基本的に貯金を優先し、投資にお金をまわさない日本人に向けて、政府もいろいろな手で宣伝しています。
そしてまじめな人ほど、完璧を求めすぎたり、大儲けを考えたり、臆病になりすぎたりして、情報には振り回されてしまうものです。
今回は、アナウンサーでファイナンシャルプランナーでもある、やがら純子氏著書『人生を切り拓くマネー術―やがら純子の「お金を増やすサ・シ・ス・セ・ソ」』から柔軟な考え方で、マネーも気持ちもハッピーになるための「サシスセソ」をご紹介します。
★ 上手にお金を増やすためのサシスセソ
サ=財布の紐をしめる
シ=仕事でがんばる
スとセ=少しずつ、積極的に運用する
ソ=相談する
★ まとめ
マネー情報が氾濫していて、うまく利用しようとは思うものの、結果的に振り回されちゃっているのではありませんか?
まじめな人ほど、その傾向が顕著なように思います。
最初から完璧を目指すあまり「投資をするからには、最適なポートフォリオを考えなくては」と構えてしまったり、うまい話にひっかかるまいという思いから「ひたすら節約のみ」と決め込んでしまったり、将来が不安だからと「なにがなんでも投資で儲けないと負け組になるかも!」と冷静さを失ってしまったり…。
お金の節約や貯蓄、投資を適度に組み合わせて、柔軟な方法をとることで、マネープランの改善はもちろん、精神衛生的にも心地よい生活が送れるのではないでしょうか。
そのためのヒントが、「上手にお金を貯めるためのサシスセソ」です。
「調味料はサシスセソの順番で」というのはお料理の基本ですよね。
これにならって「上手にお金を貯めていくためのサシスセソ」をご紹介します。
サ=財布の紐をしめる
まずやるべきことは、「サ=財布の紐をしめる」でしょう。
無駄な支出を減らすことは、家計改善の基本です。
特に効果が大きいのは、「住宅ローンの見直し」です。
のちのちの貯蓄に数百万円の差が出ることもあります。
ただし、住宅ローンを繰り上げ返済しすぎて、教育費が足らなくなり、教育ローンを改めて借りた、などと言うことにはならないようにしてくださいね。
教育ローンのほうが住宅ローンより、金利は高めなのです。
生命保険の見直しも効果は大きいです。
ただ、近頃多い失敗は「保険料を減らそうと契約していた保険を解約しすぎて、遺族の保障が足りなくなった」というもの。
「保険料を減らそう」ではなく、「必要な保障はいくらで、それに合う保険商品はどれか?」という考え方で決めていってくださいね。
▼「サ=財布の紐をしめる」の注意点
主婦向け雑誌などで人気の節約ワザは、楽しくて私も好きですが、「光熱費が年間365円お得になります」といった節約は、マネープランとしてはあまり効果はありません。
それらは「得か損か」ではなく、「環境」のため、あるいは「物を大切にするという心」で行うものではないでしょうか。
得かどうかを考えるなら、次の「シ・ス・セ」のほうが効果的です。
シ=仕事でがんばる
確実にマネープランが改善されるのが、これです。
資格をとって昇給する、ステップアップのための転職など、数年先を見て行動を開始しては?
もう十分頑張っています!という方は、もちろん無理をなさらずに。
専業主婦が働きに出る、定年後の再就職なども、マネープランが大きく改善されます。
毎日働きづめになると思うとイヤになってしまいますが、週に3日・3年間だけ、というふうに区切りを設けると、頑張れるのではないかと思います。
▼「シ=仕事でがんばる」の注意点
仕事を頑張りすぎるあまり、家族団らんの時間が無くなったとか、ストレスで体調を崩してしまった、とはならないようにしてください。
仕事を変えたり始めたりすると、生活スタイルも変わります。
その変化に性格や体力、住環境など様々なことで対応できるかどうかが決まります。
気合だけでは乗り切れない面もありますので、無理はしないように。
スとセ=少しずつ、積極的に運用する
生活スタイルを変えずにマネープランを改善するための方法が、「スとセ=少しずつ、積極的に運用する」です。
節約と仕事でお金が足りているという方は、無理にリスクを背負う必要はありません。
誰もがお金を運用しなければならない、というわけではないのです。
生活に必要なお金や、数年後に使う可能性のあるお金は、元本保証のある預貯金に預け、当面使わないお金の一部を高い利回りが期待できる金融商品で並行して運用し、貯蓄の基盤としてコツコツと定期預金で貯めつつ、同時に投資で効率よく増やしていきましょう。
たとえば、毎月5万円ずつ、積み立て定期預金をしていて
■ケース1:すでに定期預金が150万円くらいある場合は
→今後は、毎月の5万円で投資信託などを積み立てる。
■ケース2:定期預金が現在80万円くらいの場合は
→今後は、2万円を積立定期預金、3万円を投資信託などに。
■ケース3:定期預金が50万円くらいの場合は
→4万円を積立定期預金、1万円を投資信託などに。
▼「スとセ=少しずつ、積極的に運用する」の注意点
せっかく貯めたお金を、減ってしまう可能性もある投資に充てるというのは、心理的に不安なものです。
まずは、今後入ってくるお金で投資をしたほうが、気持ちの上で楽かもしれません。
リスクも高いけれど大きな利益を狙える投資方法を試すなら、自分のお小遣いの範囲で行うのがおすすめです。
これなら失敗の痛みを、家族にまで背負わせる必要がなくなります。
国内外の株式・債券、不動産などにバランスよく分散投資することが大切だとはいいますが、最初から完璧を狙わなくても大丈夫です。
徐々に理想形に近づけるようにもっていきましょう。
ソ=相談する
「ソ=相談する」は、金融機関、ファイナンシャルプランナーなど、専門家の知識をどんどん活用してみることです。
ライフプランに適したマネープランを立てるという堅実な方法を実行するのは、時間や労力がいります。
専門家に頼ることで、知識はもちろん、あれこれ便利なシミュレーションソフトなどを試すことができ、便利です。
それでも、金融機関で相談すると、商品を買わなきゃいけないような気がするので…とためらう人も多いのでしょう。
現在は金融商品取引法が完全施行されており、今までよりも、顧客にわかりやすい表示、説明が必要になっています。
例えばリスクやコストなどについてしっかり説明する義務や、威圧的な販売や顧客が理解していない商品の販売の禁止など、金融商品を取り扱う者の責任が厳しく定められています。
押し付けるような販売はしてはいけない、ということで、金融機関も対応に神経をつかっています。
利用者側としては、相談しやすい環境になっていますよ。
▼「ソ=相談する」の注意点
どんなに詳しく商品内容を説明しても、最後に「で、どれくらい儲かるの?」という質問をする方が時々います。
難しい話はいらないから、儲かる商品だけ教えてほしいという方です。
あったら、みんなその商品を買いますよね。
しかし、そもそも絶対に儲かる商品なんて、ないのですよ。
まとめ
商品内容を理解し、いろいろなケースを想定し、あなた自身で決断するのだということを忘れないでください。
自分にとって負担の少ない方法で「サシスセソ」を組み合わせて、マネーを増やしていってくださいね。
人生を切り拓くマネー術―やがら純子の「お金を増やすサ・シ・ス・セ・ソ」