必要なものを買いそろえる必要はなく、むしろこれらはレンタルするのがおすすめです。
今回は、介護用品のレンタルについて、そのメリットやレンタルの対象となるものなどについてご紹介します。
介護が始まると手すりや車いす、介護用のベッドなどさまざまなものが必要になります。
介護用品や福祉用具は、何もかもを購入する必要はなく、介護保険サービスが適用されるものがあり、所得により1~3割負担でレンタルするという方法があります。
購入するより、レンタルのほうが、ご本人の体の状態や介護する人の変化や介護環境の変化に合わせて見直すことができるので、常に今一番必要な福祉用具を使い続けることができます。
介護が必要になった高齢者の体調は変化しやすく、使い始めた車いすが1か月後には合わなくなってしまうといったことも起きる可能性があります。
今の体の状態に合わせていつでも変更や返却が可能なことが、レンタルの最大のメリットです。
2.お試しができる
利用する物にもよりますが、レンタル料金が発生する前に1週間ほどのお試し期間が設けられていることもあります。
実際に使ってみて体に合えばレンタルを継続するといいですし、合わなければ、ほかのものを提案してもらうことができます。
3.福祉用具専門相談員が定期的にチェックしてくれる
介護保険対応の福祉用具をレンタルすると、福祉用具専門相談員が介護の必要な方と介護する人、環境に合ったものを選定します。
自立支援や介助者の負担軽減のために、今の状態に合うベストな福祉用具を提案してくれるので安心です。
福祉用具をレンタルするメリットは、なんといっても利用料が安く抑えられることです。
また、故意による破損など以外は、基本的に故障などの修理費もかからず、商品の交換などにも対応してもらえるのもメリットです。
たとえば、歩行器なら購入する場合は、4万円を超えるものもありますが、レンタルなら介護保険適用の福祉用具の一般的な月額レンタル料として、1割負担の場合は、歩行器や手すりは300円、ベッドは1000~2000円、車いすは500円~2000円くらいが相場なので、レンタルのほうがお得です。
まずは、介護にどんなものが必要になるのか、確認してみましょう。
そのなかでそれぞれ、介護保険サービスを使ってレンタルできるもの、介護保険サービスを使って購入できるもの、介護保険が適用されないものを仕分けてみます。
・歩行器 → レンタル可
・手すり → レンタル可
・ケアシューズ(介護用の室内履き) → 介護保険適用外
・スロープ → レンタル可
・立ち上がり電動リフト座いす → レンタル可
・徘徊センサー・見守りカメラ → レンタル可(地域による)
【寝室】
・ベッド横手すり → レンタル可
・介護用ベッド → レンタル可
・エアマット(床ずれ防止用の寝具) → レンタル可
・移乗用リフト → レンタル可
・介護用のシーツ → 介護保険適用外
【浴室】
・入浴用手すり → 購入のみ(介護保険適用)
・シャワーチェア → 購入のみ(介護保険適用)
・浴槽内椅子 → 購入のみ(介護保険適用)
・シャワーキャリー → 購入のみ(介護保険適用)
・バスボード → 購入のみ(介護保険適用)
・入浴用リフト → レンタル可
【食事】
・食器(スプーン・フォーク・お皿など) → 介護保険適用外
・介護食品 → 介護保険適用外
・食事用エプロン → 介護保険適用外
【衣類】
・介護用の肌着や衣類 → 介護保険適用外
・介護用のパジャマなど → 介護保険適用外
【排泄・トイレ】
・ポータブルトイレ → 購入のみ(介護保険適用)
・尿器 → 介護保険適用外
・おむつ → 介護保険適用外
・トイレ用手すり → レンタル可
・自動処理尿器 → 一部購入(本体はレンタル可)
・トイレキャリー → 購入のみ(介護保険適用)
【外出時】
・歩行器 → レンタル可
・ケアシューズ(介護用の靴) → 介護保険適用外
・シルバーカー → 介護保険適用外
・杖(多点杖のみ)→ レンタル可
・車いす → レンタル可
・電動車いす → レンタル可
・姿勢保持クッション → レンタル可
・電動カート → レンタル可
・玄関用リフト → レンタル可
上記の介護に必要となるものの中で、レンタル対象になるものは以下の13種類です。
2.姿勢保持クッション…車いすに使用する付属品。
3.特殊寝台…介護用ベッド、転落防止のためのレールや電動機能がついているもの。
4.特殊寝台付属品…介護用ベッドに利用するマットレスやサイドレールなど。
5.床ずれ防止用具…介護用ベッドで利用するエアマットなど。
6.体位変換器…エアマットの下に入れて体の位置を変えやすくするもの。
7.手すり…設置工事が不要のものに限る。
8.スロープ…設置工事が不要のものに限る。
9.歩行器…車輪つき、四点の脚で支えるものなどがある。
10.歩行補助杖…松葉杖や多点杖。1点杖は含まれない。
11.認知症老人徘徊感知器…センサーで徘徊を知らせる機器、見守りカメラなど。地域によりレンタル対象にならない場合も。
12.移動用リフト…住宅改修が不要のもの(つり具部分を除く)。
13.自動排泄処理装置…排泄物を自動で吸引できる機器。交換可能な部品を除く。
なお、レンタルできる商品は、介護度によって適用範囲が変わる点に注意が必要です。
介護度認定が変わったときは、利用できる介護サービスを確認し直して、使えるものはフルに活用しましょう。
要支援1、2・要介護1…歩行補助杖、手すり、スロープ、歩行器
要介護2、3…上記に加え、介護用ベッド、車いす、車いす付属品、移動用リフト、体位変換器、床ずれ防止用具、徘徊感知器。
要介護4、5…上記すべてに加え、自動排泄処理装置が加わる。
排泄や入浴に利用する道具は、レンタル品の対象にならないものが多く、購入のみとなりますが、介護保険を使って購入することができます。
1.腰掛便座…ポータブルトイレ、和式便座にかぶせて洋式便座にする便座なども含まれる。
2.自動排泄処理装置の交換可能部品※
※直接肌に触れるレシーバー部分や、チューブ、タンク等、尿や便の経路となる部品。レシーバーには男性用と女性用がある。レシーバーにつながる自動排泄処理装置本体は、介護保険でのレンタル対象。
3.入浴補助用具…シャワーチェア、浴槽用手すり、浴槽内いす、バスボード、浴室内すのこ、浴槽内すのこ、入浴用介助ベルトなど。
4.簡易浴槽…空気式や折りたたみ式など移動でき、取り付けや排水の工事が必要ないもの。
5.移動用リフトのつり具の部分…移動用リフトに連結するもの。
以下のものは、介護保険の適用にならないため、これらは全額自費となります。
・介護シューズ(ケアシューズ)
・尿器
・おむつ
・1本杖
・食器(スプーン、フォーク、お皿など)
・介護食品
・介護用の肌着や衣類、パジャマなど
まとめ
最近は、ホームセンターや百貨店などでも介護用品が扱われているので、足を運んで相談してみるのもいいでしょう。
レンタル代は介護保険が適用されるので、高齢者の安全や安心を買える金額と考えるのならば、決して高くはないと思います。
人それぞれに、購入したいものや、レンタルでいいものなどの見極めも違うでしょうが、在宅介護を無理なく続けていくためにじっくりと選別されることをおすすめします。