このゴロゴロという音が人間にとってメリットがあるらしいのです。
今回は、猫の心理の研究を行う麻布大学の高木佐保氏著書 『知りたい! ネコごころ』 から、猫が鳴らす「ゴロゴロ」音についてご紹介したいと思います。
猫はなぜ「ゴロゴロ」とのどを鳴らすのでしょうか?
諸説あるものの、もともとこの「ゴロゴロ」音は、子猫が母猫のお乳を飲みながら発する声で、たくさんおっぱいを飲んで満足しているという意思を伝える意味合いがあると考えられています。
飼い猫の場合はヒトに対してもこの発声を行います。
あごの下をなでられた時や、は柔らかい布やクッションを「ふみふみ」しながらのどを鳴らす猫もいます。
これは子猫が母猫にお乳をせがむときの行動を真似たもので、この行動が見られた時は、猫自身が非常にリラックスしている時のようです。
猫のゴロゴロ音を聞くことは、人間にとっての良い効果をもたらします。
この音を人間が聞くと、人間の骨密度を上げると言われています。
加齢とともに骨粗鬆症になり、骨密度が減少するリスクの高い人を対象に行った調査によると、猫のゴロゴロ音の振動を与えたグループと与えなかったグループの間には差があり、各グループの骨密度を測定すると振動を与えた方は骨密度が増加したことがわかりました。
猫のゴロゴロ音に含まれる微細な振動である低周波が、骨密度の増加に寄与する可能性があるのではないかと実験結果でわかっています。
また、骨密度だけでなくリラックス効果もあるとのこと。
そもそも猫の「ミャー」という鳴き声自体、人間との繋がりの過程の中で進化したもので、人間に「愛らしい存在」だと思わせるよう進化したのです。
本来「ミャー」という鳴き声は仔猫が母親の気を引くためのもので、大人の猫同士のあいだではほとんど使われません。
つまり、大人の猫が鳴くのは人間に限定されているのです。
アメリカの大学にて音響解析したところ、野生のヤマネコの鳴き声に比べて家で飼われているネコの鳴き声の方が短く高くなっていることが分かりました。
また、人間に聞かせた時には、家で飼われているネコの方がより人間にとって心地よい音だという判断がされました。
このことからもネコは人間と共生するようになってより、鳴き声を人間が好むように変化させてきたといえそうです。
まとめ
しかしこのゴロゴロ音で骨密度が上がるというのは、目からうろこの話でした。
実際に猫を飼っている筆者はもちろん、皆さんもこれからは飼い猫のゴロゴロ音を聞いたら「今、骨密度が高まっているんだな?!」と感じながら聴き入ってみてはいかがでしょうか。
『知りたい! ネコごころ』