また、兄弟・姉妹がいる場合は、親の介護をめぐってトラブルが起こることもあります。
もしものときのために、介護の知識をしっかり身につけておけば、あらかじめ問題を避けることもできるので、そういった備えは親が元気な時にぜひしておきたいものです。
今回は親の介護に直面したときに、知っておくとよい知識をご紹介します。
「自分の親は元気だから、介護はまだまだ先のこと」と思っていても、親が倒れたり事故に遭ったりしていきなり介護が始まってしまうことは、誰にでもあり得ます。
そのようなときは、なにがより良い選択なのかを冷静に判断ができなくなりやすいものです。
介護が急に始まったときにトラブルにならないために、気をつけたいことがあります。
親と同居している方にありがちなのは、仕事と介護の両立が難しいからといってすぐに仕事を辞めようとすることです。
「仕事と介護の両立が難しいから」「大切な親のためにできるだけのことをしたいから」といった理由で、すぐに仕事を辞めようとするのはおすすめできません。
親自身が介護に使える十分な貯蓄があるならいざ知らず、介護者にとって安定した収入が途切れてしまうと、利用できる介護サービスが限られることもでてきます。
また、介護の負担により「介護うつ」などになるケースもあります。
そして介護が終わったあと、いまと同じような仕事に再度就けるとも限らないのです。
すぐに仕事を辞めるという選択をするのではなく、介護休暇や介護休業などの制度がないかを確認したり、デイサービスなどの介護サービスを使いながら仕事を続けられないか考え、退職はやむ負えない最終手段としておいてください。
急に介護が始まり、親のお金がどのように管理されているのかわからないからといって、介護費用を立て替え続けるのはよくありません。
介護を始めた時は問題なくても、介護期間が長期になれば、自分の生活を圧迫する可能性があるからです。
そのまま自分の老後に影響が出ることもありえます。
親の介護費用は、できるだけ親の貯金や年金から払うのがよいと思われます。
そのためには介護が始まる前に、あらかじめ親のお金が入っている口座や引き出し方法を把握しておき、いざとなった時にはこの蓄えから費用を支払っていくことを親に理解しておいてもらうのが理想的と言えます。
また、介護が始まったときに把握していなかったとしても焦らずに、できるだけ早めに金融機関などに確認するようにしましょう。
親の貯金や年金から払う場合も、やむを得ず自分が立て替える場合でも、あとでトラブルにならないよう、領収書は必ずもらうようにして「いつ」「何に」「いくら」使ったのか細かく記録しておくことをおすすめします。
親の介護をめぐっては、兄弟・姉妹間でトラブルになることも少なくありません。
親の介護が兄弟・姉妹の断絶のきっかけにならないように、よくあるトラブルのケースを確認して対策を立てることが大切です。
一番多いケースとしては、役割分担をめぐる人間関係のトラブルです。
「仕事が忙しい」「子供に手がかかる」といった都合を兄弟間で主張しあい、介護を押し付け合うトラブルです。
親が70~80代であれば、子どもは50歳前後で働き盛りの方が多いため、子育て中という人も少なくありません。
そうなると介護の分担がなかなか決まらず、最終的には、誰かが割りを食うケースも多いのです。
頼られやすいのは、長男や長男の嫁、同居している人、実家の近くに住んでいる人、独身者などです。
兄弟・姉妹の中で誰か一人の負担が極端に大きくなってしまうとトラブルに発展しかねないので、そうならないために、役割分担についても話し合うべきでしょう。
協力して親の介護をする場合、メインで介護をする「主介護者」や、介護サービス事業者と打ち合わせや契約手続きをする「キーパーソン」を決めますが、任された人の負担はどうしても大きくなります。
他の兄弟・姉妹は、「週末だけ手伝う」「遠方に住んでいる人は資金援助をする」「親に定期的に電話する」などの役割を決めて、主介護者やキーパーソンの負担を減らすように取り決めておくと少しは主介護者の安心にもつながるでしょう。
まとめ
しかし遠方に住んでいるなどの理由で、介護を十分にできないこともあります。
そんな方でもさまざまな形で介護を主要介護者のサポートをする子はできるので、自分に何ができるのかを親の元気なうちに確認しておくとよいでしょう。