しかし、心が通い合う関係になるためには、もちろんそれなりの手順と時間が必要で、まずは勇気を出して一歩踏み出さなければなにも始まりません。
そこで、今回は親しみを感じる相手と距離を縮めるための心理学を応用したテクニックをご紹介します。
「パーソナルスペース」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
パーソナルスペースとは、相手との関係性が薄いほど、自分の体からの物理的な距離が近くなると不快に感じる、という人間の習性です。
目安としては
・0~45cm……「密接距離」
手で相手に触れられる距離、家族や恋人など、ごく親しい相手
・45~120cm……「個体距離」
両方が手を伸ばして指先が触れる距離
・1.2~3.5m……「社会距離」
ビジネスで用いられる距離
・3.5m~7m……「公共距離」
複数の相手が見渡せる距離
と言われています。
個人差はあるものの、この物理的な距離が近くなると親しみを感じやすくなる、ということでもあるのです。
このうちの「密接距離」のスペースに入れる関係になれればいいのですが、いきなり入り込むと拒絶されてしまいかねません。
会うたび少しずつ立ち位置を近付けていくといいかもしれませんね。
また、男性のパーソナルスペースは、体を中心に前後が長い楕円だと言われています。
ですから、真正面に立つよりも、ななめ前から話しかけたほうが、安心感を与えますよ。
人間は、好きな人のしぐさや表情、口調などを、自然に真似してしまうものだそうです。
さらに、自分と同じ行動をする相手に、好意を抱きやすくなるとも言われています。
これは「ミラーリング」というテクニックで、相手が足を組み替えたら自分も、コーヒーを飲んだら自分も……というように、鏡のように行動を真似すると無意識のうちに「この人は味方だ」と認識していくのだそうです。
ミラーリングは、会話の中で大きな役割を果たします。
なかでも、
相手:「綺麗な景色ですね」
自分:「綺麗ですね」
といった感じで、相手の言葉をオウム返しにする“バックトラッキング”は、理解や共感を相手に伝えられるテクニックとして有名です。
しかし、これを上手に使いこなすのは、ちょっと難しいような気もします。
そこで、“ペーシング”というテクニックを併用してみましょう。
ページングとは、相手の口調や口癖、会話のトーンやテンポを真似したり、呼吸の早さを合わせたりするものです。
ページングは会話だけでなく、LINEの返信にも応用できるのです。
相手と似たような言葉づかいや改行のタイミング、よく使う絵文字を真似すると、より親しみをもってもらえます。
また、相手と同じような時間差で返信すると「なんだか波長が合う」と思ってもらえるんだとか。
カウンセリングの現場でも使われているテクニックなので、効果は折り紙付きです。
ただし、あまりやりすぎると気持ち悪がられるので、さりげなく、が基本です。
人は接触した回数や頻度が高いほど、相手に好意を抱きやすいと言われています。
簡単に言うと、週に一度、一時間みっちり話し込むよりも、毎日の欠かさないあいさつや、2~3分程度の世間話をするほうが有効的、ということです。
ですので、できるだけ相手の視界に入る距離にいる、目が合ったら微笑む、あいさつは欠かさない、などのこまめなコンタクトを取り続けることが大切なのです。
ただし、これも程度があります。
不信感を抱かれている相手にはまったくの逆効果なので、しばらく続けてみて避けられるようなら、いったん距離をおいて様子見が必要です。
くどいようですが、あくまでもさりげなく、が基本です。
まとめ
急がば回れという言葉もあるように、まずはできることから一歩踏み出してみてはいかがでしょうか?
どれも簡単に実践できるものばかりなので、試してみてはいかがでしょうか。