子育ての見本は、第一に自分の親が自分に対してしていた態度になるでしょう。
子育て論に正解はなく、100人の親子がいれば100通りの子どもの育て方が存在します。
ただし共通して言えることは、子どもをサポートして守っていると思いながら、気づかないうちに子どもに悪影響を与えてしまっていることがあるということです。
今回は、子どもに悪影響を与える『過保護な親』がとる行動について掘り下げたいと思います。
一定の年齢までは、親は保護者として子どもを恐ろしい存在や事態から守り、安全に健やかな成長をサポートすることが求められます。
しかし、その保護意識が行き過ぎてしまうと『過保護』になり、かえって子どもの成長を妨げてしまう結果になる可能性があります。
例えば、親がサポートするべきことを超えて、子どもに関わったり甘やかしたりすることで、子どもは自分の力で良し悪しを決めることを放棄するようになり、判断力を養わないまま成長していくことになります。
すると、成長してからの思考力や責任能力が育まれず、本来の力が発揮できなかったり、人間関係を上手く構築できなくなったりするなどの、さまざまな弊害が生まれやすくなるのです。
では、親のどのような行動が子どもに悪影響与えてしまうのでしょうか。
自分は違うと思っていても、すべての親がいつの間にか過保護になっていることもあり得るため、ここで子どもの成長を妨げるような過保護行動をとっていないかをふりかえってみましょう。
1.子どもがすることを先取りしてしまう
子どもが何かに取り組んでいるとき、ついサポート以上の口出しをしたり、自分が子どもに替わって終わらせてしまうという経験はありませんか。
例えば、子どもが一生懸命自分で着替えようとしているにもかかわらず「ママがやってあげる」とすべての着替えを完了させてあげたり、取り組んでいる宿題の答えを先に教えてしまったり…。
親としては悪気はなくやっているもこれらの行動は、子どものひとりで考える力ややり遂げる努力を妨げてしまいます。
子どものやるべきことを先取りしていると、自分で考えてやり遂げる力が養われなくなり、途中で諦めたり、投げ出したりする子どもになってしまうかもしれません。
2.子どもができることも親がやってあげる
子どもは日に日に成長します。
すでに子どもが自分でできることをいつまでも替わりに手を出してお世話してしまう親もいます。
子どもがやるよりも大人がやった方が早いですし、できるまでじっと見守るのは親としても忍耐がいることです。
つい「まだ大変そうだしやってあげよう」という心理が働くのは理解できますが、この行動が意外とNGなのです。
やはり基本的に子どもが自分でできるようになったことは、「自分のことは自分でやる」という基本的な成長を促すためにも最後まで自分でやらせることが大切です。
多くの親がついやってしまいがちな行動ですが、子どもは自分がやらなくても親がやってくれると考えるようになり、自分で行動する力が身に付かなくなります。
大人になったのちもそのクセが抜けずに「誰かがやってくれる」と、行動力や責任感に悪影響を及ぼす恐れがあります。
3.子どもが欲しがるものはすべて与える
子どもの欲しがるものややりたいことは、すべて叶えてあげたいと思うのが親心ですが、何でもかんでも簡単に与えていると、いつしか自分が要求するものはすべて誰かが与えてくれると思うようになります。
普通は成長するに従って、その認識が間違いであることに気づきますが、子ども時代に植え付けられた価値観はなかなか変えることができません。
過度な甘やかしは無意識の誤った認識を持つことになり、わがままの助長や人間関係構築への悪影響につながりかねません。
忍耐力や我慢強さを学習させるためにも、欲しくてもすぐには手に入らないものがあることをわからせるのも親としての務めでしょう。
4.子どもの行き先にどこでもついて行く
過保護な親にありがちな行動として、子どもが行くところにどこでもついて行こうとするのが挙げられます。
学校の送り迎えはもちろん、遠足先まで隠れてついて行ったり、放課後に友人と遊ぶ先にまで現れたり、大人になってからもバイト先や職場にまで顔を出そうとする親もいます。
こうした過保護な行動は、子どもに行きすぎた反発心や独立精神をもたらします。
親との接触を避けて家出したり、わざと親を困らせる方向へとあえて進もうとするなど、悪影響を及ぼす恐れもあるので注意が必要です。
5.子どもの友人関係に口を出す
過保護な親は、子どもの友人関係に口を出したり、過度に行動を制限したりする傾向が見られます。
「その子とは遊んじゃいけません」など、必要以上に子どもの世界を監視して制限しようとします。
心配から親心として子どもを守ってあげたい気持ちが働いているのでしょうが、子ども自身に人間関係の付き合い方を判断させなければ、成長してから大きな弊害が生まれる恐れもあります。
定期的に親子の会話から「今日は誰と遊んだの?」「最近は何して遊んでるの?」など、子どもの行動を把握しつつ、あくまで子どもの意思を尊重するようにしましょう。
過保護な行動をとってしまうのは、親に子どもに対する愛情があるゆえです。 しかし、いくら愛情ゆえと言えども、子どもの思考力や判断力、実行力などを養うためには、干渉しすぎる行動は避けたいものです。
親が無意識に過保護に陥らないために、以下のポイントを意識して頭に入れておきましょう。
1.子どもの意思を尊重する
2.子どもの独立心を育むサポートを意識する
3.子どもの取り組みは見守る姿勢が基本
4.「悪いこと」と「良いこと」を明確に示す
5.常に子どもの味方であることを伝える
子どもが何かに取り組んでいるときは、親が先取りしてしまうのではなく、できない部分をサポートして補ってあげることが大切です。
また、「ダメなことはダメ」と悪いことを叱ったり、どうしてダメなのかを一緒に考えたりすることで、子どもの判断力を養うことができます。
まとめ
しかし、親はどんな状況になってもいつも子どもの味方であることを、日頃から伝えることも大切です。
その塩梅が難しいところですが、一緒に過ごす時間のなかで、子どもの思考力や実行力を妨げずサポートしながら見守ってあげましょう。