身体の変化は自分で気が付くことも多いですが、何の自覚もないまま進んでいるのが、「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」です。
今回は骨粗鬆症の症状や、その原因についてご紹介します。
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は、身体の骨がもろくなって骨折しやすくなる病気です。
身体はほかの細胞と同じように、骨も毎日少しずつ入れ替わっています。
うまく入れ替わるために古い骨を壊し(骨吸収)、壊した分の新しい骨を造らなくてはいけません(骨形成)。
骨の材料となるカルシウムや骨を造るためのホルモンが不足すると、新しい骨がうまく作られず、骨を壊す量の方が多くなってしまいます。
すると、骨はどんどん中身がスカスカになり、もろく弱い骨となってしまうのです。
自分が骨粗鬆症かどうかを知るための自覚症状はありません。
骨がもろくなっても痛みはおろか何の症状も出ないため、気が付かないうちに進行していきます。
骨が極端にもろくなると骨折しやすくなり、気づかないうちにうちに背骨(脊椎骨;せきついこつ)が骨折すると、腰や背中が曲がった特徴的な体型となり、慢性的な痛みが出てきます。
転倒などをきっかけに、椎骨だけではなく大腿骨などの大きな骨が折れることもよくあります。
そのような場合には、折れた個所に激しい痛みが現れるので、高齢者の骨折は寝たきりになる最大の原因となっています。
なぜ骨粗鬆症になってしまうのかというと、骨吸収と骨形成のバランスが崩れてしまうからです。
このバランスが崩れるのは、骨のもととなるカルシウムの不足や骨を造るのに必要な女性ホルモンの不足、遺伝、生活習慣(栄養・運動不足、喫煙、飲酒など)、ある種の病気(糖尿病、ステロイド剤の投与など)が挙げられます。
閉経後の女性は骨粗鬆症になることが多いのですが、これは閉経による女性ホルモンの急激な低下のためだとされています。
骨粗鬆症かどうかを診断するには、レントゲン写真と骨量(骨密度)を測定して行います。
レントゲン写真では、特に椎体や大腿骨などに骨折があるかどうかを確認します。
それ以外の場所に怪我以外の骨折があるかどうかも重要なポイントです。
骨量は、専用の機械を用いて背骨、太ももの付け根、足のかかと、手指の骨密度を測定します。
女性は俗に更年期と呼ばれる40代以降の年齢になったら、定期的に骨密度をはかることをおすすめします。
もしも骨粗鬆症と診断されたら、程度により飲み薬や注射による治療を行います。
骨粗鬆症の薬には、骨の吸収を抑える「骨吸収抑制剤」と骨の形成を助ける「骨形成促進剤」、また骨を造るのを助けるビタミンDなどがあります。
どの薬を使用するかについては、年齢や病気の程度に応じて主治医が判断します。
骨粗鬆症にならないためには、生活習慣が大切です。
若いころからバランスの良い食事を心がけ、骨の材料となるカルシウムはもちろんのこと、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、骨を造るのを助けるビタミンK、リン、マグネシウムとともにタンパク質をしっかり摂りましょう。
喫煙は、胃腸の働きを抑えてしまうのでカルシウムがうまく吸収できなくなります。
またタバコを吸う女性の方は女性ホルモンが減ってしまうといわれています。
今喫煙している方には禁煙をお勧めします。
アルコールは摂りすぎると尿と一緒にカルシウムが体外に出てしまいます。飲酒は適量に抑えましょう。
もうすでに骨粗鬆症と診断されている場合は、これ以上骨がもろくならないように主治医の指示通り飲み薬もしくは注射を行うと良いでしょう。
骨粗鬆症の患者さんは非常に骨がもろく、特にご高齢の方は、ささいな段差やじゅうたんのヘリなどでもすぐに転んで骨が折れてしまいます。
過度に飾りがついた洋服なども、引っかかると転倒やけがの原因になりますので、外出する際には履き物なども含め、安全な格好で出かけましょう。
年を取ると危ないからと外出を控えたり、おっくうになったりしますが、適度な運動も骨を強くするには大切です。
運動をすることで骨に負荷をかけると、骨を造る細胞が活発に働き始め、食事からとったカルシウムが骨の中にとどまりやすくなります。
逆に骨に負荷がかからない状態が続くと、骨の中のカルシウムは溶け出してしまい、骨がもろくなってしまうのです。
お勧めしたいのが、短時間(30分~1時間程度)の日光浴です。
ビタミンDは、日光に当たると体の中でも作られます。
現代の女性は日焼けやシミなどを恐れて日に当たらないようにしている方も多いですが、骨の健康のためにはいいことではないのです。
まとめ
てっきりぎっくり腰だと思って診察を受けたら、まさかの骨折。
今は注射療法を1か月に1度受けています。
自覚がないからこそ、骨粗鬆症という病気を普段から意識して快適な生活を送りたいものです。