ビジネスでの会話、特にプレゼンテーションの現場においては、話す内容もさることながら、話し手が”プロフェッショナルな雰囲気”をつくり出すことも重要だと言われています。
今回は、マーケティングプランナーの須藤亮氏著書『トッププレゼンターが教える「企画書とプレゼン」実践講座』から、プレゼンで一気にプロっぽくなるコツをご紹介します。
ビジネスにおいて、プレゼンテーションは、顧客や取引先の心を動かす大切な場面です。
皆さんも、プレゼンの前には入念に準備して、一生懸命、相手の心を動かそうと努力・工夫をすることでしょう。
プレゼン自体は良かったのに、条件や都合から、いつもうまくいくとは限らないため、結果に一喜一憂することも多々あります。
しかし、たとえどのような結果になろうとも、一回一回のプレゼンは決して無駄にはなりません。
むしろ自分を磨く舞台になっているとさえ言えます。
だからこそ、まずはプレゼンの機会を得た時には、いかにして相手の心を動かそうかという気概を持って取り組むべきなのです。
では、具体的に相手の心を動かすにはどうすればよいのでしょうか。
クライエントは、何らかの問題を抱え、悩んでいるわけです。
プレゼンターその問題を解決する何らかの企画を立ち上げて、アクションを起こさねばならないと考えます。
もしかしたら、その悩みによって会社が潰れてしまう事態に直面している可能性もあります。
切迫している問題に対して、何かをやらなければならないのは確かなのです。
そういった場合、大切なのは、相手の身になって考えること、そしてプレゼンを通じて相手を勇気づけることです。
プレゼン後に「そうか、この手があったか」と、相手に思わせることができれば、そのプレゼンは成功と言えるでしょう。
相手の心を動かすために、プレゼンターが心がけるべき3つの姿勢があります。
1.「熱意」
クライエントの悩みの深さを理解して共感し、その中で解決に向けて真剣に考えてきたという態度をとってこそ、初めて相手があなたにシンパシーを感じるのです。
2.「プロフェッショナル性」
クライエントがあなたやあなたの会社に頼んでくるのは、自分たちでは解決できない悩みを打ち破ってくれるかもしれないという期待があるからです。
クライエントでなくとも社内で誰かに何か頼まれごとをされたときに、それに応える回答や態度を示せれば、あなたに対する相手の信用度はアップするでしょう。
3.適度な「謙虚さ」
いくら自分たちがプロフェッショナルだとしても、常に上から目線で応対していては共感は得られません。
相手の立場に立って、一生懸命に誠心誠意相談に乗り、解決に向けて進もうとする態度で、クライエントは安心してあなたの提案を受け入れるのです。
1.肝心な場面まで答えは見せない
クライエントが一番聞きたいところを、戦略基づいて隠しておくのも方策です。
そこに辿り着くまでにいかに飽きさせず盛り上げるかがプレゼンの一つのカギと言えるでしょう。
具体的には、まずは現状の分析を行い、そこから見えてくる課題を探り当てます。
そして、その課題の内容を徐々に読み解いていきます。
そのあと、解決に向けての戦略に辿り着くわけですが、その前に戦略がバレてしまうと効果は半減します。
カギとなるのは、プレゼン中は戦略の部分で使うキーワードなどを、辿り着く前段階では決して見せないように工夫することです。
悪いケースとしては、プレゼン前の自己紹介時などに、いかに自分たちがうまい提案を持ってきたかを話し、勢い余って提案根幹になる内容やキーワードをポロッと言ってしまうことがあります。
そうなると、いざプレゼン本番になった時、再びいかにその箇所を熱く語っても、クライエントにインパクトを与えることはできません。
プレゼンのワクワク感を維持するためには、肝心な場面まで答えを見せないように。
2.有効な「言葉のつなぎ」を加える
もうひとつのカギは、言葉のつなぎ方です。
下図のようなリボンフレームでつくった企画書は、それ自体が論理的につくられているので、極論を言えば、ただ棒読みしているだけでも言いたいことは伝わるはずです。
プレゼンターが心がけるべき姿勢のところで「プロフェッショナル性」が必要と述べたのは、プレゼンター自身が、いかにプロとしての雰囲気をまとわせるかが勝負になるからです。
そしてその時、意外に大切になるのが「つなぎ言葉」なのです。
企画書の文章をどういう言葉でつなぎ、より魅力的な内容に補強するかが重要になってきます。
この言葉のつなぎをいかに加えるかによってプレゼンの説得力がまったく違ってきます。
一例として、企画書に補強の文章や接続詞を新たに( )の部分として加えてみました。
「今回の課題の考え方ですが、(本が売れないという)原因①、(すなわち、)本を買って読む人が減少しているという現実問題は、いち本屋だけでの解決は難しい(と思われます。)
(ならば、)もう一つの要因として、(つまり、)ネットに流れているお客様を何とかすること(に課題を設定します。)
(何故なら、)他の本屋のように何らかの活動をやって存在感を増すことで、この本屋さんのかつてのファンを引き戻すことができれば、客離れを解消できる(可能性があるからです。)」
この中で、( )の部分は、企画書には書いてありません。
それをプレゼンターが適切に付け足し、クライエントに伝えることで、話がスムーズに流れるのです。
3.重要な「冒頭と締め」の言葉
プレゼンを始める前の冒頭で、
「今回、御社の期待に応えるため我々の知恵を総動員して考えてまいりました」
プレゼンの最後の締めに、
「我々の提案によって御社の懸案の課題が解決できると確信しております」
といった言葉を選ぶことで、プレゼンターの態度の、「熱意」や「謙虚さ」をクライエントに直に伝えることができ、好感を持ってもらえるでしょう。
プレゼンは、当事者を含め多くの人が見ている前で行うため、常に他人の評価が付いて回ります。
すると自然にプレゼン後になると、プレゼンを受けた側も同席した仲間も、何かしら意見を言うはずです。
それは企画書の評価であったり、プレゼンの評価でああったりと、結局プレゼンターの評価になって返ってきます。
この評価の声が必然としてプレゼンター反省材料となったり、自分の癖や特徴を知る機会になります。
そして、次回はそれを踏まえてどうプレゼンしようかという意欲が湧き、結果的にどんどんプレゼン力がついていきます。
プレゼンをやればやるほどうまくなるというのはこういう仕組みからなのです。
まとめ
何度も同じ方を相手にプレゼンをすることも珍しくありません。
すると、この相手が日頃どういう考えを持っているのか、反応しやすい部分がどこなのかを知ることになり、それに合わせた対応ができるようになります。
それは相手の癖を知り心を動かす戦術を持ったことになり、プレゼンの勝率はおのずと上がっていくはずです。
逆の立場からすれば、信頼してこちらの話を聞けるようになるのですから。
ぜひプレゼンによって、自分をアピールできる機会をフル活用してください。
『トッププレゼンターが教える「企画書とプレゼン」実践講座』