しかし、それは意志の弱さや性格の問題ではないのです。
続けられないのは、ただ「続ける」ための方法を知らないということ。
今回は、伊庭正康氏著書『やり抜く人になるための戦略書』より、続けられない言い訳としてよく挙げられる「面倒くさいから」「飽きっぽいから」「忙しいから」「相手に嫌われないか心配だから」という主な4つの理由から、続けられる法則に転換するヒントをご紹介します。
著者自身が心理学や経営学など国内外のさまざまな知見を研究するなかで、物事をやり抜くための法則として発見したのが「TKKの法則」です。
「TKKの法則」とは、
T→たのしく
K→かんたんにする
K→効果を確認する
の略。
たしかに楽しくやれれば、「面倒くさい」「飽きっぽい」は解消できるかもしれませんね。
さらに、「意志が弱くてもやり抜く”仕組み”さえつくれば続けられる」ことに焦点を当てて、「TKKの法則」について確認してみましょう。
1つ目は「T」、「たのしく」。
自分に課されている仕事であっても、心が動かない、すなわち「やりたくない」と感じるときも当然あるでしょう。
しかし、「やりたくない」からといって仕事にとりかからないままでいることはできません。
では、そんなときにはどうすればいいのでしょうか?
「やりたくない」を乗り越える方法のひとつとして、著者はそれを「やりたい」に変えることを提案しています。
たとえ「やりたくない」仕事であったとしても、それを自分なりに価値ある・意味あるものに変えていけば、「やりたい」に気持ちが変わっていくというのです。
重要なポイントは、否定的になるのではなく、「どうせやるなら、こうしてみよう」というように前向きに考えることだそう。
「どうせやるなら」と自分に投げかけ、どんな変化を生み出すか考えていけば、「自分ごと」として受け入れることができて楽しめるようになり「やらされ感」から脱却できます。
自分がどうすれば得をするか、逆にやらないと損をするかを考えていくとわかりやすいかもしれません。
「やりたくない」ことを価値や意味あるものに変換できたら、「やりたい」マインドが生まれることになります。
そして自走力が高まり、楽しさも生まれるというわけです。
2つ目は「K」、「かんたんに」。
当たり前のことですが「やり抜く」ためには、簡単にすることがベストだという考え方です。
挫折せず、やり続ける人は、次の3つのコツを身につけていることが多いのです。
1. フォーマットをつくる
ご存知のとおり、故スティーブ・ジョブズ氏がいつも同じ格好をしていたのは、服を選んだり考えたりすることにエネルギーや時間をかけるのは無駄だと考えていたからです。
このことからもわかるように、ひとつに決めれば、迷ったり悩んだりする煩わしさから解放され、やり続けやすくなるということです。
2. 手間を省く
移動中にメールが届いたら、オフィスに戻ってパソコンを立ち上げる前に、スマホからその場で返信するなど、作業の無駄を省くこと。
著者の場合、スマホの音声入力をフル活用しているそうで、手でタイピングするよりも10倍の速さで作成できるのだとか。
3. 判断を減らす
判断にかけるエネルギーを極限まで減らすようにしましょう。
取り入れてほしいのは、「if-then(イフゼン)プランニング」」という方法。
条件反射でやるべきことを自動化する究極のメソッドとして大いに役に立ちます。
「もし○○になれば◆◆する」というフォームに、「もし19時になったら、ジムへ行く」というように行動を落とし込み、実践します。
こうして続けていくと習慣として定着し、効率が上がるようです。
3つ目の「K」は「効果を確認する」。
その手段のひとつが記録をとることです。
たとえば「ダイエットを続けよう」というのであれば、毎日の体重の変化がわかるように、計測した数値をグラフで示していきます。
あるいは「読書習慣を身につけたい」のであれば、まずは毎日の読書時間を「22時から」というように決め、読後には読んだ本のタイトルと読書時間、読んだページ数をメモするわけです。
注意してほしいのは、記録すること自体が目的ではない、ということ。
複雑な工程は「やり続ける」ための妨げになるため、毎日、簡単に続けられる方法で記録をつけてください。
面倒で続かないということでは、何のための記録なのかわからず、本末転倒になりますから。
記録は「効果を確認する」ためにつけるもので、「いまの自分の状態を把握する」という目的を忘れてはならないということです。
まとめ
しかし、今回ご紹介したメソッドを取り入れることで「やり抜く人」になれる可能性は十分にあります。
「TKKの法則」を上手に利用することができれば、誰でもやり抜く人になれるでしょう。
もしもなかなか続けられないと困っているのであれば、一度試してみてはいかがでしょうか。