受給開始年齢を繰り下げるほど、受給額はアップしますが、元気なうちに年金をもらいたいと考ええる方も多いはず。
そこで、今回は何歳で受給を始めるのが多くの方に取ってベターなのかを検証してみたいと思います。
65歳なった時点での年金受給額に対し、年金の繰上げ受給をする場合、1ヶ月繰り上げるごとに0.4%が減額されます。
反対に、繰下げ受給をする場合は、1ヶ月繰り下げる度に0.7%が加算される仕組みになっています。
そのため、60歳0ヶ月から年金を受け取り始めると、0.4%×60ヶ月=24.0%が減額され、70歳0ヶ月から受け取り始めると、0.7%×60ヶ月=42.0%が増額されます。
生涯で最も年金を多く受け取れる年金受給開始のタイミングを考える際には、平均余命がよくシミュレーションに使われます。
基本的には繰下げ受給のほうが生涯受け取る年金額は多くなる傾向があります。
例えば、65歳で年金を受け取り始めると年間300万円もらえる男性がいるとします。
65歳男性の平均余命は約20年なので、生涯で約6000万円受け取れる計算です。
そして、仮に70歳で受け取り始めると、300万円に42%が加算され、年間で426万円受け取れます。
70歳男性の平均余命は約16年ですので、生涯では約6816万円受け取れます。
このように、平均余命で見ると65歳よりも70歳から受け取り始めたほうが、生涯で受け取れる年金は多くなる見込みとなります。
繰下げ受給のほうが生涯受け取る年金額が多い傾向にあるのは、決して間違いではありませんが、年金の受給開始時期を決める際には、健康寿命についても考えたほうがよいと思われます。
「健康寿命」とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことです。
厚生労働省によると、男性の健康寿命は平均で約72歳です。
健康寿命までにいくら受け取れるのかをシミュレーションしてみましょう。
先ほどの例と同じく、65歳で年金を受け取り始めると年間300万円もらえる男性が60歳から受け取り始めると、300万円から24%が減額され、年間で228万円受け取れます。
健康寿命の72歳までは12年間ありますので、それまでに受け取れる年金額は2736万円です。
同じように計算すると、65歳で受け取ると72歳までに2100万円、70歳で受け取ると72歳までに852万円が受け取れます。
このように、健康寿命で見ると、60歳で繰上げ受給したほうが、65歳、70歳で受け取るよりもトータルで多くの年金額が受け取れることが分かります。
健康なうちに多くの年金を受け取るのがいいのか、健康寿命以降の介護や看護を見越して平均余命を基準として受け取り始める時期を決めるのがいいのかは、個人によって判断に迷うところですね。
また、平均余命も健康寿命もあくまでも平均の数値なので、必ずしも自分に当てはまるとは限りません。
今回は60歳、65歳、70歳という起点で抽出しましたが、その中間の選択肢もあります。
万人に共通するベストな回答はありませんが、いつから年金を受け取り始めるかを検討する際には、平均余命だけでなく、健康寿命も重要な要素だと考えるのが良いでしょう。
まとめ
せっかくこつこつと納めた年金ですから、現状の健康状態や健康診断の結果などから、納めた金額から予想を立てて、年金の総受給額が増えるようにあなたにとってのベストな受給開始年齢を計算してみてはいかがでしょうか。