのように対処する人なのか」「ミスや失敗から学び、成長する力がある人なのか」を知りたいと考えているのです。
失敗経験を聞いて減点しようとしているのではなく、失敗経験をどう生かしてきたか、生かそうとしているかという姿勢を評価するためです。
【NG回答例】
仕事で1度もミスしたことがない人はいないはずなので、「特にありません」は絶対にNG。
「失敗を忘れてしまう人」「反省や自己分析ができない人」と見なされる恐れがあります。
あるいは、ミスを起こしようがないほど低いレベルな仕事しかしてこなかったのだろうかと思われるかもしれません。
ミスの経験は正直に話しましょう。
ただし、どんなミスをしたかだけで終わらせずに、起こったミスに対してどう対処したか、そこから何を学んだかまでしっかり伝えることが肝要です。
同じミスを防ぐための施策を検討した結果などを一緒に伝えると、今に生かされていて、入社後も生かされることを期待してもらえます。
【GOOD回答例】
「勘違いからお客さまが必須と指定した納品日に間に合わず、怒らせてしまったことがありました。それを機にチェック体制を見直し、新たなツールを導入しました。この経験から、ミスを防ぐためのノウハウとともに各部署との連携の重要性を学び、他部署とも積極的にコミュニケーションをとるようになりました」
2.上司が年下でもいいですか?
ベンチャー企業やスタートアップ企業では若手が早く昇進する傾向が強く、中途入社者が自分よりも年下の上司の下で働くことになるケースがよくあります。
この質問では「年上のプライドがジャマしてコミュニケーション不良とならないか」「メンバーそれぞれの本質的な『役割』を尊重できるか」を確認しています。
【NG回答例】
本音はどうであっても、おそらくほとんどの方が「大丈夫です」「問題ありません」などと答えるのではないでしょうか。
ただ、それだけで終えると面接担当者は「本当に大丈夫なのかな?」と不安を残すかもしれないので、大丈夫である根拠も同時に伝えることが面接担当者の安心材料になります。これまで経験してきた環境の中で、「年下の人に従った」経験が実際にあることを伝えてみましょう。
それは職場であっても、趣味の活動などで「リーダーが年下だった」という経験でもかまいません。
【GOOD回答例】
「まったく問題ありません。前職でも、プロジェクトによっては後輩がリーダーを務め、私が指示に従って動くこともありました。チームワークにおいては、個々の強みを生かして役割分担してこそ効果を最大化できるものと理解しております」
3.その年次で管理職経験がないんですか?
面接担当者によっては、意図が異なる質問です。
「単に事実情報として把握したい」というケースもあれば、「自社ではいずれ管理職を任せたいが、本人にその意向があるか確認したい」というケースもあるでしょう。
管理職経験がないことを低く評価しているわけではなく、管理職としての活躍に期待し、キャリアへの志向性を確認しようとしている可能性があります。
【NG回答例】
「嫌味を言われている?」「マイナス評価されている?」などと勝手に解釈して萎縮する必要はありません。
まずは管理職を務めてこなかった理由や事情を正直に話しましょう。
「女性社員が管理職になる例がほとんどない風土の会社だった」
「実務のスペシャリストを目指していたので管理職コースを選ばなかった」
といった事情は納得されやすいと思います。
また、管理職に就いたことはなくても、チームリーダーやプロジェクトリーダー、後輩の育成などの経験があるなら、ぜひ伝えてください。
そして、転職先企業で管理職に就く意向があれば、それも伝えるといいでしょう。
【GOOD回答例】
「企業風土として、男性が優先的に管理職に就く慣習があったのです。ただ、私は業務改善プロジェクトなどのリーダーとして、3~4人規模のチームのマネジメントを行ってきました。人材育成にも興味があるので、御社でも必要に応じてマネジメント業務を積極的に担っていきたいと考えています」
4.うちって変わった人が多いけど大丈夫?
「多様なタイプの人とコミュニケーションをとれるか」「自社の社風になじめるか」を見極めようとしている質問です。
人種、性別、価値観など、さまざまな違いを越えた、多様性がある職場への適応力を確認しようとしている可能性があります。
【NG回答例】
ふいにこんな質問をされると、戸惑って言葉に詰まってしまうかもしれません。
そのときは「変わった人って、どのような人でしょうか」と質問を返すといいでしょう。
面接担当者が何をもって「変わった人」と表現しているのかを理解できれば、冷静に対処できると思います。
おそらくほとんどの方が「大丈夫です」と答えると思いますが、この場合も、先ほどの「年下の上司」と同様、「大丈夫である根拠」も添えると面接担当者は安心するでしょう。
多様な人が働く組織に身を置いた経験があれば、そのエピソードを伝えてください。
また、「変わった人を積極的に受け入れる風土なのですか」「それはなぜですか」など、その会社の価値観やカルチャーについて質問を返す手もあります。
【GOOD回答例】
「これまでにも個性豊かなチームメンバーと協力しあってきた経験があるので、問題ありません。ところで、変わった人とは、どんな方々なのですか?」
「大丈夫です。いろいろな考え方の人が集まると、イノベーションが起きやすいといわれていますし。御社でもやはり積極的にダイバーシティを推進しておられますか?」
5.なぜ派遣社員(フリーター)になったのですか?
