知っている方は、新しい靴をおろすのは朝と決めているかもしれませんね。
ではなぜそういわれるのでしょう?
それは日本古来から伝わる風習に隠されているようです。
今回は、靴にまつわる言い伝えをご紹介します。
昔から、日没後に新しい履き物をおろして出かけると
「キツネに化かされる」
「転んでけがをする」
「病気になる」
など、不吉なことが起こる言い伝えがあります。
夜に新しい履き物をおろすことがなぜタブーとされているのか、科学的な根拠はないものの、日本各地の風習や迷信が理由となって現代まで伝えられています。
代表的なものとしては
1.罰が当たるため
新しいものはまず神様に供えるものと考えられており、神棚の灯りを消した後に新しいものを使うと罰が当たるとの言い伝えがあるため。
2.江戸時代のお通夜から
昔は現代と違い街灯がなかったため、日が沈むと辺りが真っ暗闇になっていました。
暗闇の中を歩くのはとても危険ですが、しかしそれでも外出しなければならないというのは、誰かが亡くなられてお通夜など弔問に出向く場合です。
冠婚葬祭時には新しい靴をおろすのが一般的だったため、夜に歩き慣れない新しい履き物をおろして出かけるのは、転んだり、何かあった際に逃げ遅れたりして危険が伴いますし、人が亡くなったことを連想させてしまうので縁起が悪いとされているのです。
3.故人に新しい草履を履かせたため
江戸時代のお葬式では、亡くなった方を出棺する際に、一部の地域で死後の世界への旅立ちのために故人に新しい草履を履かせる風習がありました。
出棺は主に夜に行われていたため、新しい履き物をを日が暮れてからおろすことが死を連想させることにつながるため嫌われるようになったという説もあります。
4.野辺送り(お葬式の出棺)から
一部の地域では、家の中から新しい靴を履いてそのままで下りてはいけないという風習があります。
昔は葬儀会社や霊柩車もなく、一般的にお葬式は家で執り行われていましたが、葬儀後に故人の近親者や地域の人が座敷の上で新しい草履を履いて棺を担ぎ、そのまま家を出て埋葬地まで運ぶ野辺送りという風習から家の中から新しい靴を履いてそのままで下りることは「夜に新しい靴を履いて死者を送る」という事につながり縁起が悪いとされています。
どの言い伝えも、「夜に新しい靴をおろす=死」を連想させるため、縁起が悪い理由のようです。
どうしても新しい履き物を日が暮れてからおろさなくてはいけないときに、やっておくべき言い伝えもあります。
各地によってさまざまですが、現代では、履く前に靴の裏に黒いペンで×印を描く、ライターの火で少しあぶる、靴底につばをつける、火を消したマッチのすすをつけると良いといわれるところもあるようです。
すすや灰は魔除けに最適。
火には悪い物を払う力があると考えられていたので、新しい靴をあえて汚して履くのは気が引けますが、気になる方は試してみてください。
このほか、「朝にやることを宣言する」といった俗信もあります。
夜に新しい履き物で出かける際、「これからお参りにいく」など、本来なら朝にやることを言ってから外出するというものです。 夜に人間を化かすとされたキツネを、今は夜ではなく朝であると欺くのが狙いだったといわれています。
新しい靴をおろすのは吉日の午前中が良いとされています。
新しい物はエネルギーを取り込む力が大きく、とくに地面からの良いエネルギーを取り入れてくれるのが履物です。
できるだけ良い運を取り入れられるように、大安や先勝など吉日の日におろすのが良いでしょう。
お気に入りの靴をおろす日は、雨の日の陰気を避ける意味で晴れた日を選び、丁寧に長く履き続けていきたいものです。
まとめ
単に昔の風習というだけであれば、次第に廃れていくように思えるのですが、ずっと受け継がれているのは、もしかしたら根拠や理由を超えた知られざる意味もあるのかもしれませんね。