節約したいと思うものの、なかなかうまくいかないことも多いのではないでしょうか。
家族の総支出のうち、食物のための支出がしめる割合『エンゲル係数』の高低によって生活水準の目安をはかることができます。
今回は、エンゲル係数の計算式で、家族の生活水準を大まかに把握して、係数を上げないように節約するコツと共にご紹介したいと思います。
エンゲル係数とは、家計の消費支出に対し、食費がどれくらいの割合を占めているかを表す数値です。
計算式は以下のようになります。
エンゲル係数(%)= 食費÷消費支出 × 100
消費支出とは、いわゆる住居費、水道・光熱費や食費、学費、遊興費、日用品代など、生活費全体のことです。
但し、貯金や社会保険料、税金などは含めません。
この計算式を使ってエンゲル係数を出してみると、家計の支出に対し食費にお金をかけすぎていないかの目安となり、家計の見直しに繋げることができます。
また、エンゲル係数は生活水準を測るのにも用いられる指標です。
食費は生きるために必須な消費であり、嗜好品などに比べて極端な節約が難しいため、一般的に、エンゲル係数が高いほど生活水準は低い傾向にあることが知られています。
家計全体で食費以外に回すお金の余裕がない=生活水準が低い、となり、自然とエンゲル係数が上昇してしまうのです。
日本においては、経済成長に伴って生活水準が向上すると、社会全体でのエンゲル係数は低下していきます。
日本全体のエンゲル係数は、1980年の29%から徐々に下がっていき、2000年には23%程度になりました。
そこから再び上昇傾向に転じ、2016年には、1980年代後半のレベルにまで逆戻りしました。
これは、生活水準が下がったからではなく、共働き夫婦が増えたことにより時短のためコンビニの弁当での食事や外食が増えたこと、高齢化が進んで年金暮らしをする世帯が増えたことなど、生活スタイルや食生活の変化などが理由と考えられています。
また、食料品の価格が上昇していることに加え、消費税増税が行われたこともエンゲル係数上昇の一因として挙げられます。
このように、エンゲル係数は家計事情だけでなく、社会情勢にも大きく関係しているのです。
総務省が2019年に調査した「年収別の食費平均とエンゲル係数」の表です。
やはり年収が高くなるにつれて、食費は上昇していますがエンゲル係数は低くなるという結果が出ています。
年収が高くなるとエンゲル係数は低くなる傾向は、実際の調査結果をみてもその通りであることが分かります。
この機会に一度ご自分の家庭の年収や総支出を振り返ってみて、食費にかける費用が多すぎていないかを見直してみましょう。
家計の食費を把握しきれていない場合、まずは1ヶ月間にどのくらい食費がかかっているかを計算してみるのがおすすめです。
大まかでも構わないので家計簿をつけてみるとよいでしょう。
スマートフォンで、レシートを撮影すると自動で費用を計算してくれる便利な家計簿アプリもあります。
もし1ヶ月単位での把握が難しければ、1週間だけでも、レシートをとっておき、簡単なメモ書きをしておけば、食費だけでなく自分の消費に対するクセなども見えてくるはずです。
家計の食費を把握してみて、やっぱりもう少し節約したいと思った方は、買い物の仕方に原因があるのかもしれません。
食費が高い家計のタイプとして、2つのパターンがあります。
1.つい買い過ぎてしまうタイプ
「安いからついでにまとめて買っておこう」と、買いすぎてしまうパターンです。
「いつか使うかも」と買ってしまったものの、その「いつか」がくる前に、消費期限や賞味期限が過ぎてしまっていませんか。
食材であれば、結局使わずに捨ててしまうことになりかねません。
日用品も、「いつか使う」と大量にストックしたことを忘れてまた買ってしまった…を繰り返す方もいるかもしれません。
安いときにまとめ買いをすること自体は悪くありませんが、まとめ買いのルールを決めておくことが大切です。
2.献立の融通が利かないタイプ
事前に献立を組んだ上で買い物をする方は、一見するとムダのない買い物のように見えます。
しかし、この買い物の仕方にも実は落とし穴があります。
献立をきっちり決めすぎてしまうことで、割高になっている食材でも買わなければならず、結果として食費がふくらんでしまうのです。
全てを決めてしまわず、いくつかメニューの候補を考えて、臨機応変に組み替えるるようにしておくと、食費を自然と減らせるでしょう。
食費が高く、「まとめ買いが多い」「献立を決めすぎる」のいずれかに当てはまる場合に、ぜひ実践していただきたいのが、次にご紹介する5つの節約法です。
