また7割が周りの人の口臭を我慢しながら仕事をし、約半数の女性はデート中に相手の口臭に悩む経験をしていることもわかりました。
コロナ禍が5類に落ち着き、マスクを外す生活が戻りつつある今、口臭対策は社会的にも人間関係においても、大切なエチケットのひとつとして考えなければならない問題かもしれません。
今回は、日本人の9割が気にしている口臭に対しての効果的な防止策をご紹介したいと思います。
口臭が消えないときの原因として、お口が原因の口臭と、全身の健康が原因の口臭の大きく2つ分けられます。
しかし原因は圧倒的にお口の中にあり、比率にすると前者が口臭の98.5%と大半を占めています。
また、同じお口が原因の口臭でも、舌の表面の汚れが原因となる「生理的口臭」と歯周病が原因の「病的口臭」に分かれ、その比率は3対7となっています。
生理的口臭は人によって強弱はありますが、基本的に誰もが持っています。
舌の表面が新陳代謝で剥がれた口腔粘膜などで汚れ、その下に生息した口臭菌によって排出された硫黄化合物が臭いの主な原因です。
舌は体温で温かく、湿気があり、表面が汚れで覆われているので、口臭菌にとっては住み心地が良い環境になります。
「ゆで卵」のような臭いがするのが特徴で、舌の汚れにより口臭が強くなったり弱くなったりします。
一方、歯周病が原因となる病的口臭は、歯周病の進行程度と臭いの強度が比例するので、口臭の程度は歯周病の進行のバロメーターの一つになります。
歯周病が進行すると、野菜が腐ったような強く鼻を突く臭いが特徴的に出てきます。
この臭いは歯周病菌が原因で出る「メチルメルカプタン」によるものですが、実はこの物質、日本の法律では「毒物」に指定されています。
その毒性は「青酸ガス」に匹敵し、勝手に持ち運びは許されていません。
そもそも歯周病菌の毒性はとても強く、歯周病菌の中でも最も毒性が強い菌(P.g.菌)が出す物質がメチルメルカプタンであり、歯ぐきの組織破壊に最も強く関与していることが指摘されています。
このように口臭の原因のほとんどは舌の汚れか歯周病が原因なので、毎日丁寧に歯磨きをしていても講習を防ぐ効果はあまりないというわけです。
調査でもほとんど人が口臭対策を行なっているにもかかわらず、その対策方法として多くの人が「歯磨き」と回答していることが分かっています。
歯磨きでは効果的な口臭対策ができないのですから、口臭に対して「自信がある」という答えが、アメリカ68%、ドイツ79%に対して、日本ではわずか19%にしか過ぎないのも理解できますね。
生理的口臭は舌の表面の汚れに潜む口臭菌が主な原因なので、舌をキレイにすると速やかに口臭も軽減されます。
口臭の有無や程度は歯科医院では専門の測定器でチェックできる場合もありますが、簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。
スーパーマーケットなどでよく設置されている20cm×30cm程度の薄いビニール袋を準備して、袋の中に温かみが残るくらいにそうっと息を吐き出します。
袋がいっぱいになったら入り口を手で締めて、一度、鼻でゆっくり深呼吸をして、嗅覚をリセットします。
その後、温かみがある間に袋を少し開け、中の臭いを嗅いでください。
前述のように「ゆで卵」の臭いなら舌の表面の汚れが原因の生理的口臭で、「三角コーナー」なら歯周病が原因です。
しかし、口臭が自分の生活臭になっている時は、上記のように自分自身でチェックするのは簡単でないかもしれません。
特に生理的口臭は病的口臭に比較して臭いが弱いので、判別が難しいこともあります。
その場合は舌をチェックしてみてください。
鏡の前で口を大きく開けて舌を前に出して、舌表面の色を観察します。
舌表面の色が紅色で均一の場合は、舌はキレイと判断できます。
