今年も残すところあとわずかになりました。
今年よく病院へ行った人、ドラッグストアなどで医薬品を買った人に確認してほしいのが、その1年間にかかった医療費の合計金額です。
私も去年の年末から今年の上旬まで入院、その後追い打ちで腰椎を圧迫骨折してしまい、今年の医療費は過去最大級になっています。
ということで、医療費控除の確定申告の対象になるだろうと、いろいろと調べてみました。







家族の医療費が10万円を超えたとき


◇ ◇ ◇


医療費控除とは、1月1日~12月31日の1年間にかかった医療費が10万円を超えたときに、その超えた分が最大200万円まで所得控除されるというものです。
総所得金額が200万円未満の場合は、「所得の5%」が控除されます。


この医療費は、申告する本人だけでなく、生活費を共有している家族や親族が支払った費用も合算でき、同居・別居は問われません。
たとえば、仕送りをしている両親や子どもの医療費も対象となります。
こうした家族全員の医療費を合算すると、年間10万円を超えるケースも少なくないと思われます。




控除の申告は年明けからになりますが、まずは医療費控除から確認しましょう。




多くの健康保険組合は、年明けに「医療費通知」や「医療費のお知らせ」などの書類を送付しています。
組合によって異なりますが、医療機関から健康保険組合に診療報酬明細書が届くまでおおよそ3カ月の時間がかかるため、年明けの医療費通知は9月分までの記載となる組合が多いようです。


よって、10~12月分は、病院が発行した領収書を保管しておき、年明けに医療費通知が届いた際に9月分までの医療費を合算すれば、スムーズに1年間にかかった医療費が把握できます。

医療費が10万円を超えれば、医療費控除の対象となります。




医療費控除は、以下のように計算されます。




なお、民間の保険や社会保険などから受け取った保険金は、医療費から差し引かれることに留意してください。
たとえば、年収500万円の人が、医療費を年間30万円支払い、5万円の保険金を受け取った場合は、10万円を超えた分の20万円から保険金5万円を差し引いた「15万円」が医療費控除の対象となります。

年収500万円の人の所得税率は20%ですので、(30万円-10万円-5万円)×20%=3万円の所得税が還付されます。
加えて、翌年6月以降の住民税も安くなります。住民税率は10%ですので、(30万円-10万円-5万円)×10%=1万5000円ですね。

所得税・住民税を合わせると、4万5000円の税負担が減ることになります。




医療費控除には対象になるものとならないものがあります。


ざっくり分けると、「治療」を目的とした費用であれば医療費控除の対象となりますが、それ以外のものは対象外です。

たとえば、美容整形にかかった費用は「治療」ではないため対象外。
歯列矯正では、子どもの「不正こう合」の治療は対象ですが、審美目的は対象外です。
あん摩マッサージ指圧師・はり師などの施術は、治療目的であれば対象に、疲れや体調を整えることが目的であれば対象外となります。

出産費用や、公的医療保険の適用外であるレーシックやインプラントなどの先進医療にかかる費用も医療費控除の対象です。

新型コロナウイルスのPCR検査は、医師等の判断による検査であれば、医療費控除の対象となりますが、自己判断によるPCR検査は、医療費控除の対象外です。
検査結果が陽性で、引き続き治療を行った場合には、検査も治療の一環と見なされ、医療費控除の対象となります。

また、引き続きマスクを購入している人も多いと思いますが、マスクの購入費用は、病気の感染予防が目的のため、医療費控除の対象外です。




見落としがちなのが、通院にかかる電車やバスなどの「交通費」も対象になるということです。
タクシー代は、電車やバスが利用できない場合に限り認められますが自家用車で通院にかかった費用は対象外になります。






申請のために必要な書類は4つ

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続いて、医療費控除の具体的な申請方法を見てみましょう。 申請には、以下の書類が必要となります。


1.確定申告書
2.医療費控除の明細書or「医療費のお知らせ」(医療費通知)
3.源泉徴収票
4.マイナンバーなどの本人確認書類





1.確定申告書




確定申告書は、国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。
税務署へ直接取りに行く、郵送で取り寄せることも可能です。
確定申告書には「A」と「B」の2種類がありますが、会社員であれば「A」の様式を使うことが多いようです。

確定申告書Aは、「給与所得」「公的年金」「その他の雑所得」に対応した様式です。
会社員やアルバイト・パート、所得が公的年金のみの人であれば、こちらを利用します。確定申告書Bは、給与所得や雑所得に限らず、全ての所得に対応しており、「事業所得」や「不動産所得」などがあれば、こちらを利用します。




2.医療費控除の明細書 or 医療費のお知らせ(医療費通知書)




医療費控除の明細書も、国税庁のウェブサイト(※1)からダウンロードできます。
また、同ウェブサイトにある「医療費集計フォーム」に明細を入力して、集計することもできます。
入力したデータは、確定申告等作成コーナーで直接読み込むことができるため、医療費の領収書の枚数が多い場合にはおすすめです。
送付された「医療費のお知らせ」「医療費通知書」を添付すれば、明細書の記入は必要ありません。
こちらの方が簡単かもしれませんね。

なお、領収書の提出は不要ですが、5年間は保管するよう求められています。
後々、税務署から領収書の提示を求められる可能性もありますので、残しておきましょう。




3.源泉徴収票




会社員であれば、勤め先から交付される「源泉徴収票」を提出します。
提出する源泉徴収票は原本で、コピーの提出は不可とされているので注意してください。




4.マイナンバーなどの本人確認書類




確定申告書を税務署へ提出する際、「マイナンバーの記載」と「本人確認書類の提示または写しの添付」が必要となります。
マイナンバーカードを持っていない場合は、番号確認書類(通知カード、住民票などいずれか一つ)と身元確認書類(運転免許証、パスポートなどいずれか一つ)の2つが必要となります。

