今回は、伊藤羊一氏著書、累計60万部のロングセラー『1分で話せ』から驚くほど説得力が増す「伝え方のコツ」をご紹介します。
頑張って話しているのに伝わらない人は、こんな話し方をしていないでしょうか?
「Aさんもいいと言っていました」
「お得意さんも喜んでいました」
「実際に数字も上がっています、以上」
こんなふうに言われると、聞いている人は、「それで?」ってなります。
伝えていることが、いわば「てっぺんのないピラミッド」になっているのです。
ロジカルシンキングを多少なりとも勉強した方の中には、「ピラミッドストラクチャー」を学んだ方も多いと思います。
初めて聞く方のために簡単に説明すると、話には結論と根拠があり、ピラミッドストラクチャーとは上図のように、結論を一番上に、その根拠を下に並べたものです。
根拠は複数あることが多いので、並べてみると三角形、つまり、ピラミッドのような形になります。
上記の
「Aさんがいいと言っていた」
「数字が上がっている」
という話を振り返ってみましょう。
この話には、ピラミッドでいう「根拠」だけがあり、「結論」が抜けています。
事例やデータをただ並べるだけの話からは、聞き手は何を読み取ればよいのか、話し手が何を主張したいのかがわかりません。
なので、「で?」となってしまうのです。
逆にいえば、データや事実の上に「結論」を乗っけて、ピラミッドをしっかり組めば、話が長くなったり、伝わらなかったりすることはなくなります。
伝えることは、
「結論はこうです」
「その理由はAでBでCだからです」
これだけでいいのです。
「1分」の根幹はここにあります。
まず伝えようとすることの骨組み、つまり、結論と根拠のセットを構築できれば、驚くほど説得力を増す伝え方ができるのです。
ビジネスでは、よく「結論から先に述べよ」と言われます。
では、結論とはなんでしょう?
おそらく、大概の方はみんな「結論を先に」述べなければいけないのはわかっているにもかかわらず、なぜか、
「売上が伸びています」
「今年の展示会はEV車が増えていました」
などという話をします。
むしろ、こうしたことが結論だと思われているのかもしれませんが、これらは皆、単なる事実の羅列であり、結局、「てっぺんのないピラミッド」の話になってしまいます。
では、「結論」を出すにはどうすればいいのかと言うと、まずは、「自分が伝えたい結論、伝えるべき結論は何か」をはっきりさせましょう。
もともと伝えたいことがあるから伝えているはずですから、その結論がないというのはおかしな話です。
話す前に、あなたが伝えたい結論は何か、聞き手に受け入れてほしいことは何かをはっきりさせておきます。
それを「考える」のです。
結論を出していくためには、「自分に問うてみる」のがよいと思います。
まずはピラミッドの下に位置する「根拠」を並べて、「Aという根拠がある」→「だから何?」と問うてみます。
そして出てきた「答え」に対して「ファイナルアンサー?」「本当か?」とさらに問うてみましょう。
頭の中を「どうしようか」と考えがぐるぐる回っている時は、「考えている」のではなく「悩んでいる」状態です。
そういう時は、なかなか結論が出てきません。
これをさけるために、機械的に「考える」→「結論を出す」習慣をつくるのです。
一方で、結論を提示した後、それに従って相手に動いてもらいたい時は、相手に動いてほしい方向の結論を示すとよいでしょう。
たとえば、企画会議の時は、「結論としてこれはこんな企画です」ではなく、「この企画は売れます」が結論です。
さらにもっといえば、「これは売れます。だからやりましょう」が結論です。
相手に動いてほしい方向を表すことも結論として非常に大切なのです。
まとめ
結論に至る「事実」や「根拠」を頭のなかで並べて考え、「だからこういう結論になる」ところまでを一気に伝えなければ、相手はいつまでも「それで何?」というただ長くて伝わらない非常に残念な話になってしまいます。
ご紹介した「大事な型」を意識しつつ、話し方の訓練となれば幸いです。
『1分で話せ』