<食費を節約する5つのコツ>
1.まとめ買いのルールを決める
2.買い物の回数を減らす
3.使う金額をあらかじめ決めておく
4.ゆとり献立を実践する
5.献立の固定概念に縛られない
1.まとめ買いのルールを決める
安いときに買っておくと節約にも繋がりますし、お得感もあります。
しかし、何でも安いからと買ってしまうと使い切れないストックばかりが増えてしまい、結果的に、よい買い物の仕方にはつながりません。
ついまとめ買いをしてしまうクセのある方は、自分でルールを決めましょう。
例えば、
お菓子などの嗜好品はまとめ買いしない
日用品は普段使っているメーカーが安売りの時のみ買う
などのルールです。
普段使っていないメーカーのものを安さにつられて買ってしまったものの、いざ使ってみると使い勝手が悪かったり満足度の低いものだったりすると、結局お得とは言えません。
また、子どもがいる家庭ではお菓子が家にたくさんある状態が当たり前になっているかもしれません。
嗜好品の買い足しはなるべく最小限にとどめると、家計面だけでなく健康面のスリム化にも繋がります。
2.買い物の回数を減らす
買い物の回数が増えると出費がかさみます。
「これだけ買い足そう」と買い物に出ても、セール品などが目に入るとつい余分なものまで買ってしまい、当然支出も増えることに。
足りないものがあるときは、買い足しに行く前に「他のもので代用ができないか」を検討してみましょう。
例えば、カレー作りに、じゃがいもがないとき。
じゃがいもの代わりに同じ芋類の里芋や山芋で代用したり、家にある他の野菜を足してみたり。
カレーの固定観念に縛られずに他の手段を考えることで、新たなレシピを発見するヒントになるかもしれません。
3.買い物の金額を決めておく
食費を節約したいときに「あらかじめ予算を立てる」のはとても重要なことです。
ただ月の初めに「今月の食費は○○円」と決めるだけでは、節約にはなかなかつながりません。
なぜなら月の後半頃になってくると、いくら使ったかの管理や把握がしづらくなり、なし崩しになってしまうからです。
そうならないために、まずは1週間単位で食材に使う金額を決めましょう。
1週間の予算の範囲内で買い物をしていると、自然と「買う」「買わない」の取捨選択ができ、やりくりがしやすくなっていきます。
4.ゆとり献立を実践する
献立に合わせて食材をリストアップしてから買い物をされる方も多いと思います。
例えば、1週間分の献立を決めてから食材をリストアップしているのであれば、少し視点を変えるだけで節約につながりますよ。
献立に沿った食材を買う場合、絶対に買わなければならないものが出てきます。
さらに、献立通りに買って調理しても、全部を使い切れずに中途半端に余ってしまい、結局使わずに捨ててしまうこともあるかもしれません。
買い物前に1週間分の献立をガチガチに決めるのではなく、大まかにとどめておくのがおすすめです。
スーパーで買い物をしていると、お買い得品に巡り合うことがあります。
比較的旬の食材は値段も安く、栄養価が高いことが多いです。
それらの食材を予算内でうまく買い足して、買ったものの中で献立を組立てていくと、「賢い買い物」「賢い献立」につながります。
さらに食材が少なくなっても、お給料日前などには買い足しには出かけずに、家にあるストック食材だけでできる献立を考えてみて下さい。
家にある食材だけをフル活用する中で、いいアイデアが浮かんだり、新たなレシピを思いついたりすることもあるかもしれません。
5.献立の固定概念に縛られない
献立を立てるとき、肉や魚を献立のメインにすることが多いと思います。
「今日はお肉だから明日は魚にしよう」とか「一週間のうち月水金日はお肉、火木土は魚」など、肉と魚を中心にメインの献立のバランスを考えるのではないでしょうか。
メインの献立は、肉と魚でないといけないというルールはありません。
献立のメインは、主にからだのもとになる「たんぱく質」です。
肉と魚では食費がかさみがちになりますし、たまには肉も魚もない日があってもよいのではないでしょうか。
大豆製品やたまごなどでも良質なたんぱく質を補えますし、メインのメニューに取り入れると、おいしくて栄養のある献立を立てながら節約できます。
まとめ
家にある食材でやりくりしていると、自然に新しいレシピの発見や、お財布にも身体にも嬉しい節約が実現するはずです。
そして一番大切なことは、楽しみながらストレスなく食費節約を継続することです。
今回ご紹介した中で試してみたいと思われた方法を、楽しみながら実践していってください。