こういった癖がなおらないまま、不平不満を年がら年中口にしていると、厄介な性格になりかねません。
人生のすべての分野で感謝をささげる態度をとることで多大な恩恵に浴することができるのです」とは、カナダ出身で岡山県在住の著述家、スコット・アランさん。
今回は、スコット・アラン著書 『GRATITUDE 毎日を好転させる感謝の習慣』 より、感謝によって人生を好転させる秘訣をご紹介します。
『私は感謝の心を持ち、人生に満足している。感謝の心は神聖な感情だ。それは喜びをもたらし、とても温かい気持ちにしてくれる』
シャーロット・ブロンテ(イギリスの小説家)
どんなに厳しい現実に直面しようと、感謝の心を持っているなら、見落としがちな恩恵に気づくことができます。
たとえ物事がうまくいかないときでも、感謝の心を持っているかぎり、困難の中に希望を見いだして、人生の素晴らしさを忘れないようにポジティブな姿勢を維持することができるのです。
足るを知る
持っているものに気づき、それに感謝することは、満足感や充足感をもたらします。
きっとふだん多くの恩恵を受けていることに幸せを感じるでしょう。
たとえば、豪邸に住んでいないことを不満に思うのではなく、家に屋根がついているおかげで雨風を防げることに感謝する心を持つと、強欲を抑えることができ、むやみにもっとほしがる気持ちがなくなります。
共感力と寛容の精神を養う
感謝の心を持つことによって、もっとほしがる気持ちがなくなると、人生全般に対する満足度が高まり、自分の利益だけを考えるのではなく、他人の苦しみに共感することができます。
その結果、他人に思いやりを持ち、ふだん受けている恩恵を共有したくなります。
自分が十分に恵まれていることに気づくと、心を開いて寛容の精神を養うことができます。
あなたは「相手を気づかって広い心で分かち合う」ことを信条として行動し、困っている人たちに救いの手を差し伸べる慈悲深い人になるのです。
自信を生み出す
他人に思いやりを持って救いの手を差し伸べ、相手の顔に笑みが浮かぶのを見ると、自分の人間性に自信が持てるようになります。
また、たえず不平不満を言う癖から解放されると、人生のより重要な課題に意識を向けることができるようになるので生産性が高まります。
その結果、課題を素早く仕上げることができるようになり、ますます自信がわいてくるのです。
楽観主義と粘り強さを育てる
感謝の心とネガティブな感情を同時に持つことはほぼ不可能です。
感謝の心をはぐくむと、喜びや希望などのポジティブな感情を持つことができます。
その結果、どんな状況でもネガティブな要素を排除し、ポジティブな要素を追求するようになります。
逆境に見舞われてもポジティブな要素を追求すると、「いずれ状況が好転し、よりよい時期が来る」と確信することができます。
その結果、あなたは粘り強さを発揮することができ、楽観的な姿勢で努力を重ねるようになります。
ある研究によると、感謝の日記をつけるとポジティブな姿勢が5%アップするのだとか。
また、別の研究によると、感謝の日記をつけると楽観主義が15%アップすると指摘されています。
安心感をもたらす
持っているものに感謝すると、人生の素晴らしさに気づき、今後もよいものに恵まれると確信することができます。
その結果、世の中が自分に味方してくれていると感じ、安心を得ることができるのです。
愛と幸せをはぐくむ
心の中が温かい愛であふれると、すべての人と喜びを分かち合いたくなります。
私たちが人生で抱える問題の大半は、身の回りのものに不平を言う癖から始まり、やがてそれは愛する人たちに対する冷淡な態度につながっていくのです。
不平を言う癖を直して感謝の心を持つ習慣を身につけると、愛する人たちにより親切になり、より辛抱強く接することができ、壊れかけた関係を修復するのに役立ちます。
愛する人たちに囲まれて仲よく暮らせば、満ち足りた思いで幸せな人生を送ることができるのです。
結婚生活の危機を防ぐ
ありがちなことですが、愛情が冷めると結婚生活がうまくいかなくなります。
その結果、お互いに不平不満を言い合うようになり、相手の長所に気づかなくなるのです。
心理学で「ロサダ比」というのがあります。
「感謝と不平の比率」のことで、2005年に心理学者のマーシャル・ロサダ博士とバーバラ・フレデリクソン博士によって発表され、大きな反響を呼びました。
「ロサダ比」の計算方法は、夫婦間におけるふだんのやり取りの中で、感謝や激励、支援などのポジティブな感情の数を、皮肉や嘲笑、非難などのネガティブな感情の数で割ります。
ロサダ比を数多くの研究が検証した結果、この比率が0.9以下なら、ネガティブな感情がポジティブな感情より多く支配されているため、結婚生活は破綻に向かいやすく、場合によっては離婚にいたると指摘されています。
一方、この比率が5.1以上なら、結婚生活はすこぶる順調で、とても満足のいく関係を築くことができます。
もし配偶者と何らかの問題を抱えているなら、毎日、相手に感謝の気持ちを伝え、結婚生活の喜びを分かち合う習慣を身につけましょう。
感謝の心をはぐくめば、結婚生活は円満で長続きします。
感謝の心は、人生をあるがままに受け入れるのに役立ちます。
そのためには、拝金主義から抜け出すことも必要です。
拝金主義は精神に悪影響をおよぼし、幸福感を破壊するおそれがあります。
もちろん、より多くほしがり、より多く持つこと自体は間違ってはいません。
しかし、それが行き過ぎて拝金主義に陥ると、強欲を助長するおそれがあります。
その結果、持っていないものに意識を向け、たえず他人と比較し、人生で経験する無数の小さな喜びに感謝しなくなってしまいます。
そうすると、自分さえ得をすればいいという利己的な性格になりやすくなります。
多くの研究で、資産を増やそうとしてやっきになると、別の多大な犠牲を払うはめになります。
家族や友人と過ごす時間が減るので、人生全般に対する満足度が低下すると指摘されています。
さらに、拝金主義に陥ると、自分にとって本当に大切な目標を達成するのではなく、単にお金をたくさん得ることが目標なってしまいます。
この傾向は幸せを台無しにし、人生の質を落とすことにつながります。
一方、感謝の心をはぐくむと満ち足りた気分になるから、拝金主義を防ぐことができ、資産が増えるかどうかをたえず心配せずにすみます。
たいていの場合、宗教の指導者は感謝の心を重要な美徳として称賛します。
なぜなら感謝の心は平和で崇高な気持ちにさせてくれるからです。
また、感謝の心をはぐくむことは、あらゆる苦悩を乗り越えて、人生をあるがままに受け入れるのに役立ちます。
過去についていつまでもくよくよ悩まず、すでに終わったこととして受け入れましょう。
まだ来ない未来について不安になることなく、何が起ころうと感情的にならずに受け入れましょう。
そうすれば、後悔や不安によるストレスからはさっぱりと解放されます。
ストレスから解放されると、前向きな姿勢になり、生産性が高まり、人生のすべての分野でより大きな成果が上がります。
感謝の心を持つと、不平を言わずに改善に向けて集中することができます。
その結果、時間と労力を最大限に活用し、人生をより有意義なものにすることができるのです。
『感謝の心は他者に対する寛容の精神を培い、健全な社交性をはぐくむ』
アントニオ・ダマシオ(ポルトガル生まれのアメリカの神経科学者)
まとめ
「0.9以下なら関係は破綻に向かう」
「5.1以上なら幸せで満足のいく関係を築けている」
さて、あなたのパートナーに対する「感謝の数÷不平の数」はいくつでしょうか。
『GRATITUDE 毎日を好転させる感謝の習慣』