夫婦二人の場合でも、一人暮らしの場合でも、自分がこの先生きていくのにいくらくらいかかるのかは嫌でも気になるものです。
今回は、老後に必要な生活費について厳しく見ていきたいと思います。
老後資金がどの程度必要かは、誰もが関心のあるところでしょう。
しかし、残念ながら公的年金や退職金、預貯金などの額、持ち家のあるなし、さらには家族の健康状態の違いによって、明確にこのくらいとは言えないのが実情です。
さらに今後は長寿化もますます進む予測で、生活資金をはたしてどの程度見込む必要があるかもよく考える必要があります。
では、そのようなつかみどころのない老後資金はどう準備すべきでしょうか。
総務省統計局では、毎年「家計調査年報(家計収支編)」(二人以上の世帯のうち高齢無職世帯の消費支出)を調査していますが、世帯主が65歳以上の夫婦世帯における毎月の支出(税金・社会保険料含む)-収入は、ここ10年間は赤字額が3万~6万円台で推移しています。
調査する年によって平均額に幅はあるものの、老後が身近になってきた50代の夫婦にとっては、毎月3万~6万円の赤字になる生活が迫ってきているという現実味のある金額ではないでしょうか。
もしも世帯収入が基本的に公的年金だけの場合、毎月の不足分は貯蓄等で補わなければなりません。
その額を仮に月5万円とし、老後生活を30年間とすれば、計1,800万円が必要となります。
つまり、必要最小限の老後資金として、これだけの金額を用意する必要があるということです。
自営業等の国民年金加入者はさらなる上乗せが必要になります。
これは個々人の生活水準を考慮していないので、家庭によっては介護費や医療費など平均以上に必要になるケースもあります。
老後資金は予備費も考慮して2,500万円程度を一つの目安として必要金額のベースと捉えるとよいと思いますが、これに加えて自らの生活水準や家族構成などを意識しながら各家庭に適した老後資金を検討する必要があります。
平均的な夫婦二人世代では、一ヶ月あたりの出費は30万8700円とされています。
内訳は、
食料費:8万700円
光熱・水道費:2万5000円
教養娯楽費:2万3600円
交通・通信費:5万8100円
住居費:2万0900円
保健医療費:1万5500円
家具・家事用品費:1万3200円
被服及び履物費:8600円
これらの細かい部類にわけられないようなその他の出費の総額も6万5800円となっており、余裕をもって生活するには最低でも30万円前後の金額が必要となります。
賃貸住宅に住んでいたり、設備の維持管理にお金がかかるのなら、さらに高額な金額が必要になります。
単身世帯の場合、1ヶ月あたりの消費出費は14万3139円とされています。
内訳は、
食料費:3万7485円
光熱・水道費:1万4704円
教養娯楽費:1万4473円
交通・通信費:1万4625円
住居費:1万2746円
保健医療費:8128円
家具・家事用品費:5956円
被服及び履物費:3150円
その他(うち交際費):3万1872円(1万7893円)
単身世帯であれば、約16万円程度あれば生活ができると言えます。
年金生活でも余裕を持って生活するには、厚生労働省が提唱している1ヶ月あたりに必要な生活費に加え、ある程度多めに用意しておかなければなりません。
余裕のある老後の生活を考えているのなら、仕事をしている内からいろいろな工夫が必要になります。
例えば、老後の生活をを見こして、仕事をしている内からある程度お金を貯めておくとよいでしょう。
厚生労働省が提唱している必要な生活費と、実際に自分が生活していて出ていく生活費を比較して、無駄な部分があれば早い内から解消していくようにします。
余裕をもって貯金をしつつ、生活費で無駄な出費がないように抑えられれば、年金だけの生活になってもある程度余裕をもって生活できます。
また、自分の財産で売却できるものがあるのなら、そうした物を売ってお金に替えてしまうのもおすすめです。
ブランドバッグや時計、土地など、自分がもっている資産をお金にすることで、余裕のある生活が送れます。
必要なくなったものでも手放すのには抵抗がある、という方もいますが、物が増えすぎて困ってしまっている場合には有効です。
もう使っていない、早く処理をしたいと考えている家具、家電も同様の方法がとれますので、部屋を片付けながら生活費を用意したいという方におすすめです。
まとめ
「うちはこんなに毎月使わないよ」という方もおられるでしょうが、ある程度余裕をもってためておけば、不慮の事故や突然の病気などにも対応できますので、年金を受給する前からある程度準備をしておくのが賢明です。
実際にどれくらいかかるのか、今後の自分のライフプランの計算を今のうちに一度しておくのもよいかもしれません。