腸に良いものと言えば、発酵食品や食物繊維が豊富な食材というのが浮かぶと思いますが、意識は高まっているものの、具体的には一体何を食べれば良いのか、これで合っているのかわからないというのが正直なところ。
実は生真面目な日本人が陥りやすいのが「ばっかり食べ」なのです。
腸の健康の鍵は、多様性にあります。
gut health先進国のイギリスをお手本にしてポイントを押さえた食生活をしていきましょう。
日本では「腸活」という言葉をよく目にしますが、英語では「腸活」=「腸を健康に保つこと」という意味でkeep one’s gut healthyやimprove one’s gut healthのように言い表します。
gut healthブームのおかげで、ヒトの脳の状態が腸に影響を及ぼし、逆に腸の状態も脳に影響を及ぼす、という「brain-gut axis(脳腸軸)」「brain-gut interaction(脳腸相関)」という考え方が広く知られるようになってきたのです。
腸環境を改善することで、脳への伝達が良好となり、ストレスも改善されます。
心も体も健康になる、という考えは、ストレス社会においておおいに注目されるところです。
そのブームは、イギリスのランガン・チャタジー博士(Dr Rangan Chatterjee)の著書『The Stress Solution』の中で、「脳と腸がお互いに影響を与え合っている」という脳腸軸の現象や、腸環境を良くすることの重要性を分かりやすく説明したことが火付け役とも言われています。
続けられる食習慣として、gut health(腸の健康)のポイントは2つ。
1.「食物繊維が豊富な食材」
2.「多様な食事」
です。
食物繊維の豊富な食材の摂取はできている方が多い一方、健康コンシャスで生真面目な日本人が陥りやすいのが「ばっかり食べ」。
例えば納豆が良いと言われれば「納豆ばっかり」食べる、玄米が良いと言われれば「玄米ばっかり」と、「ばっかり食べ」に陥る傾向があります。
食物繊維は不溶性と水溶性の2種類があり、不溶性食物繊維をとりすぎると腸が弱い人は消化不良で便秘を起こしてしまうことも。
これは決して腸の健康には繋がりません。
チャタジー博士はより具体的で取り組みやすい「食材チェックリスト」を公開しています。
これは、AからZで始まる食材が紹介されており、これらの食材を1カ月かけて食べれば食物繊維がたくさん取れて、多様性のある食事ができるというもの。
アルファベットに当てはまる複数の食材の中からチェックしていくので、具体的で取り組みやすいのもポイント。
これなら1ヶ月でコンプリート目指して、楽しみながらできそうですね。
以前に日本で提唱された「1日30品目」よりも、はるかにゆるやかで実践が可能なように感じます。
以下、チャタジー博士のサイトからチェック表を無料ダウンロードできます。
A:アスパラガス、リンゴ
B:バナナ、ベリー類、チンゲン菜、ブロッコリー、ビーツ、黒豆
C:ココア、ひよこ豆、キャベツ、セロリ、カリフラワー、にんじん、キュウリ、カシューナッツ
D:タンポポの若葉、ディル、(大根)(デコポン)(デラウェア)
E:ナス、枝豆
F:空豆
G:生姜、ニンニク
H:ヘーゼルナッツ、ハバネロ
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X:キヌア
Y:山芋、レンズ豆
Z:ズッキーニ
などなど…。
チャタジー博士によれば、アルファベット表はあくまで目安で、住んでいる環境や場所、好みに応じて適宜自由に調整し、現実的な目標として月に26種類の植物性食品を摂取することを目指してほしいと語っています。
確かにアルファベット表を見ると、例えば「E」のeggplant(ナス)とedamame beans(枝豆)などは日本にいても取り入れやすいが、「D」だとdandelion greens(タンポポの若葉)とdill(ディル ※ハーブの一種)といった日本では手に入りにくい食材も並んでいます。
そういう場合は、「D」を大根やデコポン、デラウェア(ぶどうの一種)などに変えれば、場所や季節に応じて、この表がより使いやすくなるかもしれません。
また、アルファベット表の「U」のurad dal(ウラドダル)はケツルアズキという真っ黒い豆らしいのですが、イギリス在住の方でも日常的にお目にかかる食材ではないそうで、日本ではほぼ入手するのは無理と言えます。
そう言う場合も「U」をume(梅や梅干し)に変更することで「U」にチェックを入れることができます。
また、「T」はturnips(カブ)とtomatoes(トマト)が参考食材として載っていますが、日本ではここにtofu(豆腐)やトウモロコシなどを加えても、食材の選択肢が広がりますね。
このように、多種類の食材をバランスよく食べる取り組みを促すものとして、自分なりのアルファベット表を作ってみるのも面白いでしょう。
まとめ
その柔軟さこそがストレスフリーにつながり腸の健康を保つ秘訣になります。
いつもは手に取らないような新たな食材に興味を持つきっかけにもなりますし、気がつけばスーパーでいつも同じ食材ばかり購入するということもなくなるかもしれません。
毎日同じ料理ばかり食べると認知症が進みやすいというデータもあるため、新しい食材の、美味しさや香り、その刺激を脳に与えることが必要です。
ナッツを食べる場合にも、アーモンドばかりを食べるより、時々ヘーゼルナッツやカシューナッツに替えてみる、などほんの少し違う食材を取り入れてみるのもよいでしょう。
『「The Stress Solution』