なぜなら預金先の銀行が口座保有者が亡くなったことを知ると、口座が凍結されてしまうからです。
たとえ生前に親から、亡くなった後の葬儀費用などを口座のお金で工面するように言われていたとしても、凍結されてしまったら引き出せなくなります。
こうした場合はどのように対処すればいいのでしょうか。
また、凍結されないための方法はあるのでしょうか。
今回は、亡くなった親の預金口座について掘り下げてみます。
親との別れの日は、誰にもいつかやってきます。
親が亡くなったとき、子どもであれば親の財産を相続する権利がありますが、一般的に預金口座を一つしか持たないのはレアで、たいていは複数持っているケースが多いようです。
しかしそもそも親がどこの銀行に口座を持っていたかさえ知らないということもあります。
では、故人の口座を調べるにはどうしたらよいのでしょうか。
1.取引関係者へのヒアリング
故人が預金口座を持っていることは分かっていても、通帳や明細などが見つからず、預金口座の情報がまったくない場合にはどうすればよいのでしょうか。
故人が確定申告などで頼っていた税理士などがいれば、その税理士に預金口座の情報を聞いてみましょう。
また、故人が生前会社勤めだった場合は、会社が給与の振込口座の情報を持っている可能性があります。
故人が会社経営者や個人事業主の場合、取引先からの報酬の振込口座があるはずなので、思い当たる取引先に問い合わせてみましょう。
2.遺産分割調停で質問する
故人の遺産を親族間で分割する場合、争いがないときはスムーズに故人の情報を入手できますが、争いがある場合ははなかなか故人の情報を入手できないことがあります。
こういったケースでは、裁判所で遺産分割調停という手続が行われることがよくみられます。
故人についての情報がスムーズに手に入らない場合は、遺産分割調停手続において、裁判所を介してほかの相続人に質問してみるのも方法のひとつになります。
ただし、質問内容が漠然としたものでは受け付けてもらえないので、銀行名や支店名程度の情報は必要になってくると思われます。
「亡くなった人の口座は凍結される」という話はよく耳にしますが、親が亡くなった場合、子どもがそのお金を引き出すためにはどうしたらよいのでしょうか。
2018年7月以前は、相続関係の話し合いが終わって手続きを済ませるまで、口座は完全に凍結されてお金を引き出すことは不可能でした。
しかし口座を完全に凍結してしまうと、残された遺族が困窮してしまう可能性があるため、法律が改正され、相続関係の話し合いがまだ済んでいない状態でも、預金の一部だけならお金を引き出せる「制度遺産分割前の相続預金の払戻し」ができるようになりました。
窓口に行く人の印鑑証明書や相続人全員の戸籍謄本などは必要になりますが、「預金額×3分の1×払戻しを行う相続人の法定相続分(1つの金融機関につき150万円が上限)」まで引き出すことが可能になったのです。
より大きな金額を引き出す必要がある場合は、家庭裁判所に申し立て、その判断に応じて預金の全額または一部を引き出せるケースもあります。
ちなみに仮に口座名義人が亡くなっても、その事実を銀行が知る前であれば、事前に聞いておいた暗証番号を使ってATMでお金をおろすことができます。 しかし、後日、親族間での相続争いを泥沼化させる可能性も十分にありますので注意してください。
まとめ
親が元気なうちに預金口座番号や暗証番号などを聞きだすのは難しいかもしれませんが、いよいよとなる前に残された者のことを考えてもらうことも重要です。
亡くなった親の通帳や印鑑の保管場所や預金口座番号など、財産情報がまったくわからないケースは少なからずあるため、親の預金口座の情報は、取り扱いに留意しながら早めに知っておくように心掛けておきましょう。