子育てを楽しめず、焦ったり怒ったりを繰り返すのはなぜなのでしょうか。
家庭によってそれぞれ理由はあると思いますが、大局的に見ると親が子育てを長い目で見られなくなっているということが一番の原因だと思われます。
「人生時計」から子育てを見てみると、意外な発見があるかもしれません。
たとえば、多くの親御さんたちは次のように思っています。
・だらしがないのを直さなければ
・忘れ物が多いのを直さなければ
・食べ物の好き嫌いを直さなければ
・弱点や苦手なものを直さなければ
・今のうちから「勝ち組路線」に乗せなければ
これらに共通しているのが、子どものうちに人生で成功するための仕上げや完成を求めて、将来の不安を払しょくしたいという親の思いです。
子育ての経験者として、その気持ちはわからないでもないですが、実はこれが子育ての楽しさを手放し、苦しさに繋がっているのではないかと考えます。
なぜなら、子どもに対するこのような思いが強いほど、叱る回数が増えていくからです。
子どもは叱られてばかりいると自己肯定感が持てなくなり、親に対する不信感や自分は愛されていないのでは…という愛情不足を感じます。
また、親自身も子どもを叱ることで自己肯定感が下がるのです。
子育てを終えた私が言えるのは、子どものうちに完璧な人間に仕上げる必要はないということです。
焦ったり慌てたりして、親が完璧を求めて叱責するほど、逆に子どもは委縮して自分の才能を伸ばすことができなくなるかもしれません。
人生は長く、成長過程のいつの時点で才能が開花するのかは親でもわからないはずです。
子どものうちに完璧に仕上げる必要は全くありません。
子育て中の親御さんたちにはもっと長い目と広い視野で、子どもの今と将来を俯瞰的に見ることが必要だと思います。
と言っても、目の前のことに精一杯でなかなか広い視野など持てないという方に役に立つのが「人生時計」で子どもの今と将来を考える方法です。
「人生時計」で、人の年齢を時計の時刻に置き換えてみることで、現在の位置をより理解できるのです。
人生100年時代の到来と言われるようになり、今の子どもたちは100歳まで生きる可能性が高いようなので、切りよく0歳~100歳を真夜中0時~24時間にあてはめます。
そうすると、50歳はお昼の12時です。
25歳が朝の6時で、やっと朝日が昇る時間帯になります。
さて、では子どもたちは何時あたりにいるのでしょうか?
端数を四捨五入して、1年=14.4分と換算すると次のようになります。
1歳 0時14分
2歳 0時29分
3歳 0時43分
4歳 年少 0時58分
5歳 年中 1時12分
6歳 年長 1時26分
7歳 小1 1時41分
8歳 小2 1時55分
9歳 小3 2時10分
10歳 小4 2時24分
11歳 小5 2時38分
12歳 小6 2時53分
13歳 中1 3時07分
14歳 中2 3時22分
15歳 中3 3時36分
16歳 高1 3時50分
17歳 高2 4時05分
18歳 高3 4時19分
人生時計で見ると、子どもたちはまだ一日が始まったばかりの真夜中にいることがわかります。
4歳の年少さんは0時58分、7歳の小学1年生の子が1時41分です。
小学6年生が2時53分で、中学3年生になってもまだ夜中の3時36分なのです。
つまり、子ども時代はずっと深夜にいて、夜明けすらまだまだ先になるわけで、大部分の方は熟睡している時間帯なのです。
子どもがやっていることに親が焦ったりイライラしたりするのも、少々寝相が悪いのと同じようなものです。
反抗期で親に対する言葉遣いがひどくても、それは寝言なのです。
寝言に腹を立てても仕方がないですよね。
片づけができないからといって嘆く必要も、勉強ができないからといって、その子の人生を決めつける必要もありません。
今、引っ込み思案で情けないとか忘れ物が多くて心配だとしても、それがいったいどれほどのものでしょうか?
大器晩成という言葉が示す通り、子どものときはパッとしなくても大人になって大活躍している人たちはたくさんいます。
しつこいようですが、人生は長いのです。
子どもが心配で、つい口を出してしまうという親御さんにおすすめしたいのが、黒柳徹子さんが書かれた『窓際のトットちゃん』です。
徹子さんの自伝的図書で、読むと子どもと同じ目線で感じながら考えられる親になれる気がして、私は勇気づけられました。
子どものころに優秀でなくても、昔からある大器晩成という言葉のように、成人してから花開くことはよくあります。
現在のわが子の姿を目の前にして悩んでいる人には、自分の子どもを人生時計に換算すれば何時なのだろうということを思い出してほしいのです。
そうすれば、夜明けまではまだまだ時間がかかることがわかり、だからこそ、長い目で見られるようになります。
それには、焦って結果を求めることではなく、冷静に俯瞰的な視点であることが大切です。
親が焦ってしまうと、子どもの抱える問題(かもしれないもの)が、事実以上に大きなものに見えてしまいます。
その問題が人生を悪い方に決定づけてしまうかのように見えると、何事もうまくいかなくなります。
焦った時にはぜひ「人生時計」を意識してみてください。
まとめ
成人年齢が18歳になりましたが、「人生時計」ならまだ早朝4時ごろです。
子どもを今、何とかしなければと焦るのではなく、親御さんは可能性を信じて心を広く持って子育てを楽しんでいただけたらと思います。