「睡眠障害予備軍」と「睡眠障害」との明確な違いを述べるのは少し難しいところです。一般的に睡眠障害とは、夜寝れないことで日常生活に支障が出ている状態の総称です。
種類としては、不眠症、概日リズム睡眠覚醒障害、睡眠呼吸障害、睡眠関連運動障害など多くの種類があります。
症状や感じ方に個人差があるので、一概に「この症状が出たら睡眠障害予備軍です」とは言いづらいのです。
しかし、次のような症状が「頻繁に起こっている」のであれば、睡眠障害予備軍を疑った方がいいでしょう。
【 睡眠障害予備軍を疑う症状 】
・布団に入って30分以上たっても眠れない
・眠りが浅く、夜中に何度も目が覚める
・早朝に目が覚める
・寝て起きても疲れがとれない
・日中に強い眠気が来る
・足がムズムズして眠れない
ポイントは、「いくつ当てはまるか」ではなく「回数」です。
月に1度や2度ならば、たまたまかもしれません。
「途中で目覚める日が何日も続いている」という風に、回数として体感しているかどうかです。
もしも上記の項目に当てはまる場合は、睡眠アプリなどを使って、自分のデータをとってみるといいでしょう。
最近のアプリは性能が高く、入眠や起床時間、睡眠時間だけでなく、睡眠の深さまでわかるものもあり、睡眠状態からスコアを割り出すものもあります。
低いスコアが続くようであれば、専門家に相談してみるのもよいのではないでしょうか。
実際に、コロナ禍以降、睡眠障害で悩む人は増えています。
社会的にも深刻化している問題かもしれません。
特にデスクワークの方は、夜、布団に入ってもなかなか寝付けない入眠障害と、途中で目が覚めてしまう中途覚醒で悩んでいる方が多いようです。
通勤することがなく、朝からずっと家で仕事をしていると、いつの間にかプライベートと仕事の区切りがなくなり、寝る時間が遅くなりがちです。
それが日常化すると、今日は早めに寝ようと思っても寝れない、そして、朝、目覚めた時にもスッキリしないという状況になります。
すると、仕事がはかどらず、夜遅くまで仕事をして、また翌朝起きるのがツラくなる…、そんな生活サイクルに陥ってしまうようです。
眠れないことで生活サイクルが崩れて、仕事に支障がでるのは、在宅ワーカーであれば、人間の体の仕組み上、多少は仕方のないことと言えます。
1日は24時間ですが、人間の体内時計は24時間18分と少し長めであり、それをリセットしてくれるのが、太陽の光と食事と運動などといったものです。
朝起きて、太陽の光(2500ルクス以上)に当たることで、セロトニンという安定と癒しのホルモンが分泌されます。
それが14~16時間後にメラトニンという眠気を誘うホルモンに変わることで、自然と眠くなります。
在宅ワーカーの場合は、朝から自宅にこもってずっと仕事をしている方が多いので、体内時計がズレてしまい、これらの機能が正常に働いていない可能性があるのです。
睡眠の質は交感神経と副交感神経が深く関わっていて、このバランスがいいと睡眠の質もよくなり、翌日もスッキリ起きれて元気に過ごせます。
現代人の多くは仕事などのいろいろなことをやった上で、余った時間を睡眠時間にあてているため、1日の間で交感神経優位の状態が長く続き、バランスの悪い方が多いと言われています。
年齢を重ねると、交感神経から副交感神経に切り替わりにくくなるというのもあるため、意識して副交感神経が優位になる状況を作る必要があるのです。
質の高い睡眠をとるためには、1.睡眠環境を整えること、2.意識して睡眠時間を確保すること、3.必ず湯船につかることが良いようです。
1.の睡眠環境については、寝室は落ち着いた暖色系の照明にして、枕元にはスマホやパソコンなどを置かないことが鉄則です。
ずーっと明るい照明をつけていると、脳が昼間だと勘違いしてしまいます。
また、スマホやパソコンなどから出る電磁波も睡眠を妨害する原因となる可能性があります。
2.の意識して睡眠時間を確保するというのも、そんなに難しくはありません。
たとえば、必要な睡眠時間を7時間くらいとろうとするならば、仮に翌朝6時に起きる場合は前日の23時には寝たいとなります。
すると、お風呂は寝る1時間半前、夕飯は寝る3時間前にすませるという風にどんどん逆算していくと、睡眠時間を確保したスケジュールが組めます。
3.の湯船につかるというのは、深い眠りに入りやすくする準備としてです。
入浴後90分くらいから深部体温が下がり、寝つきやすくなるといわれています。
ほかにも、質のいい睡眠をとるポイントとして、次の8点があげられます。
・スマホを目覚まし時計代わりにしない
・起きたら太陽を5分以上見る。朝食はできれば和食で。20分ほどの軽い運動をする
・昼寝をするなら、15時までに20~30分
・夕方以降は、照明の光色を電球色に変えたり、明るさを調整する
・お風呂は38~41度の湯船に10~15分つかる
・寝る時はパジャマ(麻・綿・シルク)に着替える
・寝る前はスマホを見ない
・スマホを充電しっぱなしで枕元に置いて寝ない
特に、スマホを目覚まし時計として使っている人は、すぐにやめた方がいいでしょう。
睡眠を妨害する可能性がある電磁波を出しているというのもありますが、音よりも光で目を覚ます方がいいので、最近少しずつ増えてきている光目覚まし時計がおすすめです。
まとめ
ご紹介した快眠方法は、今日からでも試せるものですが、全てを一度にやる必要はありません。
自分でやりやすいと感じたものから、ひとつずつはじめてみるといいでしょう。
最近は、いろいろな快眠グッズも発売されています。
入浴時のバスソルトやアロマ系オイルなど、快眠グッズとして取り入れやすいものがたくさんあるので、安眠ポイントを押さえつつ、副交感神経を優位にすることからはじめてみましょう。
そして、いろいろ工夫はしたけれど、なかなか改善しない場合は、睡眠専門の資格を持った快眠セラピストや睡眠インストラクターに頼ってみるのも良いかもしれません。