会社への不満や家族の介護といったマイナス要因による離職や休職だけでなく、スキルアップや新しいチャレンジのため、あえて一定期間「無職」という生き方を選ぶ「キャリアブレイク」という考え方が広がっています。
今回は、キャリアブレイクになった方の一般的な感情の移り変わりを例に、たとえ長年同じ環境下でキャリアを歩み続けてきたアラフォーのサラリーマンでも、決して一時的に離職期間を設けるのはマイナスなことばかりではないことをご紹介したいと思います。
キャリアブレイク研究所の離職・休職理由の調査では、「心身の不調」など切迫した理由がある一方、自分磨きに無職期間中の時間を費やすなどポジティブな理由も目立ちます。
最多は「心身の不調」ですが、比較的ポジティブな目的も多いことがわかります。
しかし、20代30代とは違って、長年勤めた会社を40代以降で離職するには高いハードルがあることは想像に難くありません。
特に男性は、ライフステージが進むにつれてキャリアがバラけていく女性とは違い、横並びで同期などと比較されやすく、離職・休職に強い抵抗感があります。
しかし、だからこそ前向きなキャリア形成の手段として、一度立ち止まって自分を見つめ直すという意味で、数か月単位の休みを取ることは次のステップにつながりやすいです。
では、長期の離職は本人にどのような影響を及ぼすのでしょう。
無職期間における気持ちは「解放期→虚無期→実は期→現実期→接続期」の5段階で推移していくと言われています。
なかでも虚無期をいかに乗り越えるかがキャリア形成の成否を分けるポイントになります。
キャリアブレイク中は気持ちの浮き沈みに神経が疲弊する人も少なくありません。
その推移から、より自分らしいキャリア形成に至る過程がうかがえます。
会社から離れて表面的な欲求をひと通り満たすと、焦りや虚無感が高まっていきます。
特に男性は周囲から心配されて、どうしても精神的に落ち込みやすくなるのです。
離職期間を有意義に過ごすには、家族の理解はもちろん、共感し合える仲間づくりも大切です。
キャリアブレイク研究所が主催して、孤独や不安を感じやすい離職・休職の期間中の人達がつながりやすい環境を作る目的で、各地で開催される無職酒場(無職の人は飲食無料)や離職中の人が集まる 「おかゆホテル」 を運営しています。
短期的に年収アップを実現する人は少数派ですが、長期的な視点で見ると実際に離職・休職期間がキャリア形成に好影響を及ぼすケースはいくつもあります。
結果的に同じ会社に復職する場合でも、離職・休職を経て、働きがいを取り戻す人は少なくありません。
副業を始めたり、家族との関係が変化したりして、次第に“幸せの重心”が会社から離れて、年収などの待遇面の数字には表れない、幸福感などにつながっていく人も多いのです。
欧米では離職がかなり浸透しているようですが、日本でも働き盛りの離職はキャリア形成の充電期間として、今後広まっていくのでしょうか。
キャリア開発の領域で、キャリア自律や主体的なキャリア形成の考え方は世界的なトレンドです。
従来の現場の仕事を通じて知識や技術を体得する育成法であるOJT(On-the-Job Training)型では、社員の人材的な価値を維持し続けることが難しい時代になってきています。
履歴書の空白期間を新たな飛躍に必要な時間として、ポジティブに捉え直すという意識改革が個人にも求められているのかもしれません。
社会の変化や自分の意思に応じて自由にキャリア形成していく力を問う「プロティアン診断」。
下記の15個の質問に回答することで自分がプロティアンな人材かどうかを診断してくれます。
1.毎日、新聞を読む
2.月に2冊以上、本を読む
3.外国語の勉強などスキルアップのために学習を続けている
4.テクノロジーの変化に関心がある
5.国内の社会変化に関心がある
6.海外の社会変化に興味がある
7.仕事に限らず、新しいことに挑戦している
8.現状の問題から目を背けない
9.問題に直面すると、解決するために行動する
10.決めたことを計画的に実行する
11.何事も途中で投げ出さず、やり抜く
12.日ごろ、複数のプロジェクトに関わっている
13.定期的に参加する(社外)コミュニティが複数ある
14.健康意識が高く、定期的に運動している
15.生活の質を高め、心の幸福を感じさせてくれる友人がいる