しかし、日本の成人の9割以上に虫歯があり、8割以上に歯周病があるという事実はあまり知られていないようです。
たかが虫歯と、甘くみてはいけません。
心臓疾患や糖尿病などの重い疾患に、虫歯や歯周病の原因菌が密接に関係していることが医学的に明らかになっており、歯の健康を維持することが身体全体の健康を守ることになるとわかってきています。
虫歯や歯周病は、原因となる細菌をしっかり取り除くことで防ぐことができます。
今回は、歯みがきでやってしまいがちなNG行為と正しい歯みがきの仕方についてご紹介したいと思います。
誰もが毎日行っている歯みがきですが、一回にどれくらいの時間をかけたらいいのか疑問に感じたことはありませんか。
人と比べる機会もないため、個人によって時間の差は相当あると思われ、なんとなく適当に歯みがきをしているという人も少なくないでしょう。
厚生労働省が実施した歯科疾患実態調査によれば、歯みがきの平均回数は一日2回、所要時間は「一回1~3分未満」が一番多い回答でした。
一般的には、毎食後3分間の歯みがきが推奨されており、すべての歯の汚れをしっかり落とすためには、最低でも3分間はかかると言われています。
歯科医院などでは、歯1本1本の前側・断面・後ろ側をみがくために、10分以上かけることを推奨しているケースもあります。
毎食後に10分以上の歯みがき時間は取りづらいという方は、就寝前の歯みがきに時間をかけて丁寧にみがけば、すぐに虫歯や歯周病になる可能性は低いと考えられています。
毎回10分程度、隅々まで磨いているという方でも、磨き方によっては虫歯や歯周病にかかることもあります。
正しい磨き方と間違った磨き方を理解して、いつも清潔な口中環境を整えるようにしましょう。
せっかく歯みがきをするのであれば、注意点を確認しておきましょう。
やってしまいがちなNG行動があれば、すぐに見直してください。
1.力任せにこする
力を入れて磨けば、汚れがよく落ちている気がするものです。
しかし、歯ブラシを強く押し当てて磨くと、毛先が寝てしまいかえってうまく汚れが落ちません。
また、強い摩擦力によって歯の表面のエナメル質や歯茎をを傷つけて、知覚過敏や歯茎の出血などの原因にもなります。
歯の歯垢を除去するために最適な歯ブラシ圧は、歯に軽く触れる程度の200gと言われています。
ブラシの毛先が曲がらないくらいの力で、毛先を歯と歯茎に当てて小刻みに動かします。
上手く力がコントロールできない方はやわらかめの歯ブラシを使うとよいでしょう。
くれぐれも、力いっぱい歯ブラシで歯みがきをするのは控えてください。
2.たっぷり歯みがき粉をつける
市販の歯みがき粉には、みがき心地を良くするために発泡剤やミントなどの清涼剤が添加されていることが多く、たっぷりつけることで泡立ちが良くなり、口いっぱいに清涼感が広がることで、実は磨けてないのに磨いた気になりがちです。
また、ちゃんと歯みがきができているか確認しづらくなります。
適切な量としては、歯ブラシの毛先1/3(小豆大)位が目安です。
口の中が唾液や泡でいっぱいになったら一旦吐き出すなどして最低でも3分間以上は磨きましょう。
実は、ブラシに水をつけて歯みがき粉をつけるのも、泡立ちやすくなり、歯みがき粉が流れやすくなって効果が半減してしまうのでNGです。
3. 磨いたあと何度もうがいをする
磨き終わっても歯みがき粉の味が口の中に残っているのが不快と言う方もおられるでしょう。
口をすすぐ時に、たっぷりの水で何度もうがいをしてしまっていませんか?
歯みがき粉の中には、フッ素など歯に良い有効成分も配合されています。
こうした有効成分をしっかり歯に作用させるためには、磨いた直後はおちょこ1杯くらいの少量の水で1回だけすすぐくらいがよいとも言われています。
気持ちが悪いようなら30分くらい待って、再度うがいをしましょう。
4.歯ブラシでしかメンテナンスを行わない
歯ブラシの先が届かない歯と歯の間は、細菌が繁殖しやすく、最も虫歯になりやすい場所のひとつです。
歯間ブラシは部分的にしか歯垢がとれないため、歯の側面をまんべんなく掃除ができるデンタルフロスがおすすめです。
歯みがきの前にデンタルフロスを使うことで、歯と歯の間の汚れも落とせて、歯磨き時に行き渡るフッ素の濃度も高いことが報告されています。
ひも状のフロスが使いづらいと感じるなら、柄のついているものも売っていますので、スーパーやドラッグストアでご自分の使いやすいものを探してみてください。
1日1回は使用して、しっかりとメンテナンスを行う習慣をつけましょう。
5.歯ブラシを交換しない
歯ブラシを交換せず、長期間使用するのはよくありません。
しかし定期的に交換せずに、今の歯ブラシに取り替えてからどれくらい経っているのかもわからず、たまたま歯ブラシを見て毛先が開いていたら交換するという方も多いのではないでしょうか。
毛先が開くと歯ブラシが本来の力が発揮できず、汚れが落ちにくくなりますので、交換の目安ではありますが、そのタイミングだと使い始めてから数カ月以上経っている場合もあります。
歯ブラシには、口の中に繁殖した細菌がびっしり付着しており、水で洗い流したくらいでは中々とれません。
さらに、濡れたまま湿気の多い洗面所に放置しておくと、更に菌が繁殖します。
これを長期間繰り返すと、歯をきれいにしているのか、歯に菌を塗りたくっているのかわからなくなってきます。
歯ブラシを交換する目安は、1か月程度です。
目安の使用期間が来ていなくても、ブラシの毛先が外を向いてしまっていたら早めに交換しましょう。
6.歯みがきのついでに舌を歯ブラシでこする
鏡の前で自分の舌を出して見てみると、特に中央や奥の方に白い汚れがついているように見えることはあります。
これを舌苔と言い、最近これが口臭の原因とされ、気にする人が増えてきているため、歯ブラシでゴシゴシと舌を磨く方がいるのですが、これはあまりオススメ出来ません。
舌の表面には味覚を司る細かいヒダが生えており、味を感じる器官が集中しています。
非常に繊細なため、歯ブラシでゴシゴシこすると傷つける可能性があり、味覚に悪影響を及ぼしたり、強い刺激によって表面が変質し逆に汚れがつきやすい状況になってしまいます。
舌を磨くときは、専門の舌歯ブラシを使用するようにしましょう。
歯を磨くときは、以下のポイントに注意しましょう。
・毛先を歯と歯茎の間に当てて、歯茎と歯の隙間の汚れを落とすよう意識する
・磨くときは力を込めすぎないように
・歯2本程度を目安にして、5~10mm左右に歯ブラシを細かく動かして磨く
・1か所20回を目安に歯みがきを進める
歯並びの関係上、歯の表面部分が少しデコボコしている場合は、1本ずつ丁寧に磨いていきましょう。
一番奥の歯は、みがき残しが多くたまりやすいので、意識してメンテナンスを行ってください。
まとめ
歯の痛みがなくても、定期的に歯医者さんでメンテナンスを受けて健康な歯を維持していきましょう。
ついやってしまいがちな行動が、実はNGな可能性もあるので、気を付けて歯みがきに取り組んでください。