厚生労働省によると、65才以上の高齢者の約5人に1人が認知症を発症するといわれています。
明らかになっていないことが多いものの、睡眠不足や睡眠障害が認知症の発症リスクを高める原因のひとつになっているのだそう。
人生100年時代、超高齢社会の日本では誰もがなりうる可能性があるのが認知症です。
今回は、認知症を引き起こすダメな睡眠習慣について解説していきます。
2021年にイギリスの科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』で報告された調査によると、睡眠時間が6時間以下だった人は7時間の睡眠をとる人に比べ、認知症のリスクが30%高かったそうです。
睡眠時間と認知症リスクの因果関係はまだ不明な部分が多いのですが、判明していることもあるといいます。
アルツハイマー型認知症の原因であるアミロイドβは睡眠の質が悪いとたまりやすいことがわかっています。
充分な睡眠を確保すれば、脳内にたまったアミロイドβを減らせるという研究レポートもあります。
しっかり睡眠がとれていないと、日中の活動量が低下し、疲れやすくなって、活動意欲の低下にもつながります。
質のよい睡眠は認知症を予防するだけではなく、昼間にしっかりと活動するためのエネルギーもチャージできるのです。
睡眠時間は、最低7時間は確保するよう努めたいものです。
1.重い布団が好き
睡眠の質を高めるには寝具選びは重要なポイントです。
睡眠の質を高めるためには寝返りしやすい軽いものを選ぶのが良いでしょう。
かけ布団が重すぎると寝返りがしづらくなり、睡眠が阻害されます。
羽毛など、軽くて体にフィットするタイプがおすすめです。
2.寝る前に水を飲むのが習慣
寝る直前にコップ2杯以上の水を飲む習慣のある人は、トイレなどで起きる確率が上がり、睡眠不足を招きます。
十分な睡眠時間を確保するためにも、水分は寝る1時間前までにコップ1杯までとしましょう。
3.豆電球を点けたまま寝る
豆電球の光はまぶたを通して直接目に入ってきます。
なので消した方が安眠できるのです。
もしも暗闇が苦手なのであれば、間接照明を床に置いて使用するとよいでしょう。
目を直接刺激しないのでおすすめです。
重ねて、寝室の温度は22~24℃、湿度は50~60%に保つことが安眠の条件になります。
4.寝る前のスマホチェック
ついつい布団の中でスマホをチェックする人も多いのではないでしょうか。
しかし、入眠前の刺激は脳や体に悪影響を及ぼすといいます。 スマホやタブレットから発せられるブルーライトによって、脳
が昼間だと錯覚し、睡眠に誘うホルモンのメラトニンの分泌が抑制されてしまい、脳が覚醒して、たとえその後に眠ったとしても睡眠が浅い状態が続いてしまいます。
寝室にはスマホ類を持ち込まず、読書や音楽を聴いてみてはどうでしょうか。
5.夜、寝られなくなるので昼寝はしない
昼間に30分ほど寝た方が、実は夜の睡眠の質は上がると言われています。
昼食後にお茶やコーヒーを飲んだら、椅子に座ったまま軽く目を閉じます。
カフェインの覚醒作用で30分後ぐらいに、スッキリと目覚め、頭がクリアになって午後も活動的に動けることでしょう。
6.風呂は朝シャワー派。湯船にはあまりつからない
入眠時は、体温を下げる必要があります。
そのために鍵となるのが入浴です。
入浴前よりも深部体温が低下したときが就寝のタイミングですが、それは入浴してから30分~1時間前後なのです。
シャワーだけでは体が深部まで温まらないので、入浴は就寝前に湯船で温まるのが理想的です。
7.休日は一日中パジャマで過ごしている
休みの日にパジャマのままで1日を過ごしていませんか。
寝る前にパジャマに着替える、という行為には催眠効果があることがわかっています。
着替えることで睡眠へのスイッチが入るのです。
ところが、一日中パジャマで過ごし、それが日常化すると催眠効果が薄れ、パジャマを着ていても睡眠スイッチが入らず、寝つきが悪くなってしまいます。
結果、睡眠のリズムが崩れ、それが認知機能の低下をもたらすのです。
朝起きたらとにかく着替える習慣を身につけましょう。
部屋着とパジャマを兼用するのも、着替える行為の省略になるのでやめた方がベターです。
8.カーテンやシャッターはずっと閉じたまま
睡眠を促すメラトニンというホルモンは、暗くなると増え、明るくなると減ります。
なので、睡眠と覚醒のスイッチを切り替えるには明るさが大切です。
起床後は5~10分ほど直射日光は避けつつも、太陽の光を浴びましょう。
このとき、目から光を吸収するよう意識を持つことがポイントです。
脳が覚醒し、夜も入眠しやすくなります。
9.寝つけないときでも、がんばって寝る
寝つけない夜に、無理やり普段と同じようにがんばって寝ようとすることもあまりよくありません。
どうしても眠れないときは、翌朝の起床時間を30分ほど早めてみてください。
睡眠時間が減った分、翌日はしっかり寝られるでしょう。
まとめ
知らず知らずのうちにやっていた習慣が十分な睡眠の妨げになっているのかもしれません。
長年無意識に続けていた習慣を見直すのは大変かもしれませんが、ご紹介した認知症リスクを引き起こす可能性のある睡眠習慣はぜひ改善して、よりよい老後を楽しめるように健やかな睡眠をとるようにしましょう。