よかれと思って接しているのに、なぜかギクシャクした関係になってしまう…。
そう悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
実はあなたの自分の見せ方が原因のひとつとなって、人間関係がうまくいかない可能性もあるのです。
今回はその特徴についてご紹介したいと思います。
人間関係で悩んでいるという相談は、あらゆるところにあふれています。
かのアドラー博士も「人の悩みはすべて人間関係だ」と言っているくらいですから、人間関係の相談が多いのも当たり前ということかもしれません。
そんな人間関係についてですが、次のキーワードの人物についてあなたはどんな印象を持つでしょうか?
「八方美人」「暴君」「ナルシスト」「優等生」「かまってちゃん」
程度の差はあるかもしれませんが、あまりいい印象は持てないという方が多いのではないでしょうか。
さらに人間関係のトラブルの内容には、決まってこういう人たちが登場します。
実は、この人たちのなかには、人間関係を良好にしようとして、反対に失敗している人たちが少なからずいらっしゃるのです。
この人たちがよかれと思ってやっていることが裏目に出ているわけです。
心理学では、このことを「自己呈示」と言います。
自己呈示の呈示という言葉は「出して示す」という意味があります。
自己呈示は「自分を出し示す」ということになるのですが、いわゆる「ありのままの自分を出す」自己開示とは違い、自己呈示は「つくられた自分を出す」ことです。
人は社会生活を営むうえで、「相手に合わせる」ということを日常的に行っています。
たとえば、相手に「嫌われたくない」と思うと、自分の気持ちを押さえて、相手の都合に合わせようとします。
また「見下されたくない」「優位に立ちたい」と思うと、怒鳴ってみせたり、高圧的になったりもします。
言ってしまえば相手に対して「印象操作」をしているようなものです。
「自己呈示」は、無意識のうちに人間関係を良好に形成するために自然発生するので、なくなることはありません。
むしろ自己呈示がない方が人間関係はややこしくなります。
問題なのは「行き過ぎた自己呈示」なのです。
先ほどの「八方美人」「暴君」「ナルシスト」「優等生」「かまってちゃん」たちといったキーワードは、行き過ぎた自己呈示の結果です。
「八方美人」の人は「人当たりのよさ」が行き過ぎてしまった結果、「八方美人」と印象づけられてしまうのです。
なので自分が「行き過ぎた自己呈示になっていないかどうか」を知ることによって、変に誤解されたり、人間関係がギクシャクしてしまうことを防ぐことができます。
では「自己呈示」にはどういったものがあるのかをご紹介しましょう。
1982年に発表されたジョーンズとピットマンの研究によると、自己呈示には5つの種類があるとされています。
1.取り入り(行き過ぎ→八方美人)
相手に好感を持ってもらいたいときに行われます。行動としては親切にする、同調する、お世辞を言うなど。
2.威嚇(行き過ぎ→暴君)
相手に恐怖を与えたいときに行われます。大声で怒鳴る人とかがそうですね。行動としては、怒る、脅すなど。
3.自己宣伝(行き過ぎ→ナルシスト)
相手に有能だと思ってもらいたいときに行われます。行動としては、自分の能力や実績を話すなど。事細かに説明するので「自慢話」に聞こえたりもします。
4.示範(行き過ぎ→優等生)
相手から尊敬を集めたいときに行われます。行動としては、他人のために自分を犠牲にする、大儀のために行動するなど。
5.哀願(行き過ぎ→かまってちゃん)
相手から「かわいそう、気の毒だ」と言ってもらうために行われます。行動としては、自分を卑下する、援助を懇願するなどがあります。
この5つが行き過ぎると「八方美人」「暴君」「ナルシスト」「優等生」「かまってちゃん」になってしまいます。
行き過ぎた自己呈示は、本来の自分とのギャップが大きければ大きいほど発生します。
もし、人間関係がうまくいかないと感じているなら自分の自己呈示が行き過ぎていないかどうかをチェックし、適切な自己呈示を心がけてみてください。
まとめ
よかれと思ってやっていることが、反対に人間関係をギクシャクさせている原因かもしれません。