しかし、親への仕送り金のために自分たちの生活が苦しくなる場合には、まずは親の家計の収支を確認し、財産で現金に換えられる資産がないかを確認することが必要です。
今回は、親が年金生活に入る前に、確認しておきたいことやいざというときに利用できる制度などをご紹介したいと思います。
家計の状況を子に話さない親もいると思いますが、援助してほしいと相談されたら、親の家計の状況を把握できていないから、現時点では援助が必要なのかどうか判断ができないと伝えることです。
そして、改めて親の家計状況を教えてもらうことからスタートしましょう。
親は、貯金が0円と言っているが、財産は0円なのか、を知ることが大切です。
貯金が0円というのは、通常使用している銀行口座の残高が0円であることが多く、すぐに使えるお金が足りないことを表すことが多いのです。
今すぐに現金化するのは難しいものの、保険商品、金融商品、貴金属や骨とう品、不動産などを保有していないか、親と一緒に確認します。
そして、貯金が0円でも満期が近い貯蓄型の年金保険を保有していると分かれば、保険が満期になるまでの期間、援助がなくても生活維持が可能なのか、または、今すぐ解約して現金が必要なのかを知ることで仕送りが必要か否かの参考になります。
また、親が所有する自宅に住んでいる場合には、家と土地などの不動産を保有しているので、不動産を売却して現金化できないか、不動産を担保として現金を借りられないかということも考えることができます。
公的年金を納めてきた場合は、たとえ現状の貯金が0円でも年金が受給できますし、60歳を過ぎても働ける健康状態である場合は、就労して収入を得ることができます。
アルバイトなどで得られる収入と受給できる年金額と合算して収入がいくらになるのかを把握することも大切です。
そして、収入がいくらになるかと同じように支出する額も把握します。
退職後は退職前より収入が減る家庭が多くなりますが、退職後も退職前と同様に食事や旅行や趣味などにお金を使ってしまい、結果的に貯蓄ができない家計になっていることもあるからです。
このように親の収入と支出額を把握し、アルバイトなどで収入を増やせないか、生活を見直して支出を減らせないかということを親子で一緒に考えて、親世帯の収支がマイナスにならない生活になるように子どもが支援していくことになります。
親が65歳以上の老齢基礎年金の受給者であり、同一世帯の全員が市町村民税非課税である場合には、「年金生活者支援給付金」を受け取ることができます。
年金生活者支援給付金は、前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が88万1200円以下であることなどの要件がありますが、令和4年度において所得額が前年より低下したことなどにより、新たに年金生活者支援給付金の支給対象となる方には、毎年9月頃から順次、日本年金機構から簡易な年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が送られます。
受け取れる金額は月額5020円を基準に、保険料納付済期間等に応じて算出され、以下の(1)と(2)の合計額となります。
(1)保険料納付済期間に基づく額(月額)=5020円×保険料納付済期間/被保険者月数480月
(2)保険料免除期間に基づく額(月額)=1万802円×保険料免除期間/被保険者月数480月
被保険者月数480月のうち納付済月数が480ヶ月、全額免除月数が0ヶ月の場合
(1)5020円×480/480月=5020円
(2)1万802円×0/480月=0円 合計5020円(月額)
受給要件や受給金額など、詳しくは年金生活者支援給付金制度の給付金専用ダイヤルで確認できます。
原則、手続きした翌月分からが支給の対象となるため、請求書が届きましたら、速やかに手続きを行いましょう。
子どもが親へ支援するのは大切なことではありますが、親のために無理をして、自分たちの生活が苦しくなってしまっては、元も子もありません。
まずは、親の資産状況や収支状況や年金生活者支援給付金制度が利用できるかなどを確認してから、どのくらい支援をするかを家族で決めるとよいでしょう。
まとめ
貯蓄額だけでなく、財産的な保険、骨董美術品の存在などを確認して、年金プラスαでこれからの生活設計を一緒に立てたうえで、子からいくら援助するのかを決める必要があります。