子ねこの時はそこまで緩んでいないのに、成猫になると加齢とともにタルタル具合が進化しているように思えるのは私だけでしょうか。
今回は、猫のおなかがたるんでいる大きな4つの理由をご紹介します。
1.伸びやかな動きを妨げないため
2.たらふく食べても大丈夫なように
3.急所を守るため
4.保温するため
★ おなかがたるみやすい猫の特徴とは?
★ まとめ
成猫のおなかのたるみはいつも肥満が原因と言うわけではありません。
たるんでいる部分が、脂肪ではなく実は皮であることも多いのです。
もちろんぽっちゃりな猫であれば脂肪でたるんでいる場合もありますが、標準体型の猫でも、皮がたるたるしていると考えてよいでしょう。
このたるみのことを「プライモーディアルポーチ」と言います。
日本では、通称「ルーズスキン」とも呼ばれているようです。
なぜこのたるみが猫のおなかにあるのかという理由には諸説あり、はっきりしたことは分かっていませんが、ひとつの理由として、猫のしなやかで伸びやかな動きを妨げないためだと考えられています。
ご存知のように、猫は変幻自在に体の形を変えることができます。
そういえば「ネコは液体である」という論文は、ノーベル賞のパロディーとして「人々を笑わせ、考えさせる」ような研究に送られるイグ・ノーベル賞を受賞しましたね。
ほんとうに猫と言う動物は、胴体を伸ばすと、びよーんとどこまででも伸びてしまいそうです。
猫はまた、ジャンプしたり全速力で走ったり、体を伸び縮みさせて動くこともあります。
そんなとき、皮膚が足らずに突っ張ってしまうと、自由な動きが邪魔されてしまいますが、体のたるみで問題なく伸ばせるように存在していると考えられているのです。
2.たらふく食べても大丈夫なように
野生の猫は、いつでも食べ物がふんだんにあるわけではありません。
獲物を獲得した機会に、たらふく食べておく必要があるわけです。
しかし、おなかの皮に余裕がない状態だと、さほど量が入りません。
つまり、おなかにたるみがあれば、満腹になるまでたらふく食べても問題なく入ると言われているのです。
ただ、猫よりもたくさん食べると思われる犬にはおなかのたるみがないため、この理由が信憑性があるかと言うと一概にそうとは言い切れないかもしれません。
3.急所を守るため
猫の急所は「おなか」です。
その理由は、大事な内臓が詰まっているのにも関わらず、骨などで守られていない部分だからです。
もし敵の鋭い歯でおなかをガブっとやられてしまったら、命を落とすほどの大ダメージをくらってしまうでしょう。
特に野生の生活下では、いつ敵に遭遇するか分かりません。
奇襲に遭い、攻撃されてしまうかもしれないのです。
そんなとき、おなかにたるみがあれば、万が一おなかをガブッとやられても内臓にまでは達しない可能性があります。
敵からすれば皮を噛んだだけで、その猫にダメージは与えられないわけなのです。
すなわちあのおなかのたるみは、だらしないからたるたるしているのではなく、必死で猫の命を守っていると考えられています。
4.保温するため
もし機会があれば、猫のたるみを触ってみてください。
私は、あのなんともいえない感触が大好きで、許してもらえる限り飼い猫のお腹をなでなでしています。
ただ、おなかを触られるのをとても嫌がる猫もいるので、触りたいときは様子を見ながら行ってください。
個体差はあるでしょうが、触れると意外に皮が厚いのが分かります。
人間の皮膚のようなペラッペラの薄い皮ではありません。
この厚みのある皮が、猫の大切な体温を保温しているのではないか、といわれています。
いわば、この皮が、腹巻のような役割を果たしているわけです。
そういえば、真夏の暑い時期には、冷たいフローリングにおなかをぺしゃんとつけていることが多いのは、上がり過ぎた体温を逆に冷やしているのかもしれませんね。
全ての猫が同じ大きさのおなかのたるみをしているわけではありません。
たるみがあまり目立たない猫もいますし、堂々と立派なたるみをした猫もいます。
子猫にはないので、だんだんと成長する間に形成されていきます。
成長と共に形成されていくたるみですが、たるみ始める時期にも個体差があるようです。
どのくら成長すればたるんでくるのかという点では、性差や体型はあまり関係がないのだとか。
野生味あふれる遺伝子を持っている猫にたるみはできやすい、ともいわれています。
猫種では、アメリカンショートヘア、ベンガル、エジプシャンマウ、ピクシーボブなどが代表的ですが、他の猫種でもたるみの生じやすさは個体差によるものが多いため、この説の信ぴょう性も証明しづらいと言えるでしょう。
キャットショーでの評価対象に、たるみがはいっている場合もあるそうですよ。
まとめ
たかだか猫のおなかとはいえ、奥深かい秘密がまだあるのかもしれませんね。
たるみがあるからといっても脂肪でもなければ、太っているわけでもないので、健康上の問題は全くありません。
大切な愛猫の一部分ですから、ご機嫌のよい時に嫌がられない程度にたっぷり愛でてあげてください。