大量に、とはいかなくても、古い実家を整理すれば今でも起こりがちではある事柄のようです。
ちょうど今年は7月をめどに、1万円札、5千円札、千円札の3種類の紙幣のデザインが改刷されるので、市場に出回っているお札とデザインが違う旧札が出てきた場合、使うことができるのか?税金はどうなるのか?など、ひっかかる方もおられるのではないでしょうか。
今回は、もしも実家から大量の旧札が出てきた場合に備えて?その対処の仕方を解説していきます。
タンス預金と呼ばれる、いわゆる家の中に保管してあるお金はすべて前提として相続税の対象になります。
そのため、もし建て替えようとした実家から大量の旧札が出てきた場合、それらはすべて相続税の対象と考えてください。
もしも発見した場合は、税務署にすみやかに申告しましょう。
なかには申告せずに済ませようとする人もいるかもしれませんが、税務署は亡くなった人でも財産状況をほぼ正確に把握しているため、きちんと申告したほうが、あとあと面倒を起こさずに済みます。
もしも申告しなかった場合は、その理由を税務署で追求される可能性があります。
なお、発見された旧札が基礎控除額の範囲内におさまっていれば、相続税はかかりません。
基礎控除額は、「3000万円+600万円×法定相続人」として算出されます。
例えば、相続人が1人なら、3000万円+600万円×1で3600万円までは相続税はかかりません。 もしも仮に旧札が大量に実家から発見されても相続税がかからない可能性が高いので、やはりきちんと税務署へ申告しておくほうがよいでしょう。
旧札が発見された場合、そのまま使えるかどうかという疑問ですが、結論からいうと、2023年6月の時点では、旧札を含めた22種類のお札がそのまま使用可能です。
例えば、明治18年(1885年)に日本銀行が発行した1円札も、今でもそのまま使えます。この紙幣は通称「大黒札」といい、使用可能な最も古い紙幣です。
ただ、商店など取引相手によっては、旧札を嫌がる傾向があるので、その場合は、日本銀行で紙幣を新札や硬貨と交換してから使用するようにしましょう。
日本銀行の窓口なら、旧札を現在流通している同額面の紙幣または硬貨と無料で交換が可能です。
つまり、1円札は1円硬貨に、10円札は10円硬貨に交換できます。
日本銀行まで行けない場合は、一般の銀行でも交換は可能ですが、旧札の量によっては有料になることもあるので注意が必要です。
ちなみに歴史的に見ると、日本銀行が発行した紙幣は2023年6月までで全53種類です。
つまり、使用可能な22種類以外の31種類の紙幣は、法令に基づく特別な措置により使用はできなくなっています。
発見された旧札がこれにあてはまる場合は、新札への交換が必要です。
ただし、全53種類の紙幣の中には、実際の額面以上に価値が高まっているものも存在するため、日本銀行で交換する前に、古銭買取業者や古物商などで価値を確かめるのもよいでしょう。
特別に貴重な旧札になると、額面の何倍もの価値があるものも存在します。
長い間保管されていた旧札の場合、破れているものもあるかもしれません。
そのような場合でも、日本銀行か一般の銀行で新札との交換が可能です。
ただし、交換には基準があるので注意が必要です。
紙幣の面積が3分の2以上残っている場合は、新札との全額交換が可能です。
旧1万円紙幣なら新1万円紙幣と交換できます。
また、紙幣の面積が5分の2以上で3分の2未満の場合は半額の交換になります。
旧1万円紙幣なら新5千円紙幣との交換になります。
もしも紙幣の面積が5分の2未満しか残っていない場合は、旧札に貨幣としての価値がないと判断されるため、新紙幣との交換はできなくなります。
いずれにしても、破れた旧札を交換してもらう場合には、日本銀行か一般の銀行で判断してもらうのが最も確実です。
まとめ
旧札といえどもお金である限り、遺産として相続税が課されます。
旧札は、すでに流通不可となっていたり、取引相手が嫌う傾向があったりするため、新札への交換が望まれます。
旧札は日本銀行で同額の新札と無料で交換することが可能です。
なお、旧札には額面以上に価値が上がっているものもあるため、交換する前に古銭買取業者や古物商に鑑定してもらうのもよいでしょう。