仕事に対する姿勢や価値観、考え方、コミュニケーションの取り方など、ちょっとしたことでも相手に対して違和感を覚えることが意外に多くあるものです。
世代や性格、立場が違えば、仕事との向き合い方も自然と違ってきますし、相性が合わないというのは、一時的なものではなく、どこまで行っても交じり合うことはありません。
どうやってもその関係性は変わらないため、ずっと何となくやりにくい、と違和感を感じながら、無理に我慢することが続きます。
するとモチベーションややる気の低下を招き、仕事自体がスムーズにいかなくなります。今回は、仕事で相性の悪い相手と組むことになった場合に、立てられる対策についてご紹介します。
仕事で困ったときに誰かに助けてもらうと、次に相手が困っていたら、何とかして助けてあげたいと思うものです。
これは単に義理や人情の話ではなく、心理学で「返報性の法則」と呼ばれる人間本来の性質からくるものです。
返報性の法則とは、「相手に何かしてもらったら、こちらも同じようにお返しをしないと気が済まない」という人間の心理的な効果を指します。
この法則を理解しておくと、仕事をうまく回していくことに役立ちます。
他者に対して、「早く動いてほしい」と思うのならば、その人に頼まれたことを早くやるようにいつも心がけておけばいいのです。
すると、いつも早くやってもらっているから、こちらも早くやらなければ申し訳ない……という心理が相手に働きます。
相手が自分のチカラになってくれる人であれば、常にこちらが先に動いて、相手の感情を温めておくことが大切です。
相手よりも先に動くということを、必要以上に難しく考える必要はありません。
毎日の生活の中で、誰もが経験していることを普通に実践するだけのことです。
例えば、あなたのところに熱心に通ってくる保険のセールスマンがいたとします。
最初は契約するつもりがなくても、何度も懇切丁寧な説明を受けているうちに、「ここまで親身になって自分のことを考えてくれているのだから、保険に入ろうかな」という気持ちになったことはないでしょうか?
この感情の動きも、返報性の法則によるものです。
自分のために何かしてもらったら、お礼をしたくなる気持ちが人間にはあるので、相手のためを思って行動していれば、結果として自分のためにもなるのです。
ここで注目しておく必要があるのは、返報性の法則には、プラス面だけでなく、マイナス面にも作用するという点です。
返報性の法則は、次の3種類にまとめることができます。
1.好意の返報性:こちらが好意を見せれば、相手も好意を示してくれる
2.譲歩の返報性:こちらが譲歩すれば、相手も譲歩してくれる
3.敵意の返報性:こちらが敵意を見せれば、相手も敵意を示す
こちらが相手のために動けば、相手も自分のために動いてくれます。
相手を陥れようとすると、同じような報復が返ってきます。
すべての行動はブーメランのように自分に戻ってくると考えることが大切です。
仕事を組む相手との相性が悪いと感じた時、最もスピーディーな対処法は、相手の会社か自分の上司に担当替えを願い出て、一緒に仕事をしないことですが、それができない状況の場合は、相手との間に「第三者」を挟むことを考えてください。
あなたがAで、相手をBとしたら、AとBの両方と仕事をしやすいCを間に入れることによって、全体のコミュニケーションがスムーズに進みます。
AがBに意見や考えを伝えるときは、A→C→Bとなり、逆の場合はB→C→Aというルートをたどります。
一見すると、伝言ゲームのような面倒臭さを感じるかもしれませんが、間に入る人を言語が異なる外国人と話をする際の「通訳」のような役割と考えればいいのです。
相性の悪い人と意思の疎通を図ることは、ある意味では異文化コミュニケーションと同じようなものですから、割り切って通訳に入ってもらうことで円滑に進みます。
日本人は我慢強い人が多いため、多少のことには目をつぶって我慢することが美徳とされますが、合わない人と無理に仕事をしても、仕事が長引くだけでなく、望んでいるような成果には結びつきません。
信頼のおける同僚や後輩にアシスタント役を頼んで、それとなく間に入ってもらうことで、仕事が円滑になるだけでなく、意外に相手にバレることもありません。
相手に対して失礼な態度を取らずに常に自然体で接していれば、そんなことに目を向ける人はいないものです。
まとめ
そういう人はイザと言う時も決して人は自分のために動いてくれないことを知りましょう。
早く動いてほしい、力になってほしいと望むのであれば、まずは自分が日頃から他者にその行動をしておくことが大切です。
また、相性の悪い相手とは、「直接」ではなく間にワンクッション誰か人を立てて仕事をすることがスムーズに進めるコツです。