働くことへの姿勢、仕事に対する価値観などを確認しようとする質問です。
何らかの事情によって仕方なく派遣・アルバイトを選択してきたのか、メリットを感じて派遣・アルバイトを自ら選んだのかを聞くことで、自社に応募した意図をつかみたいと考えています。
【NG回答例】
「就職氷河期で志望企業に入れなかった」「結婚後、家庭を優先するために」「出産後、育児と両立するために」といった理由は面接担当者も納得しやすい事情です。
一方、「就職活動が面倒だった」「責任を負いたくない」「組織に縛られず自由でいたい」といった理由の場合、正直に伝えると「自社に入っても短期間で辞めてしまうのではないか」と懸念を抱かれる可能性があります。
派遣社員(フリーター)になった理由についてはあれこれ言い訳せず簡潔な答えにとどめたほうがいいでしょう。
それよりも、派遣を経た今の思いや今後の目標に重点を置いて語ってください。
派遣であっても正社員と同等かそれ以上の役割を果たしてきたなら、ぜひアピールしましょう。
【GOOD回答例】
「育児を優先するため派遣を選びましたが、子どもの手が離れたので、もう一度自分のキャリアをしっかり築いていきたいと思いました。派遣で身に付けたスキルを生かしながら積極的にチャレンジしたいと思います」
「自由な働き方がしたいと思い派遣を選びましたが、正社員としてロイヤリティを持ち、仲間との一体感を強く感じながら働きたいと思うようになりました」
6.残業はできますか?
この質問には、ストレートに「残業ができるかどうか」を確認するほかに、「残業に対する考え方・姿勢」を知りたいという意図も含まれています。
基本的に残業がない会社であっても、何らかの事情で残業が発生することもあります。
そんなときにどう対応する姿勢なのかを見ています。
【NG回答例】
基本的にはできないとしても、「できません」「やりません」の一言だけで終えるのは好ましくありません。
どの程度の残業が発生するのかを聞いた上で、許容できる範囲であり、かつその会社に入りたいのであれば、柔軟な姿勢を見せることが大切です。
残業をしたくない理由(家庭を優先・副業・趣味の活動など)も伝えた上で、「残業をしなくてもいいように効率的に、生産性高く働く」「会社としてどうしても必要なときは対応する」といった意思を伝えるといいでしょう。
【GOOD回答例】
「私としては、夜に子どもと過ごす時間を大切にしたいため、効率的に仕事をして残業せずに済むようにしたいと考えています。しかし、どうしても残業が必要な状況では、柔軟に対応します」
7.ストレスを感じたとき、どう対処していますか?
働く人のメンタルヘルスケアは企業にとって重要な課題です。
応募者がストレスをコントロールできる人なのかどうかを気にした質問ですが、他にも、応募者の人間性を探るため、プライベートでの過ごし方を聞きたいものの、プライベートの質問はしにくいため、このような表現で聞いている可能性もあります。
【NG回答例】
自分なりのストレス解消方法を伝えればいいのですが、例えば「飲酒」「爆食い」といったような健康面に支障をきたすことが不安視されそうな解消法を話すのは避けた方が無難です。
前職ではどのような場面でストレスを抱え、どのように解消していたか、具体的なエピソードを伝えると、安心感を持ってもらえると思います。
なお、「アイドルの推し活」など、「正直に答えて大丈夫だろうか」と迷うようなストレス解消法もあるかもしれません。
しかし、面接担当者は「人間らしい一面」「素の生き生きした表情」を見ることで好印象を抱くので、正直に答えてかまわないと思います。
「推し活でさまざまな人と知り合い、ネットワークを築いて情報交換している」といった活動は、仕事でも生かせる能力を感じさせるのではないでしょうか。
【GOOD回答例】
「前職では顧客から理不尽なクレームを受けてストレスを感じる場面もありましたが、『学ばせていただきありがたい』と発想を転換していました。 そして帰りにフィットネスジムで汗を流せば、スッキリ気持ちを切り替えることができました」
8.このポストには少し経験不足なのでは?
このように言われたら、「不採用になるんだろうか」と不安になり、言葉に詰まってしまうかもしれません。
しかし、面接官も職務経歴書を事前に見て、経験不足なのはわかっているはずです。
それで不採用にするのであれば書類選考段階で落としているはずで、面接には招きません。
経験不足を補う何かに期待を寄せている、可能性を見いだそうとして面接をしているはずなので、ここはアピールのチャンスと捉えてください。
【NG回答例】
「確かにそうですね」と自信なさげに答えるのはNGです。
もちろん、ない経験を「ある」と言ってしまうのはもっとNGです。
経験以上に「熱意」「向上心」を重視する面接担当者は少なくないので、経験不足を、自分なりにどのように補おうとしているかを具体的に伝えましょう。
【GOOD回答例】
「確かに実務経験は足りません。しかし、先輩の仕事の仕方をそばでしっかり観察していました。また、最新の知識をキャッチアップするために○○セミナーにも参加しています。学んだことをすぐに実践に生かしたいと思います」
以上、8つの「答えにくい質問」について回答のコツをお伝えしました。
まとめ
また、自分をよく見せるためにウソをつくことも絶対にやめましょう。
今まで仕事やプライベートで培った事実から、自己アピールできるポイントを探してチャンスに転換してください。