その名も「リゼンティーズム」。
この呼称は、健康問題によって生産性が低下している状況を意味する「プレゼンティーズム」にひねりを加えた形で現れた、2023年バージョンと言えます。
今回は「リゼンティーズム」について掘り下げてみたいと思います。
イギリスの人事協会CIPDによるコロナパンデミック以前の調査では、80%以上の社会人がプレゼンティーズムが自分の職場で実際に問題になっていると答えました。
この言葉はその後、ロックダウン期間中に広まり、体調が悪いのに会社に出勤するのは生産性を下げるだけなのではと、人々は疑問を抱くようになったのです。
そして3年後の今、新たな言葉が生まれました。
その名も「リゼンティーズム」。
「リゼンティーズム」は、仕事の現状に不満を感じているのに、それに対して何も行動を起こさず、働き続けている状況を指します。
この造語の生みの親である従業員管理ソフトウェア会社のRotaCloudは、プレゼンティーズムにより、病気などがオフィス内に蔓延するのと同様に、リゼンティーズムの不満な態度や雰囲気が社内に広まる可能性があると指摘しています。
従業員のこうした「不満」の要因は、仕事の不安や新たなチャンスの少なさなど様々な理由が考えられます。 しかしRotaCloudは、コロナパンデミックによって雇用形態が大きく変化し、アメリカやイギリスなどで多くの人が一斉に離職した「大量離職」の影響が大きいと示唆しています。
そして今、特に企業が人手不足である場合などは、離職せずに会社に残った人々が、過労や過小評価されていると感じるのも無理のないことかもしれません。
2021年に求職サイトIndeedが発表した「職場幸福度スコア」では、イギリスの従業員の3分の1以上が仕事に不満を持っていることが分かっています。
さらに昨今、物価が高騰し生活費の支払いに対する不安などから、人々は転職に躊躇する傾向にあります。
仕事の現状に不満を感じつつも溜め込むだけで、改善策などの行動は何も起こさず、ただ我慢して働き続けている「リゼンティーズム」の状況以前には、最低限の仕事だけこなしそれ以上は頑張らない「クワイエット・クィッティング(静かなる退職)」や、出世や収入向上などの上昇志向を放棄し生きていく中国発の「諦め」といったワーク・トレンドが広まっていました。
では、もし実際に不満や怒りを感じていたらどうすれば良いのでしょうか。
RotaCloudによると、そうした感情を軽減する方法がいくつかあるようです。
1. 上司や人事とコミュニケーションをとり、不満を説明する
2. 自分が幸せになるために仕事に何を求めているのかを考え、キャリアプランやワークライフバランス、仕事のやりがいについて上司に相談する
3. 心身の健康を大切にする
4. 他の機会にも目を向ける
5. 仕事はただの仕事であることを忘れず、悩み過ぎない
こうした心身の状況改善は、個々の従業員だけではなく雇用主が取り組むことでもあります。
RotaCloudの人事部トップであるパム・ハインズ氏は、企業が誠実さを奨励し、従業員が十分な休みを取れる環境を作り、「ポジティブな文化」で彼らを支援することが重要だと述べています。
まとめ
働き方については個々それぞれの考え方があり、どのような企業で働いているかによっても違うと思います。
目には見えないものですが、人間同士の「相性」のように「社風」という企業との相性によっても大きく左右されるのではないでしょうか。
ただ、私などは、同じ仕事をするのであれば、前向きにとらえた態度で臨むほうがやっていて気持ちが良いのではないかと考えますが、いかがでしょうか。