しかし、ネット上では「保護した猫はすぐに洗ってはいけない」という情報もあり、ノミやダニがついているかもしれないのにどうしてダメなのか?と考える方も多いようです。
今回は、猫を保護したときに汚れていたら、どうすればよいのか?、といった疑問の声について回答していきたいと思います。
「保護した猫の体が汚れていても、すぐに洗ってはいけない」のは本当なのでしょうか。
猫を保護した場合、その猫の健康状態や体力がわからないため、『すぐに洗う』ことが適さないことがあります。
なぜなら保護された猫の容体への配慮を第一に考えるからです。
保護された猫の健康状態は千差万別です。
実際に保護に至るような猫は、健康状態に何らか問題があることが多いのが実情なので、一見元気そうにしていても、人なれしていないことに由来する興奮状態や緊張状態になりやすいため、しぐさなどから判断が難しい場合があります。
また、見た目には分からない重大なけがを負っている可能性もあります。
温浴してきれいにするとさっぱりして健康的になる猫もいますが、衰弱している猫の場合は、温浴によって体力をさらに消耗する恐れがあるため、一概にすぐ洗うことは推奨されていないのです。
とはいえ、保護してすぐの猫は体が汚れていることも少なくないのですが、もし猫の体が汚れていても、急いできれいにする必要はありません。
というのも本来、猫は屋外で生活している場合であっても、健康であれば適宜毛づくろいをするので、身の回りが極度に汚れた状態で居続ける可能性は低いと思われるからです。
つまり、汚れた状態で保護される場合に考えられるのは、何かしらの病気やけがが存在している可能性が高いということです。
まずは猫の体力の維持が重要であること、そして皮膚や被毛の状態から健康状態を推察する部分もあることから、汚れが気になる場合も軽く拭く程度にとどめましょう。
なお、被毛に水分が多く付着している場合は、若齢の猫であればそこから体温を奪われてしまうため、水分は拭き取ってあげるほうがよいと思います。
保護した猫にノミやダニがついている場合ですが、たかがノミと侮ることはできません。
衰弱した猫にノミやマダニが大量に寄生すると、貧血を助長し、命に関わることがあるからです。
『ノミは洗えば駆除できる』と思う人もいるかもしれませんが、完全には取り除けないことがあるため、きちんと効果の期待できるお薬の使用が望まれます。
一方、マダニはSFTS(重症熱性血小板減少症候群)を媒介する寄生虫で、このSFTSウイルスは猫だけでなくヒトにも感染し、致死率が10~30%にのぼります。
猫はそれよりも高く、60%以上といわれます。
寄生している場合は決して素手で取り除くことはせず、駆除剤を使用して適切に取り除く必要があるので、迅速に動物病院に連れて行きましょう。
保護した猫を、家に連れ帰った時は、動物病院に連れて行く前にその猫の健康状態を速やかに把握することが大切です。
さまざまな事情でどうしても動物病院に連れて行けない場合は、食欲があるかどうかの確認と、気温が低い季節の場合は、保温をすることが推奨されています。
体の保温は、温めたペットボトルやカイロを使うとよいでしょう。
直接皮膚に当たらないように、タオルなどでくるむなどして、低温やけどを起こさないようにしましょう。
食事や飲料で栄養や水分を与えることも必要ですが、人間の食料は避け、猫用ミルクやフードを使用してください。
著しい衰弱状態や痩せた体形であれば、子猫用のフードをはじめとした高栄養のものを選ぶとよいでしょう。
まとめ
例えば、既に家に犬や猫がいる場合は、濃厚接触させるのは控えましょう。
また、環境の急激な変化による心身の緊張状態から、部屋の中を駆け回ったりすることも考えられます。
家にいる犬や猫と触れ合わせたりして、負担をかけてしまうことがないような配慮をしていただきたいです。
まずは、その猫の健康状態を的確に把握することが回復への近道となるので、早めに動物病院に連れて行くよう心掛けてください。
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