国税庁ウェブサイト 医療費控除の明細書

以上4つの書類を用意すれば、あとは確定申告するだけです。




確定申告の期間は、毎年2月16日から3月15日ですが、医療費控除などの「還付申告」については、例年1月1日から申請が可能です。




提出先は、居住地の最寄りの税務署となります。


提出方法は、

1.税務署に直接提出
2.郵送する
3.「e-Tax」で申請する

といった方法があります。




ちなみに、過去に多額の医療費がかかったのに医療費控除の手続きを忘れていた、あるいは申請をしていなかった場合は、5年前までさかのぼって申告することができます。
2023年中であれば2018年以降にかかった医療費の還付申告が可能です。
心当たりのある人は、医療費通知の書類を探してみてください。




なお、医療費控除を申告する際は、特別な事情がない限り、世帯で最も収入の多い人が申告すると良いでしょう。
収入が多い人、つまり税率が高い人ほど、控除される金額も大きくなるからです。




セルフメディケーション税制もチェック

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医療費控除と併用はできませんが、薬局やドラッグストアなどで対象の医薬品を1万2000円以上買った場合、特例として「セルフメディケーション税制」が利用できます。


医療費控除の特例である「セルフメディケーション税制」は、指定された医薬品を年間1万2000円以上買うと、超えた分を所得控除することができるというものです。
控除の上限額は8万8000円で、医療費控除と同様に、申告する本人と生計を一にする家族や親族の支払いも合算できます。


たとえば、対象の医薬品を1年間で6万円購入していた場合、6万円-1万2000円=4万8000円が所得控除の対象となります。




対象となる市販薬は、医療用にも使用され効果が高いとされる成分を含む、風邪薬や解熱鎮痛剤などが指定されています。

対象商品の多くは、パッケージに「セルフメディケーション控除対象」といったマークが付いていたり(新たに対象となったものはマークが付いていない可能性もあります)、お店からのアナウンスがあったりするはずです。加えて、レシートにも対象商品である旨が記されます(※)。


【対象となる医薬品の一覧】
セルフメディケーション税制対象品目一覧


ただし、セルフメディケーション税制は、医療費控除と併用できません。
どちらの方が控除額が大きいか、計算して有利な方を申告しましょう。
多くの場合で、医療費控除の方が控除額は大きくなります。




また、この「セルフメディケーション税制」を利用するには、申告する年に健康診査や予防接種を受けている必要があります。
これは会社の定期健康診断でもOKです。




確定申告の際には、領収書(日付、商品名、価格などが確認できれば、レシートも可)と健康診断の結果通知表を添付します。
領収書・レシートは原本を提出しますが、「セルフメディケーション税制」の必要書類である健康診断などの結果通知表はコピーでの提出が認められています。
健診結果部分は不要なため、結果部分を黒塗り、または切り取って提出します。

領収書・レシートがない場合は、残念ながら諦めるしかありませんが、大手のショッピングサイトでオンライン購入した場合は、領収書や明細など全てのが残っている可能性があるので、確認してみることをおすすめします。






まとめ

申告には少々手間のかかる医療費控除ですが、所得や支払った医療費によっては、まとまった税金が還付されたり、税負担が減ったりする可能性が高いので、ぜひチェックしてみてください。
私自身、初めての確定申告になりますが、年明けに医療費のお知らせ(医療費通知書)が届いたらチャレンジしてみます。

筆者プロフィール

こらっと

大阪生まれ。団体職員兼ライターです。
平日は年季の入った社会人としてまじめに勤務してます。
早いもので人生を四季に例えたら秋にかかる頃になり、経験値は高めと自負しています。
このブログがいきいき生きる処方へのきっかけになれば幸いです。

お問合せはこちらで受け付けています。
info.koratwish@gmail.com


海外からの人材受け入れ団体職員として働いてます。
遡ると学生時代のアルバイトでアパレルショップの売り子から始まり、社会人となってから広告プロダクションでコピーライターとして働きました。
結婚・出産を経て、印刷会社のグラフィック作業員として入社。
社内異動により⇒画像・写真加工部⇒営業部(営業事務)⇒社内システム管理者と、いろんな部署を渡り歩きましたが、実母の介護のためフルタイムでは身動きが取れなくなり、パート雇用として人材受け入れ団体に時短勤務転職しました。

2019年実母が亡くなり、パートを続ける理由がなくなったため物足りなさを感じる毎日でしたが、年齢の壁など一顧だにせず(笑)再びフルタイムで働きたい!と就活し続けた結果、別の人材受け入れ団体に転職しました。
責任も増えましたが、やりがいも増えました。

デスクワーク経験が長く、Office関係の小ワザや裏ワザ、社会人としての経験を共有できれば幸いです。

家族構成は夫がひとり、子どもがひとり
キジ猫のオス、サバ猫のメスの5人家族です。

趣味は、読書、語学学習、ホームページ制作などなど
好奇心が芽生えたら、とにかく行動、なんでもやってみます。

猫のフォルムがとにかく大好きで、
神が創造した生物の中で一番の傑作だと思ってます。
ちなみに「こらっと(korat)」は
タイ王国のコラット地方を起源とする
幸福と繁栄をもたらす猫の総称です。




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