しかし表面が白く濁ったり、褐色から黒色になったりしていると、舌は汚れています。
舌の中央部だけの色が変化していれば軽度ですが、全体的に変化が見られる場合は汚れが進んでいます。
舌の先端より喉の奥側の方が汚れている場合が多いので、舌の根元までしっかりチェックしましょう。
舌の汚れは、ドラッグストアで販売している舌ブラシを使うとキレイになります。
個人的には、表面がスポンジ状のものよりブラシ状のもののほうが、しっかりと清掃できるのでオススメです。
時々、歯ブラシで代用する方もいますが、これはオススメできません。
歯ブラシは硬い歯を磨くようにデザインされているので、歯ブラシで舌を擦っても効果的にキレイにできませんし、かえって舌を傷つける可能性があるからです。
舌の清掃をする時は、舌を大きく出して、舌ブラシを舌表面の根元から先端に向けて、一方向に拭うように擦ってください。
反対側に舌ブラシを動かしてしまうと、清掃効率が悪いだけでなく、細菌を含んだ汚れを飲み込む可能性がありますからやめましょう。
一度に3~5回程度、、1日に1~2回繰り返すと、汚れは取れてキレイな舌になっていきます。
一度で完全にキレイにならなくても、回数を重ねることで、徐々にキレイになります。
舌の汚れには、お口の中の乾燥が大きく関係しています。
緊張が続いたり、口呼吸でお口がカラカラに乾いたり、加齢などで唾液の分泌量が減ったりすると、唾液によるお口の中の洗浄効果と殺菌効果がなくなり、舌が汚れやすくなります。
これを解決するのがうがいです。
うがいは人工的にお口の中を洗浄しますから、浮遊している細菌や粘膜をキレイに洗い流すことができます。
お口の中で粘膜が占める表面積の割合は7割ですから、うがいを習慣づけるだけでも、お口の中はかなりキレイな状態を保てます。
うがいをする時のポイントは、水をお口に含みすぎないこと。
一回に含む量は約30mlで、大さじ2杯程度で十分です。
例えばペットボトルに水を満タンにして振っても、中には水流が生まれず洗浄効果は高くありませんが、少量に減らしてペットボトルを振ると水は勢いよく流れて十分に洗浄できます。
この要領で、少量の水でブクブクうがいをすると、効果的にお口を洗浄することができます。
このうがいを3回続けて行なうことで、最大97%の除菌効果が得られます。
口臭は歯磨き(舌磨き)から時間が経つと強くなる性質がありますから、歯磨き、うがいをした2~3時間後にうがいだけでも行なうとさらに効果的です。
また食後のうがいはむし歯対策にもなるので、食後に歯磨きができない状況の場合は、うがいだけでもするようにしましょう。
うがいは水道水で行なってもらって良いですが、市販のうがい薬を使用するとさらに効果が上がります。
うがい薬では、お口中を浮遊する細菌に効果がある塩化セチルピリジウム(CPC)配合をオススメします。
他方、殺菌効果が著しく高いポピドンヨード(イソジン)は善玉菌まで死滅させて免疫力を落とすので、1日に何度も使用するは控えた方が良いです。
まとめ
舌の表面にある食べ物の味を感じるセンサー(味蕾)は、舌の表面が汚れていると食べ物の味が届きにくくなり、いわゆる「バカ舌」「味音痴」になってしまいます。
そうなると、味の濃いものをさらに好むようになり高カロリーな食事を摂取することにつながっていきます。また、味で満足できない分を量で満足しようとするため、必要以上に食べてしまう傾向になりがちです。
口臭がなくなると、通常食べるお食事がワンランクアップして美味しくいただけるだけでなく、カロリーを控えることができる上に食事を食べすぎないので、ダイエット効果の側面も期待できます。
舌をキレイに維持して快適な生活を過ごせすように、ぜひうがいの習慣を取り入れてみてくださいね。